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Amazon.co.jp ・本 (212ページ) / ISBN・EAN: 9784000269766
作品紹介・あらすじ
「日本文献学」を提唱し、近代国文学の父とも称された芳賀矢一。「国学」から思想的な旧弊を取り除き、国際的な時代に適合する新しい学問へと改革することに尽力しつつ、教科書や辞書の編纂をはじめ、国語教育においても多大な貢献を成し遂げた。文献学者としての理想と使命の実践を貫いたその生涯を時代のなかに描き出す。
みんなの感想まとめ
近代日本文学の基礎を築いた芳賀矢一の評伝は、彼の提唱する「日本文献学」の深い理解を促します。著者は、芳賀の文献学が単なる国文学の枠を超え、国体を解明するための包括的な学問であったことを明らかにし、彼の...
感想・レビュー・書評
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「近代「国文学」の肖像」シリーズの一冊で、「日本文献学」の提唱者である芳賀矢一の評伝です。著者は書誌学の研究者で、芳賀の考える「文献学」がいったいどのような意味をもつものだったのかということに焦点をあてて、その内容を解き明かしています。
芳賀の立場は、こんにちのわれわれが理解する文献学とは異なり、きわめて広範な内容をふくんでいました。芳賀は、そうしたみずからの立場を裏づけるにあたって、アウグスト・ベックをはじめとするドイツの文献学者たちの説を参照しています。しかし、彼はベックらの思想を学ぶことで彼自身の「文献学」の理解を構築したのではなく、むしろそれらの思想に触れる以前から、国学の伝統を踏まえつつ、その偏狭さを乗り越えることで、日本の「国体」を解明するための包括的な研究のための基礎をなす学問の構想をいだいていました。彼がドイツの文献学者たちの思想を受容したのは、こうした彼自身の思想に合致するかぎりにおいてであり、その影響を過度に強調することはできません。
また著者は、こうした芳賀の文献学が、池田亀鑑をはじめとする後進に継承されていないことも明らかにしています。池田は、きわめて包括的な内容をふくむ芳賀の立場にくらべると、文献学の役割について非常に禁欲的な態度に終始しました。著者は「池田文献学」にも問題点があることを指摘しながらも、「芳賀文献学」が彼自身の学問的態度から切り離すことができないために、その後の「国文学」には継承されなかったと論じています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「近代『国文学』の肖像」と題された5冊のシリーズで、近代に「日本文学研究」の基礎を築いた5人の研究者について、古典文学研究者がその実像と学問の本質に迫る(ひとり1冊ずつ)。取り上げられているのは、「日本文献学」を提唱した芳賀矢一。国文学研究の枠だけにはおさまらない学際性を発揮した藤岡作太郎。古典の本文の校訂に力を傾けた佐佐木信綱。多くの古典に注釈を施し、新しい注釈のあり方を模索した窪田空穂。古代文学研究を基盤に常に文学の本質を問い続けた高木市之助。以上の5名である。合わせ読むことで、「古典研究」を通して日本がどのように近代化を進めようとしていたのかが窺われる。古典や歴史に興味がなくても、伝記としてもおもしろく読めるので、どれか一冊でも読んでいただきたい。
著者プロフィール
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