渡良瀬

  • 岩波書店 (2013年12月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784000259408

みんなの感想まとめ

日常の中に潜む小さな喜びや悩みが、緻密な描写を通して生き生きと描かれています。新たに工場で働き始めた電気工の日常を中心に、特別な事件は起こらないものの、彼のつつましい毎日はまるで自分の経験のように感じ...

感想・レビュー・書評

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  • 筆者の略歴を見るに、私小説なのだろうか。新たな工場で働き始めたばかりの電気工の日常が、その仕事内容までも小説では通常ないディティールの細かさで描かれている。そのため、本来まったく重なるところはない一人の男のつつましい毎日、家族や日常に関する悩みや小さな喜び、そして昭和天皇が息を引き取るまでの数ヶ月間の時代の空気までも、自分が経験したように追体験できる。大きな事件は何も起こらないが、なにか心の中に鋤を入れて耕すような、地道な手応えの感じられる一冊だった。

  •  渡良瀬川は、足尾鉱毒事件で死に、今またコンクリートと水門で死につつある。渡良瀬遊水地は栃木、群馬、埼玉、茨木にまたがっている。東北本線古河駅の近く、平塚電機製作所に勤務する南條拓28歳の物語。電気工の仕事ぶり、妻と3人の子供たちとの暮らしがとても丁寧に描かれています。時代は昭和の終わり、平成に移る前の頃。377頁、大作だと思います。佐伯一麦「渡良瀬」、2013.12発行。

  • 几帳面な描写が、ちょっとくどいと思うところもあるが、これが作者の人柄を感じさせるスタイルなのだろう。事件らしいこともない日常が生き生きと描かれているのがいい。

  • 文学

  • どこにでもあるような毎日をモノクロでも淡々と描写してる。ズッシリした大作。20180423-58

  • 2014/9 この本は何?小説?日記?観察記?でも印象に残る不思議な本です。配電盤作る描写と日常の姿が淡々と描かれて、盛り上がりも何もない本なんだけど…

  • 時は昭和から平成へ。
    南條拓は家族と共に茨城県の古河へと移り住む。
    配電盤の製造工場での仕事内容など、何気ない日常が描かれている。
    「この土地に越してくる気になったのも、そもそも近くに川があると思ったからだった」拓は渡良瀬の水辺へと向かった。
    その川は一度死んだ。
    明治時代に足尾の古河鉱業の製銅所が渡良瀬川に鉱毒を流したからだ。
    川が持つ歴史も書かれている。
    南條拓一家を見ていても、生きて行くのはしんどいと感じるし、苦しい事の方が多い。
    でも、先が気になり最後まで止まる事なく読み進めた。

  • 味わい深い小説だった。図書館ならではの借りられる『徳』だろう(-_^)
    内容もあまりにもリアルだから、私は随分苦手だ、はしよってよんだが興味深くいっき読みだった。電気の配線?全く不可思議、、しかし人間くささと人間らしさは見事に描写され素晴らしい。

  • 初期の作品が無性に読みたくなる。

  • Twitterでお薦めされてる方がいて、はじめて手にした作者の作品。ありきたりの言葉ですが、良かったです。私小説が最近いいなぁと思うようになりました。人生って単純なことの繰返しのようで、毎日新しい自分を生きることなんだとこの作品を読んで改めて思いました。最後の方で娘に謝る主人公と『忘れちゃった』っていう娘の言葉に込み上げるものがありました。

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著者プロフィール

1959年、宮城県生まれ。84年、「木を接ぐ」により海燕新人文学賞、91年、「ア・ルース・ボーイ」で三島由紀夫賞、「遠き山に日は落ちて」で木山捷平文学賞、『鉄塔家族』で大佛次郎賞、『山海記』で芸術選奨・文部科学大臣賞文学部門を受賞。ノンフィクションに『アスベストス』、エッセイに『Nさんの机で ものをめぐる文学的自叙伝』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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