- 本 ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000260640
感想・レビュー・書評
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大人として子供とどう向き合うかを考えるための本であると同時に、自分の子供時代を振り返るための本でもあると思う。読みながら、私自身の思春期の様々な葛藤が思い出され、またそれを黙って見守ってくれた両親の有難さを噛みしめた。やわらかな文章が胸に沁みる。
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いちばん印象に残ったのは、表紙の裏についている
谷川俊太郎さんの詩☆
胸に沁みました(^ω^) -
すでに子育てを終え、しみじみ振り返る中でこの本を読みました。
以来、何度か読み返しています。
河合先生は、きっと多くの子どもや親御さんの相談を経験される中で、「悪」という問を立てられたのでしょう。
私たちが一般的に「悪」というモノに出会ったとき、その事象にどのように向き合うといいのかを教えてくれる本です。
「子ども」の成長や自立の中で多角的に「悪」を捉え見ていくことの大事さと、成長のすき間に入り込んで来る「悪」を通して学ぶことの何と多いことか・・・。
私たち大人は「悪」を「悪」と捉える締め付けられた視点の他に、子どもの「悪」から多くを知り学べることを認識したいものです。 -
・そもそも悪ってなんだろう?
・子どもが悪さをしたとき、どのように対処すればいいのだろう?
・その行為の中で、子どもが発露したかったその奥にある感情は何なんだろう?
こういったさまざまな疑問を考えさせられる本。
僕も人の親になったとき、また読み直して見たいと思う。 -
子どもと悪、と大人を三角で結んでその関係を考えていく。
子どもの悪の裏に潜む事情や意図、想いをどれだけ汲み取れるか、そしてどれ程介入していくのか。悪というけれど、その先にあるものは時に創造性だったり、善だったりする。そういうふうに変えていくのは子どもの力なのだけど、大人の関わりが必要になってくる場合もある。
自分の子ども時代と重ねて子どもの視点から思い当たることも、大人になって子どもと関わる今の視点から考えさせられることもたくさん。 -
書かれていることについて、自分の経験を振り返っても、そうだよなぁと思う部分と、認めたくないけどたしかにそういう暗い部分があると認めざるを得ないこともあるなと思った。
悪と創造性の関係についてはすごく同意。 -
子どもの気持ちに寄り添ってながら大人がスッと読める不思議な本だった。大人になりきれないまま子育てに追われた両親を思うと、不安と向き合い切れなかった苦しみも分かる気がしてくる。ほんとうの大人への道のりはなかなかに遠く、子育てもきっとその過程なんだろう。
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メモ、ー部分は雑感。
P51 悪の様相を考えると、そこに何らかの「関係の解体」が存在している
P74 プロメテウス 盗みの話のルーツ 盗みによってなされることがよく示されている
火はあかり、闇のなかを照らす 人間の意識の象徴
個人が自分を個として何物にも従属しないと意識すること、自立
しかしこのことは従属させたい側からすれば悪 ここで盗みという手段が生まれる
ヨーロッパ文化における英雄、プロメテウス 一度はゼウスと敵対し火を盗みとる必要がある
P103 ワイルドネス、暴力 による悲劇を生じさせないため、大いに関連する自分の身体について考える
P105 身体と悪 汚いものが排出される身体だから~悪 に結び付けられる 清潔に保つコントロールを子どもには大切な仕事とされる
P107 身体性を置き忘れた子 →アレルギー疾患などの増加?
ーしかし、これは化学製品に常に暴露されるようになっていることも理由のひとつかもしれない
P143 日本が西洋文化をとりいれたとき、「ウソは絶対に悪」は輸入したが、ジョークの技術をまったく輸入しなかった
P146 秘密を持つ子は暗いと決めつける人もある 何でも話す子はよいこと確信している教師や親も多い
しかしそんなに簡単ではない
P182 日本では個性的な子供がいじめられやすいことになる。教師も日本人であるので、知らず知らずのうちに異質なものを憎む態度が子供たちに伝わり、子供たちのいじめを背後から無意識のうちに支持していることが生じる場合がある。
-ひと昔まえから相変わらず、教師がステレオタイプ的よいこを好む姿をみると、学校とはどのような機関であるか思い出させてくれる。一定のクオリティの品を出荷しようとする19世紀的な工業社会のattitudeで、本来の意味での師のものではないだろう。
P218 日本の親や教師は教えたり、指導したりすることにせっかち。子どもの中から自ら育ってくるものを待つことができない。子どもの心のなかから悪とみえる形をとって芽生えてきたものが、どのように変容するのかその経過を見る前にすぐにその芽をむしりとってしまう。大人たちの善意が強すぎる。 -
親、教師、子どもに関わる人に読んでもらいたい!!!
子どもが「悪いこと」をするとき、そこには何が働いているのか。そのとき大人はどう対応すれば良いのか。
河合先生お得意の、「平易な言葉でわかりやすく」、『若草物語』や『思い出のマーニー』などから具体例も豊富に考え方を示してくれる。
あー子どもに関わる大人が全員この本読んだら、教育も変わるのになーーーーーー
「怒り」が苦手なひと、「いじめ」はどうしたらなくせるのか考える人にも良いヒントをくれる本。
あー!教育界に対していいたいこといっぱいある!!
それと、この谷川俊太郎さんのこの素晴らしい詩は、この本のために書かれたのね!!ピッタリな詩!!!
谷川俊太郎さんと河合隼雄先生、二人は本当に、心の通じ合う友達だったのだなー
それは素晴らしい関係だな…
特にお二人のように何かを突き抜けてしまうと、真の「友達」になれる人は少ないと思うから…
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まんびきはしたことないけど
わたしはひとのこころをぬすんだ
ぬすんだことにもきづかずに
へやにかぎはかけないけど
わたしはこころにかぎをかける
かぎのありかもわからずに
うそはついていないけど
わたしはほほえんでだまってる
ほんとのきもちをだれにもいわずに
いいこだから わたしはわるいこ
河合隼雄の作品





