伊東正義 総理のイスを蹴飛ばした男――自民党政治の「終わり」の始まり

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000259705

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  •  たとえ総理大臣になっていたとしたら、この国はもっと違った国になっていたのだろうか。

     いや、ならないだろうな。考え方が違っていたとしてもやるべきことをやるのが国会議員でありそのためにあらゆる特権を得ているわけで、それがほしいために議員の席を奪い合っている以上何が起きても変わることはないのではないか。

     総理の椅子をけ飛ばすことが偉いのではない、け飛ばすことでなにを得るかが重要である。果たして何を得たのだろうか?

  • 国会議員としての最高の地位はやはり内閣総理大臣なのだろう。
    だから、この地位に就きたくて根回しをしたり、派閥間の争い
    があったりする。

    だが、その最高位の椅子を2度も蹴った政治家がいる。本書が
    取り上げている伊東正義がその人だ。

    1度目は現職総理の地位のまま急逝した大平正芳の後継として。
    2度目はリクルート事件に名前が挙がり退陣した竹下登の後継
    としてだ。

    政治資金集めのパーティは一切せず、清貧を貫いた政治家の
    ことを知りたくて本書を手にしたのだが、少々期待外れ。

    何故、このタイトルにしてしまったのだろうか。副題にある
    「自民党政治の「終わり」の始まり」の方がいいんじゃないか。

    確かに伊東正義という人が政治家として辿った道は記されて
    いる。だが、それは上っ面をなぞっているだけで深くは切り
    込んでいない。

    どちらかといえば、首相急逝による大平内閣の終盤から、
    政治とカネの問題が大きくなった竹下内閣の終焉までの
    自民党内の動きの方に紙数が割かれている。

    リクルート事件の推移を復讐するにはよかったけどね。

    お金にまつわる問題からの政治不信。その為には竹下登の
    後継としてはクリーンであった伊東氏が最適だったのだろう。

    ご本人は「表紙を変えても、中身を変えなければ駄目だ」と
    言って、持病である糖尿病を理由に総理就任を頑なに拒んだ。

    後継総裁選びに関しては、党内の意識改革・派閥の解消を提唱
    し、リクルート事件に関与した安倍晋太郎や渡辺美智雄に対し
    て「自分も辞職するから辞職しろ」と議員バッジを外すよう
    迫るが、危機感のないふたりが受け入れるはずもない。

    このふたりにたいする伊東市の批判が痛烈。まぁ、親がこう
    だったから息子がああのかもなぁ。

    伊東氏はトップに立たなくて良かったのかもしれない。No2.なら
    力を発揮出る人っていると思うんだよね。

    首相退陣の記者会見で「あなたとは違うんです」と言い放ってし
    まった福田康夫氏なんてその最もたる人じゃないかな。官房長官
    の頃って、悪い印象はなかったもの。

    大平氏に惚れ込んで、大平氏亡き後は首相臨時代理になっても
    首相執務室では一切仕事をしなかった人。大平政治の継承を
    願って叶わず、自民党を変えようとしても周りに理解して
    もらえなかったのかな。

    政治家として稀有な存在なのに、本書の書き方ではもったいない。
    その人となりや大平氏との関係をもっと詳細に綴って欲しかった。

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