- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000259408
作品紹介・あらすじ
茨城県西部の町にある配電盤製造の工業団地。二八歳の南條拓は、東京での電気工としてのキャリアを捨て、一工員としてここで働き始めた。昭和の終焉も間近なざわついた空気のなか、葦原の広がる乾いた大地に新天地を求め、妻と三人の幼子を伴い移住してきたのだ。-『海燕』連載の未完の物語がついに完結-20年の歳月を経て甦った、傑作長編小説。
感想・レビュー・書評
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几帳面な描写が、ちょっとくどいと思うところもあるが、これが作者の人柄を感じさせるスタイルなのだろう。事件らしいこともない日常が生き生きと描かれているのがいい。
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文学
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どこにでもあるような毎日をモノクロでも淡々と描写してる。ズッシリした大作。20180423-58
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2014/9 この本は何?小説?日記?観察記?でも印象に残る不思議な本です。配電盤作る描写と日常の姿が淡々と描かれて、盛り上がりも何もない本なんだけど…
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時は昭和から平成へ。
南條拓は家族と共に茨城県の古河へと移り住む。
配電盤の製造工場での仕事内容など、何気ない日常が描かれている。
「この土地に越してくる気になったのも、そもそも近くに川があると思ったからだった」拓は渡良瀬の水辺へと向かった。
その川は一度死んだ。
明治時代に足尾の古河鉱業の製銅所が渡良瀬川に鉱毒を流したからだ。
川が持つ歴史も書かれている。
南條拓一家を見ていても、生きて行くのはしんどいと感じるし、苦しい事の方が多い。
でも、先が気になり最後まで止まる事なく読み進めた。 -
味わい深い小説だった。図書館ならではの借りられる『徳』だろう(-_^)
内容もあまりにもリアルだから、私は随分苦手だ、はしよってよんだが興味深くいっき読みだった。電気の配線?全く不可思議、、しかし人間くささと人間らしさは見事に描写され素晴らしい。 -
初期の作品が無性に読みたくなる。
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Twitterでお薦めされてる方がいて、はじめて手にした作者の作品。ありきたりの言葉ですが、良かったです。私小説が最近いいなぁと思うようになりました。人生って単純なことの繰返しのようで、毎日新しい自分を生きることなんだとこの作品を読んで改めて思いました。最後の方で娘に謝る主人公と『忘れちゃった』っていう娘の言葉に込み上げるものがありました。