教養としての冤罪論

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000259415

感想・レビュー・書評

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  • 冤罪について知ることは市民のリベラルアーツである。自白は警察や検察のストーリーに沿った作文になる。自白に頼ることは警察不祥事の温床になる。

  • 裁判員になったときに冤罪を生み出さないための手引書・・・かな。

    過去の多くの冤罪事件を素材としており,その多さを知るだけでも,裁判員になるかもしれない読者にとって有益だと思う。

    裁判員制度を「市民の自由と権利を同じ市民が守る」とする認識や,秘密の暴露のない自供は証拠として評価すべきではないとの意見,目撃者の「見間違え率」は驚くほど高いという事実の指摘,職業裁判官に引きずられないほうがいいとの助言など,有益な示唆に富む。
    しかも,冤罪被害者の救済や冤罪撲滅を声高に叫ぶのではなく,淡々と書かれているので,説得力が強い。

    致命的に残念なのは,用語が難しいこと。
    法律用語はしかたがないにしても,哲学用語? 論理学用語? が頻出して,読む通すのに骨が折れた。
    もっとわかりやすく書いて,多くの人がすらすら読めるようでないと,結局は裁判員裁判の役に立たないことになるよなぁ。(-"-) 

    本の主題とはそれるが・・・
    DNA鑑定の発展を受けて,米国では,DNA鑑定開始前の死刑囚などについて再検証を行い,その結果,なんと300人以上! が釈放されているという。
    日本では,再検証をしようという動きなど全くない。恥ずかしいことだと思う。

著者プロフィール

1959年東京都生まれ。東京大学法学部卒。東京地裁、大阪地裁などの裁判官を務め、現在は弁護士として活動。裁判官時代には、官民交流で、最高裁から民間企業に派遣され、1年間、三井住友海上火災保険に出向勤務した。著書に『司法殺人』(講談社)、『死刑と正義』(講談社現代新書)、『司法権力の内幕』(ちくま新書)、『教養としての冤罪論』(岩波書店)ほかがある。

「2015年 『虚構の法治国家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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