歴史/修正主義 (思考のフロンティア)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (121ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000264341

作品紹介・あらすじ

侵略戦争や植民地支配の記憶と証言が、「忘却の政治」に曝されている。いかにして歴史への責任を果たすのか。物語の抗争が激化する現在、いかに判断し、なににコミットメントするのか。戦争責任/戦後責任、植民地支配責任をめぐる現代日本の論争という「出来事」のただなかで、歴史の再審にむけた法の脱構築が、いま始まる。

感想・レビュー・書評

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  • 戦後の歴史認識や太平洋戦争の戦争責任問題について、整然と解説されている。その理論は学者ならではのもので、首肯させられる点も大変多い。特に「戦後責任を果たすことは『ポジティブな行為』」の節で説かれている、国家の戦争責任を直視することで、自己と過去の国家との連続性を絶つことに繋がり、他者の理解の涵養を待つ、といった所説は感じ入るところも多い。彼の認識の基層をなしていると感じた。

  • ルサンチマンは受け継がれる。加害者意識は受け継がれない。では責任はどこへ行くのか?

    戦争責任・歴史問題に関して、考えを深めるヒントが得られる。

  • 先日読んだ野家啓一の「物語り」に対する批判が興味深かった。

    「ハーバーマスにおいてそうであるように、「批判的多元主義」が単なる「多元主義」ではなく、「批判的」であろうとすれば、それは「歴史の物語り論」にとどまることはできず、「多元的」な物語の対立・抗争の中で、不断に具体的・実質的な「批判」を実践すること、すなわち、「論理的」な「批判」のみならず、「倫理的」「政治的」な「批判」を実践することを避けることはできないのである」(p48)

    そのうえで高橋は、正義に依拠し脱構築された法のもとでの「審判」をいつかどこかで行わねばならない、とするのである。

    さて、この両者の対立をどう受け止めるべきか。今のところ、歴史学を研究する僕としては、歴史学がどうしたってさまざまなレベルでの「実践」を伴う(史料を使って研究することがそもそも「実践」的)学問である以上、野家のような超然とした「理論」的・哲学的な一貫性よりかは、高橋の「批判」の「実践」に共感を覚えてしまった。メタヒストリカルな語りにも、ものすごく魅力があるんだけど…そこに依拠したら、歴史研究できなくなってしまいそうなので。

  • タイトルだけ見ると一見ラディカルだが、むしろその実は80年代以降現れてきた「歴史修正主義」批判である。高橋の著作は相変わらず論点のまとめ方が上手く、何を言いたいのか非常に分かりやすいが、実はそれほど目新しいことは言われていない。『靖国問題』と『国家と犠牲』をより深く理解したい人は

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著者プロフィール

1956年福島県に生まれる。1983年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得。哲学専攻。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。著書に『逆光のロゴス』(未來社、1992)『記憶のエチカ』(岩波書店、1995)『デリダ』(講談社、1998)『戦後責任論』(講談社、1999)『歴史/修正主義』(岩波書店、2000)『証言のポリティックス』(未來社、2004)『靖国問題』(筑摩書房、2005)『沖縄の米軍基地』(集英社、2015)ほか。訳書に、デリダ『他の岬』(共訳、みすず書房、1993)『有限責任会社』(共訳、法政大学出版局、2002)『ならず者たち』(共訳、みすず書房、2009)などがある。

「2016年 『他の岬 [新装版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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