レイシズム (思考のフロンティア)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 48
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000270137

作品紹介・あらすじ

現代における人種差別主義とは、何によって定義され、作りあげられているのか。A.メンミ、サイードなどの定義を辿りながら、自他の「差異」「優劣」を捏造するメカニズムを解き明かす。さらに差別意識の発生に「言語システム」が果たす役割を指摘、永井荷風のテクスト分析により実証する。現在の差別と対峙する思考の創出。

感想・レビュー・書評

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  • 1章で人種差別について、2章で言葉について分析をして、最後に永井荷風の「悪感」を使って、テクスト分析をする流れは最後に1章と2章が結びつく感じして好きだったなぁ・・・!分析とか批評って難しいけど、読んでて単純に面白いなー!

  • 【目次】
    はじめに [iii-vii]
    目次 [ix-x]

    I 「人種差別主義[レイシズム]」とはなにか 
    1 「差異」が「差別」に転換するシステム 001
    2 「異質性嫌悪」発生の回路 017
    3 言語が形づくる「アイデンティティー」 024

    II 言語と差別
    1 子どもの言語習得過程と差別  035
    2 言語システムと差別のメカニズム 050
    3 『オリエンタリズム』にみる主体と客体の「非対称性」 064

    III 人種差別主義の言説 
    1 「大日本帝国」への自己オリエンタリズム 073
    2 "われわれ"="かれら"という転倒 084
    3 「ミュッセの詩集」が象徴するアイロニー 101

    IV 基本文献案内 117

    あとがき(2006年9月11日 小森陽一) [123-125]

  • 小森陽一『レイシズム』岩波書店、読了。21世紀に入ってより強化されているレイシズム(人種差別主義)。本書は現代におけるレイシズムを自他の「差異」「優劣」をねつ造するメカニズムと捉え、差別意識の発生に言語システムが深く関わっていることを明らかにする。現在の差別と対峙する思考導く1冊。

    著者は『エンシクロペディア・ウニヴェルサリス』(アルベール・メンミ執筆項目)に採用された人種差別主義の定義を導きの糸にしながら、差異が差別に転換するメカニズムの不当性(自己正当化と思考停止、不在の優越性への欲望)を概観する。

    定義は次の通り~
    「人種差別とは、現実の、あるいは架空の差異に、一般的、決定的な価値づけをすることであり、この価値づけは、告発者が自分の攻撃を正当化するために、被害者を犠牲にして、自分の利益を行うものである」(エンシクロペディア・ウニヴェルサリス)。


    異質なものとして「表象する」ということは「表象する」たえに使用している言語システムを共有する者たちの間で、「表象する」対象が「われわれ」とは「異」なっているということを、言語として定着する行為の実践が不可欠になる。

    差別意識の発生には「言語システム」が果たす役割が不可欠。著者は言語獲得の構造から解き起こし、ジラール、赤坂憲雄の議論から暴力と排除のメカニズムの特色とその欺瞞を明らかにする。後半の永井荷風のテクスト分析はその経緯を補完する。現在手に取りたい一冊だ。

  • 差別のプロトタイプを精神分析にまで遡って説明している点、興味深い。

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著者プロフィール

同名著者複数。

1. 小森陽一(こもり よういち)
1967年、佐賀県生まれの小説家、漫画原作者、脚本家。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業後、東映助監督、テレビ製作会社勤務を経て作家に。原案を担当した『海猿』は後にテレビドラマ化、実写映画化。マンガ原作の代表として、『トッキュー!!』、『天神-TENJIN-』。小説家としては「天神シリーズ」、そして2018年10月映画化される『オズの世界』。

2. 小森陽一(こもり よういち)
1953年、東京都生まれの研究者。東京大学総合文化研究科(言語情報科学専攻)教授。専攻は近代日本文学、近代日本の言語態分析、現代日本の小説と批評。全国「九条の会」事務局長。北海道大学大学院文学研究科修士課程修了。成城大学文芸学部助教授、東京大学教養学部助教授を経て、現職。
主な著書に、『ことばの力 平和の力――近代日本文学と日本国憲法』(かもがわ出版)、『記憶せよ、抗議せよ、そして、生き延びよ 小森陽一対談集』(シネ・フロント社)、『あの出来事を憶えておこう 2008年からの憲法クロニクル』(新日本出版社)など。

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