現代の貧困 (双書・現代の哲学)

著者 : 井上達夫
  • 岩波書店 (2001年3月7日発売)
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  • レビュー :2
  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000265836

作品紹介

天皇制、会社主義、民主政治の機能不全-戦後日本的制度の病状は危機的である。私たちの生の「貧困」を、リベラリズムの原理によって解剖し、「批判的民主主義」に基づく変革の青写真を描く。日本型システムの倫理的再編をデザインする。

現代の貧困 (双書・現代の哲学)の感想・レビュー・書評

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  • 2011年に文庫化。


    著者:井上達夫
    通し番号:学術249
    ジャンル:書籍 > 岩波現代文庫 > 学術
         日本十進分類 > 哲学/心理学/宗教
    刊行日:2011/03/16
    ISBN:9784006002497
    Cコード:0110
    体裁:A6・並製・カバー・350頁
    定価:本体1,360円+税
    在庫:在庫僅少

     私たちの生きる場を包む諸関係は,深刻な危機に陥っているのではないか.天皇制に見られる「関係の貧困」,会社主義という「共同性の貧困」,戦後民主主義のコンセンサス原理に典型的な「合意の貧困」の三つのレベルから,日本社会の病を診断.リベラリズムに基づく社会の再編へむけて,ラディカルな青写真を描く.
    https://www.iwanami.co.jp/book/b255880.html



    【目次】
    序 〈哲学の貧困〉から〈貧困の哲学〉へ [v-xvii]
    目次 [xiv-xxiv]

    第I部 関係の貧困
    第1章 天皇制を問う視角――民主主義の限界とリベラリズム 003
    1 「経済大国」の自画像と天皇制 003
      1 二つの戦後日本物語 003
    戦争以降の風景/幸福なる結婚論/未成熟依存症論
      2 第三の視点 020
    共通前提の懐疑とリベラリズム/民主主義理解の問題
    2 王様を愛する民主主義 027
      1 「民主主義に王様はいらない」か? 027
    共生理念と市民生活/市民生活と民主主義――王様をめぐる葛藤
      2 下からの天皇制 035
    日本村/元号法制化/愛の民主主義――津田左右吉の場合
    3 リベラル・オールタナティヴ 055
      1 民主主義より根源的なもの 055
    評価基準の転換/〈関係の豊かさ〉をめざして/〈人間が豊かな共生社会〉の政治的条件/憲法の哲学
      2 原理による統合 075
    人権原理と天皇制/異質性の不可視性/原理による統合

    〔付論〕補足と解題――天皇制・民主主義・リベラリズム 085
      1 背景 085
    昭和末の狂宴/見えない問題
      2 生活者の天皇論と民主主義 090
    戦後思想の四象限/「革新」の風化と幸福なる結婚論/生活者の反乱と未成熟依存症論/「無力の共鳴」と「無責任の体系」
      3 下からの天皇論 097
    ラディカルな両立論/民主主義の共同体的基盤/「日本村」の普遍性/ナショナリズムと民主主義 エリート・大衆・天皇
      4 現代日本とリベラリズム 108
    豊かさの意義転換とポスト五五年体制/新ノモス主権論――戦後憲法の再発見

    第II部 共同性の貧困
    第2章 個人権と共同性――「悩める経済大国」の倫理的再編 119
    序論 119
    1 「権利の領国」における共同体への要求 124
      1 共同体論の諸相 125
      2 並行的・呼応的な理論展開 130
    2 「共同体の領国」における個人権への要求 133
      1 現代日本における共同体論と社会主義 133
      2 日本的共同性の陰――象徴死としての過労死 147
      3 中間的共同性の先制 161
    3 開いた共同性の基礎としての個人権 166
    結論 174

    第III部 合意の貧困
    第3章 合意を疑う 179
    1 問い 179
    2 真理と合意――存在の豊饒性 181
    3 正統性と合意――民主制の問題 192

    第4章 政治的知性の蘇生に向けて 207
    1 変わらざる五五年体制 207
    2 問題はどこにあるか 210
    3 政治的意思決定システムと選挙制度 212
    4 リベラル・デモクラシーの制度戦略 216

    第5章 コンセンサス社会の危機と変革 223
    序論――コンセンサス社会日本の栄光と挫折 223
    1 価値の亀裂――アンビヴァレンスと方向感覚喪失 225
      1 成熟志向と成長志向の葛藤 226
      2 個人主義と集団主義の錯綜230
    2 コミュニケーションの亀裂 233
      1 世代間亀裂の深まり 233
      2 仕切られたコミュニケーション 235
      3 談合政治の破綻 236
    3 変革の展望 238
      1 コミュニケーションの構造転換――〈融合〉から〈会話〉へ 239
      2 共依存からの自立――自己決定・自治・情報公開 242
      3 政治の構造改革――批判的民主主義の構想 244

    注 [249-276]
    あとがき (二〇〇一年二月 立春を過ぎて 井上達夫) [277-282]

  • 法哲学者・井上達夫氏による著作。井上氏はまず、日本社会が三つの「貧困」状態に陥っている、と指摘する。すなわち、最大多数の最大幸福の追求のために、異質な生を追求する様々な少数者を排除・抑圧する「関係の貧困」、会社等に代表される中間団体に過剰に統合されることによって個人権が侵害される「共同性の貧困」、そして、様々な利益集団の無原則な妥協と合意によって。政治意思決定を行おうとする「合意の貧困」この三つである。これらの「貧困」を解消するために、井上氏は他者との関係構築を図る「会話」という営みが不可欠である、とした上で、民意の可謬性に立脚した「批判的民主主義」を提示する。なお、「会話型社会」は井上氏のデビュー作である「共生の作法」の中の「会話としての正義」に通ずるものがあり、合わせて読むと面白いのではないかと思います。

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