文学理論 (〈1冊でわかる〉シリーズ)

制作 : 荒木 映子  富山 太佳夫 
  • 岩波書店
3.57
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本棚登録 : 285
レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000268660

作品紹介・あらすじ

文学、映画、新聞、テレビ、広告-「読む」ことと関わらずにいるひとは誰もいない。「読むための理論」を知ることで、これまでとは違った世界が見えてくる!新しい思考のかたちを身につけたいひとに最適の入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 「一冊でわかる」と銘打ってあるが、一冊でわかるのは、この一冊だけではわからない、ということだ。
    それはある意味で、最も正しいとも言える。

    もし、これから新たに文学理論を学び始めようと考えて手にするのであれば、しかもこれまでの素地がほとんどないに等しいというのであれば、ひとまずこの本に手を出すのは止めておく方が賢明である。
    しかし時すでに遅く、このピンクの表紙の気安さについつい惹かれてもはや読み始めていたり、はたまた読み終えていたりするのであれば…
    表紙とは裏腹の読み応えに、いささかの消化不良をおこしかけていることであろう。

    その場合、この一冊ですべてを判断することなく、他の入門書もあと1、2冊あたってみると良い。
    少々食傷気味であったはずが、数冊の間を経巡る内に、だんだんと消化されていくことに気がつくはずだ。

    そうして再びこの『文学理論』をみれば、前よりはわかりやすく、タメになることだろう。
    とはいえ、この一冊は他の多くの入門書のように、文学理論の流れや主要な概念を丁寧に説明することはあまりなく、どちらかといえば、全体を俯瞰しそのなかで特に目立っているものをピックアップして提示するだけにとどまる。
    別の言い方をすれば、「ここだけは」というものの「入口」だけを示しているのであり、その意味ではどこまでも忠実な「入門」書なのである。

    つまり、この一冊でわかるのは、重要な入口と入口の重要性なのであって、そこから先については各々がまた個々の理論に当っていくしかない。
    そのような認識を与えてくるのだから、やはり入門書としては誠実だと言わざるを得ない。

  • -

  • 第8章「アイデンティティ、同一化、主体(サブジェクト)」が面白かった。フェミニズム、クイアについても触れている。

  • 本当に手軽なガイド本を期待してたけど、思ったより広いし深いところまで、文学理論まわりのぐるりを見せてくれた感じ。

    ピーター・バリーの文学理論講義と突き合わせておさらいしていきたい。

  • 2003年に購入しつつも寝かされてた本.当時読んでもピンとこなかっただろうが,今なら半分くらいは理解できたw
    文学”理論”とあるように,文学を解釈するに当たって繰り広げられる様々な理論について書かれた本でした.
    蘊蓄的なものとしては楽しめるかも.

  • フィクション(文学・想像)の役割は、バランスをとること、つまりバランス機能である。この意味で、フィクションは復讐に似ている。なぜなら、復讐とは被害者が加害者に対して抱く抑えきれない怨みを晴らすために、つまり被害者が心のバランスを取ることを目的に、実行されるから。

    しかし、復讐は果たされない。事件がどれだけ凶悪であっても、被害者が加害者を八つ裂きにしてやりたいと願っても、また犯人に死刑が宣告されたとしても、こんにちの〈リアル〉では死刑囚の苦痛は最小化され、彼はいたって文化的に社会から抹消されるだけだ。そのような方法で、被害者感情は必ずしも満たされない。そこで想像に救いを求める。文学が生まれる。フィクションができる。

    こんにちの私たちの〈リアル〉が18世紀的な啓蒙思想という〈父・加害者〉によって逃れ難く規定されている以上、フィクションに求められることとは、〈父〉が面倒を見きれずに見捨てた私たちの〈兄弟〉を救済すること、つまり啓蒙思想が対処できずに放置され続けている問題領域に踏み入り、そこでのバランスを回復しようとすることである。したがって、こんにちの文学が、啓蒙主義への批評を旗印に掲げるいわゆる「ポスト構造主義」的になるのは、自然の成り行きなのだ。こうして文学と「ポスト構造主義」が寄り添っていく。いや、そうではない。文学が先駆けてわれわれの生と救われない声の満てる現実をうつし、その文学を後追いして理論が生まれ、「ポスト構造主義」なる便宜的なタームが生まれ、それがまことしやかに語られているただけなのだ。

    私たちはみな、文学の子どもなのだ。

  • [配架場所]2F展示 [請求記号]901/C95 [資料番号]2004101627

  • 平易な入門書に見せかけて現代思想の中心命題にもかなり言及しており、細部をきちんと理解するのはわりと重労働。文学理論自体があらゆる学問分野を越境するものだから仕方がないのですが、やっぱり文系の学問というのは、ひとつの専門を取るにしても分野を超えた全般的な知識と理解を必要とするものであり、それができなければ専門性というのも成り立たない気がします。勉強あるのみだとおもった。個人的に重要なのはもちろん7,8章なので、そこを中心に今後は勉強を深めていくつもりです。個人と社会に関する論争は近代哲学と現代思想を隔てるものであり、古くは決定論か自由意思かという哲学的な対立にも繋がるものであり、社会学ではデュルケムとミードの対立なのだと、わたしはおもった。このテーマはわたしにとって非常に重要。とりあえずあとはイーグルトンの「文学とはなにか」で包括的な紹介書を卒業し、セジウィックとかに進んでいきたいなあ、と。

  • 内容はまとまってたし、概ね全体を把握できたような気になれる。
    訳がかなり英語をそのまま訳したような訳で、読みづらいのが残念。

  • わかりやすい・面白い・ためになる、と三拍子そろった入門書。
    表紙もポップでかわいいです。
    積みっぱなしになりそうだたのですが、ようやく読めました。

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