感情 (〈1冊でわかる〉シリーズ)

制作 : Dylan Evans  遠藤 利彦 
  • 岩波書店
3.40
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本棚登録 : 122
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000268844

作品紹介・あらすじ

感情はどんな働きをしているのか?喜びや悲しみ、怒りや嫌悪など、私たちが日々経験する心の動きは文化によって違うのだろうか?感情は非合理的で理性のじゃまものなのか?気分操作の技法とは?人間と同じ感情をもったロボットは果たして実現可能か?感情をめぐる科学的研究が、近年、めざましい進展をとげている。認知心理学、進化心理学、脳神経生理学、人工知能研究、ロボット工学など、幅広い分野の最新の知見を紹介しながら、多彩なトピックを軸に、機知に富んだ語り口で人間の情動がもつ多様な機能を描きだす。

感想・レビュー・書評

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  • 2013 12/31読了。Amazonで購入。
    @sakstyleのブログ(http://d.hatena.ne.jp/sakstyle/20101225/p2)を読んで買ってみた本。
    感情とか意識ってなんだ、人の行動を規定するものってなんぞ、というのが『ファスト&スロー』読んで以来気になっていたところで、あらsakstyleがこんなの紹介してたじゃん・・・と気付き買った。
    まさにどんぴしゃな内容で良かった!!
    以下、気になった点メモ:

    ◯1章
    ・常道は文化によらず通じている・・・特に6つの基本情動(喜び、悲痛、怒り、恐れ、驚き、嫌悪)はそう。根拠としてエクマンの実験(文化的接触のない相手の表情も的確に読み取れる)や盲目の赤ん坊(見たことがないはずなのに、ある感情を抱いた時にそういう表情になる)
     ・だから言葉が通じなくてもコミュニケーションができる
    ・基本情動は生物学的に身についてきたもの、生得的
     ←・中にはそうではない、学習により得られる情動もある
    ・恋愛感情はどの程度、生得的?
     ←・基本情動と文化的に特異な情動の間・・・「高次認知的情動」
     ・基本情動が脳の皮質下で処理されるのに対し、恋愛感情は大脳新皮質で処理される・・・より認識との結びつきが大きい
    ・恋愛以外の高次認知的情動・・・罪悪感や恥、etc
     ←"社会的"な感情:人類が社会環境にうまく対処するために身につけてきた?

    ◯2章
    ・情動があることの利益 > 情動がもたらす不利益
     ・基本情動はわかりやすい。生きることと結びつく
     ・悲痛時に涙をながすのはヒトだけ
      ←・その意義については諸説ある
       ⇔・嬉しい涙はどうなんだろう(min2flyコメント)
    ・基本情動は他の動物にもある
     ⇔・高次認知的情動は大脳新皮質が拡張してきた高等哺乳類以降
      ←・これもなんであるのかには諸説あり。一説によれば、理性だけでは解決できないコミットメント問題に役立つ?

    ・コミットメント問題について(以下p.45より引用):
     「私たちの人生には他にも、信用の置ける約束をなし得ることがきわめて重要となる状況が数多く存在する。フランクは、こうした状況すべてを「コミットメント問題」(自分の行動を自ら選んで何か特定の事柄に縛り付けることを通して解決可能となる問題)という術語で包括し、高次認知的情動のすべてが、それぞれ異なる種類のコミットメント問題を解決するのだと主張している。罪悪感を覚える能力は、決してごまかしはしないと確かな約束をする必要がある状況でのコミットメント文愛を解決するものである」

    ・しかし問題を起こすこともある・・・例:復讐心
     ・それを相手が気にかけない場合、復讐を実行せざるを得ない
      ・それが容易に復讐の応酬につながりうる・・・宗教紛争等
     ・しかし復讐心がないと・・・他者を利己的に食い物にしてしまい兼ねない
     ⇒・いきすぎれば毒になるが、なくても困る。アリストテレス的中庸が必要:情動的知性

    ◯3章:"気分"・・・情動の背景にあり、より情動を感じやすくしたり感じにくくしたりする。例:”幸せな気分”
     ・生活の充足感などと関わるのはこれ
      ⇔・"喜び"の持続時間は短いので
     ・これも情動と同じく自然選択で身についてきたものと考えられるが・・・人類はそれを人工的に手に入れられるように
      ・言語(なぐさめ、ジョーク、カウンセラーへの発露)
       ←・そんなに有効じゃない
     ・色・・・赤はいらいら、青はおちつき
     ・p.86より:抽象画の話:
      「複数の抽象画の中から一つ魅力的なものを選ぶように言われると多くの人が同じものを選ぶ。その上、人は通常、有名な画家によって描かれた絵の方を、それにコンピュータがランダムに修正を施した改作版よりも好む。オリジナルの絵は、人間の視覚システムが最も魅力的と感じるようプログラムされている特徴を体現しているに違いない」
     ・音楽、匂い、感触etc・・・
     ・食物・・・チョコやコーヒーも気分転換のためなら薬物との差は恣意的なものでしかない:短時間はいい気分になってもその後はかえって前より気分が悪くなることも多いとの指摘
     ・薬物について・・・p.93「薬理学的カルヴァン主義」
      「気晴らしを目的に、ワインを飲んだり、マリファナを吸ったり、ほんの少しのコカインを摂ったりすることには何ら不安を感じることがない人が、いざ、治療目的で気分変容のための薬物を使うとなると、そこに奇妙な嫌悪感を覚えがちなのである。どうもそうした人は、抑うつは、自分自身で解決しなくてはならないものと感じているようである。抑うつに対処するのに薬物を使用することは、ある種の道徳的弱さをさらけ出すことのように受け取られているのである」
     ・瞑想やジョギング・・・それが情動に働きかける=情動と体の動きは互いにフィードバックしあう

    ◯4章:頭と心
     ・p.112より記憶とは:
      「記憶の中に何ものかが蓄えられているというとき、それはすべてのことが詳細に記録されているということではなく、むしろいくつかのキーワードだけつけられて、整理保管されているというイメージに近い。記憶から何かを思い出そうとするとき、私たちはそのキーワードのいくつかを引き出し、残りの部分を知識に基づき当て推量で埋めるのである。したがって、記憶は決して正確ではないということになる」

    ◯5章:泣いたコンピュータ
    ・情動とはなにか⇒それを機会で再現できるか
     ←・行動の側面/外敵側面は再現可能
    ・p.166より引用:意識について
     「多くの人は、主観的情感を情動の本質と見なすようであるが、しかしながら、こうした見方は、情動を研究している最近の科学者や哲学者が採る考えではもはやなくなってきている。現代科学の立場からすると、ただ意識を有さないという理由でコンピューターが情動を持ち得ないとするのは、ただ適切な表情を作れないという理由で神経が麻痺した人間は情動がないと主張するのと同じくらいに馬鹿げている」
     「意識とは何かということに関して十分に納得の行く見解がなく、また、それについていかに研究をすべきかということに関する意見の一致もないということを考えれば、ただ意識的な機械は不可能であるという仮定に基づいて情動的なコンピューティングを否定する見方については、それがどんなものであれ、多少とも疑念をもって見なくてはならないだろう」

    ・最後に参考図書案内、それも原文のもの+日本語になっているものも紹介されていて大変ありがたい。あとで参考にしつつ色々読む

  • 感情に関する心理学の超まとめ本。
    「1冊でわかる」ようにまとめられているため、
    引用されている実験等の詳細は薄め。
    総括的にカバーしている内容と、外装が可愛いので☆4。

  • 「感情」(Emotion)とは何かについて網羅的に解説している。授業の予習のために活用。入門書として最適。

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