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Amazon.co.jp ・本 (200ページ) / ISBN・EAN: 9784000269858
感想・レビュー・書評
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アインシュタインについて書いた本というよりは、アインシュタインをきっかけに、近代物理学における態度について、前半はその流れや周辺。後半は著者の自伝を用いて書かれたもの。多少肩透かしに感じるが、それでも学び深い読書だった。
印象に残った一部は、著者の読書における原体験。
1960年代初めまで日本ではまだ海賊版と言う原書を無断で複写した本が出回っていた。教師の月給が2万円であった当時、新品の外国本は図書館でしか買えない代物。自分のものにする方法は古本屋だったと。偶然、古本屋でボルンの粗末な装丁の本を手に入れた。英語の本として初めてこれに一人で挑戦。これを最後まで読んだことで、急に自信がついた。こんな本一冊で一生食えるんだから本は安いなという考えがこみ上げてくる。
司馬遼太郎の引用、考察も面白い。明治日本が矜持を保ったのは指導層に江戸時代のエートスが生きていたから。この司馬遼太郎の言葉について、正否を詮索しないが、視点の新鮮さに驚くとともに本当かなと新たな課題を悟らされることが大事。われわれは身体に染み込んで心を揺さぶることのない多くの言明に囲まれながら居心地の良い言明にとらわれている。この自分の蒙を手軽に悟らせてくれるのが読書であるのだと。
日本ではフラフラせず意志が強い精神主義、一貫している整合性を尊ぶ規律主義の美学がある。司馬遼太郎は「精神主義と規律主義は、無能者にとって絶好の隠れ蓑である」ある程度実績のある原理原則を貫くことを行動基準にする精神主義は、たとえ無能者の隠れ蓑であってもその姿は美しく、人を感動させる。判断は間違いだが態度は正しい。認識が間違っていても自分への誠実さを貫いた態度は正しい。幕末の志士たちの人気の秘密もこの純粋な精神主義にある。なるほどな、と。
物理学においても、こうした精神主義的態度は決して無関係ではない。私は、本著をどうやら、単に読書論として楽しんでしまったが、それはそれで良しとしたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルと内容の乖離に驚きました。アインシュタインについて書かれた本ではない。前半で近代物理学について論じ、後半には著者の伝記のようなものが書かれている。著者は私と同郷だったのでちょっと親近感を持ったけど、特におもしろかったという印象はない。前半の物理学に関する文章も素人には難しい。
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