言語表現法講義 (岩波テキストブックス)

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レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000260039

感想・レビュー・書評

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  • 読了。
    これを読んでいる間、私はほとんど泣いていた。
    優しい本。言語表現に関する講義本であるにも関わらず、私の人生における大切な大切な一冊となった。
    言語表現というものを通して、加藤先生が考えてきた事が、私の人生における長年の違和感や、迷いや葛藤を肯定してくれ、癒され、救われた。
    そんなことを求めて読み始めたわけではないけれど、然るべき時に然るべき書に出会うという奇跡が私にはたまに起こる。感謝。30歳のこのタイミングで、出逢えたことにおそらく意味があった。

    そしてなんと、この本は20年以上も前に書かれている。まだリーダブルということは、本当に真理なのだなぁと思う。
    この世界に、加藤典洋という人がいてよかった。

    生活ががらりと変わった10月。1日に2本映画を観て、1冊の本を2日で読み終わるペースで読み進めるということをするだけで、私の精神状態はとても健全な状態が保たれるということを知る。というか、それが続けられるのであれば、自分が今まで欲しがっていたものは何ひとついらないのではないかと思い始めるくらい、満たされている。これを働き始めてからもずっと続けていくにはどうすればいいのか。本は同じスピードで読んできたし読めるけれど、映画2本はなかなかきついなぁ。

  • 【目次】
    まえがき [v-vi]
    目次 [vii-ix]

    第一回 頭と手――この授業について 001
    経験の場としての書くこと/「言語表現法」とは――頭と手が五分五分だということ/『文章読本』のイデオロギーから土方仕事へ――文章教室とは違う/何を書くか、いかに書くか、なぜ書くか1文の一生/書くことと考えること/美の問題――「うまく言える」に限りなく近づくこと/教材について(一)――『高校生のための文章読本』『高校生のための批評入門』/教材について(二)――『文章心得帖』『増補 学術論文の技法』/なぜ規則を守らなくてはならないか/用法と実例――「……」の問題/文章を書く心得

    第二回 課題とタイトル 033
    課題とは何だろうか/タイトルとは何だろうか/即問即答式の物足りなさ/ギフトと運動感/理由と欲望/まず水に飛び込め/私について、ということ

    第三回 他者と大河――推敲・書き出し・終わり 051
    不完全であること――推敲は何を殺すのか/宮城まり子「私は教育経験三十年」/美しい花と花の美しさ/理想の書き出し/なぜ踏み切り板は動かないか/書き終わりの可能性/終わりと美辞麗句/小川と大河/小川で大河を渡る

    第四回 文と文の間――文間文法・スキマ・動き 077
    スキマとは何か/文間文法/井上ひさしの文間文法論/文間問題の可能性/文間と言葉の不自由/浅い文間、深い文間/文間と歩行の速度

    第五回 糸屑と再結晶――ヨソから来るもの 101
    鶴見俊輔の三条件/多田道太郎の三つの‐duction/「感動を書く」と「感動のなかで書く」/糸屑と再結晶/気分のなかで気分を書く/セザンヌのモチーフ/書くことの事故現場/四つのヨソから来るものの契機

    第六回 言葉はどこで考えることと出会うか 123
    順序の転倒を戻すこと/「いい子ぶりっ子」の気分――石原吉郎「三つの集約」感想/沖縄の校外実習報告書/ひめゆりの塔の感想文と反論/本土の沖縄観、沖縄の本土観/スタートの正しさ、ゴールの正しさ/上からのロープと下からのロープ/○・七にとどまる

    第七回 いまどきの文章 145
    「ん~、まいったか~」――いま、言葉と書き手が一対一であること/モノからコトへ/半分の独り言――言葉と書き手の一対一対応がなくなること/吉本ばなな『キッチン』の冒頭の波紋/通勤電車のなかで叱る人/自分との距離感/フェミニンな文/伝わらないことに立つコミュニケーション/射撃とカーリング/マッチョな文からフェミニンな文へ/真理の言葉からの自由

    第八回 遅れの問題 177
    抵抗の力/水のたまる凹みの成分/自分の持ち札としての場面/自分を泳がせる/ワープの不思議/砂糖が溶けるまでには誰もが待たなければならない/遅れという問題/転んだ後の杖/自分との逆接の関係/苦しみと甘さ/わからなさにいたる/疑疑亦信也

    第九回 フィクションの自由 207
    朝日新聞の家庭欄の連載記事から/聞き書の可能性/自分からの自由/ボヴァリー夫人は私だ/『トパーズ』の語り/不自然な回路/自分を肯定する「お話」/窓口はなぜ必要か/不透明なもの/マキューシオのだじゃれ/フィクションは人を救う

    最後に――方法の話 235
    マクシム――デカルトの『方法の話』/一番遠い道で森から出ること/同和と異化/言葉の戦略的使用はなぜダメか/あわいと落差

    基本文献案内 [247-253]
    あとがき――「言語表現法講義」山頂編の弁(一九九六年八月 パリ 加藤典洋) [255-257]

  • 著者が明治学院大学でおこなった「言語表現法」の授業を再現した本です。

    学生たちの文章に、著者の講評が加えられるとともに、文章を書くためのさまざまな工夫について考察が展開されています。著者の文章にはやや強めのクセがありますが、比喩の表現などには定評があり、本書の説明の中でも、なかなか言葉で説明しにくい文章表現のコツが、卓抜な比喩を通して解説されています。

    評価に著者自身の主観が入ってくることを避けるのではなく、ストレートに著者自身の感受性にしたがって評価がおこなわれているところに、かえって信頼感を抱きます。

  • おもしろい読み物

  • 著者本人も言っているとおり、実践的文章教室でも文章読本でもない。文を書く人の感性そのものを刺激する本。
    自分の出身大学でこんなすばらしい授業がなされていたとは、残念。大学時代に受けられていたら、今頃は、もっと澄んだ高見の景色が見れていたと思う。

  • インパクトのある出だし。あとはどれだけ裸になれるか。表現すべてに通じる気持ちのいいおはなし。

  • おもしろかったけれど、即戦力というカンジではない。

    まあ、また戻ってこよう。

  • この本はおろか、中で参考図書として挙げられている本もその多くが絶版……。
    文を書くことが、人間らしさだと思うのに。

  • 「ほぼ日」の「イトイの読んだ本、買った本。」で紹介されていたことがきっかけで読んだ本。

    著者が、大学で行っている同名の講義の内容を、テキスト化したもの。
    学生の文章を読んだ評論が、「ここがいい a」「ここがダメ b」など、率直に書かれていて、さらに、文章を書く上での考え方の指針のようなものが示されている。

    久々に勉強をしたような気分を味わった。読み応えのある本。
    図書館。いつか買うかも。

  •  知的興奮を掻き立てられること間違いなし。文章を書いている人も、書く予定のない人も読むべきだ。人間は表現せずにはいられない動物である。何をどう表現するかは感性によるところが大きいと思われるが、やはりそれなりの技術も必要だ。そうでないと、単なる独りよがりで終わってしまいかねない。

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著者プロフィール

加藤典洋(かとう・のりひろ)
1948年、山形県生まれ。文芸評論家。早稲田大学名誉教授。東京大学文学部仏文科卒。『言語表現法講義』(岩波書店)で新潮学芸賞、『敗戦後論』(講談社/ちくま学芸文庫)で伊藤整文学賞、『テクストから遠く離れて』(講談社)と『小説の未来』(朝日新聞出版)で桑原武夫学芸賞を受賞。『もうすぐやってくる尊皇攘夷思想のために』(幻戯書房)、『敗者の想像力』(集英社新書)、『戦後入門』(ちくま新書)など著書多数。

「2018年 『白井晟一の原爆堂 四つの対話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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