ポストモダニズムとホロコーストの否定 (ポストモダン・ブックス)

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (106ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000270779

作品紹介・あらすじ

果てしない相対主義を歴史にもちこんでユダヤ人大量虐殺の事実を否定する言説を助長したのはポストモダン思想なのか?歴史家をよそおい、執拗に世間の耳目を引こうとする否定論者の策略を暴きながら、ポストモダン思想が歴史について投げかける問いかけこそが、ホロコースト否定論と戦ううえで強力な武器になることを力強く説く。

感想・レビュー・書評

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  • ポストモダニズムの「歴史とは客観的で中立的な記述に留まることなどありえず、必ず歴史学者の世界観から眺めたものである。」という考え方が、どんな事実でも作り直されうるという風潮を作り、ホロコースト否定を生み出したという主張に対してポストモダニズムの考え方そのものを用いて異議を唱える。
    歴史は確かに歴史学者の世界観から眺められた物語のようなものであるが、ここでいう世界観は「何が起こったのか」についてではなく「どうやって調べるのか」に影響を及ぼす。つまりポストモダニズムの多様な世界観とは方法論において言えることであり、歴史学はその方法論に注目しなければならない。つまり過去を解明するために働くこと、信頼でき試験できる証拠を筋の通った方法を用いて言及すること。これらによってたとえ議論を生んでも「道理をわきまえた歴史」が成立するのである。本書で取り上げられたホロコースト否定論者の大御所、アーヴィングはこの二つを満たしていない。よって、ホロコースト否定論は欠陥のある歴史ではなく、そもそも歴史として論じることができないと結論づける。
    端的でわかりやすい。内容も個人的に非常に興味深く、刺激的。けれどホロコースト否定論など歴史修正主義の暴力性について触れた上で議論を展開すればより深みのあるものになったのでは。

  • 果てしない相対主義を歴史にもちこんでユダヤ人大量虐殺の事実を否定する言説を助長したのはポストモダン思想なのか?

    106ページと薄い小冊子。

  • 『ホロコーストとポストモダン』の著者イーグルストン教授 来日講演

    10月に刊行される『ホロコーストとポストモダン』の著者、ロバート・イーグルストン教授の講演会が東京大学でおこなわれます。
    イーグルストン教授は、ロンドン大学で現代文学・思想の教鞭をとり、とりわけ重要な研究として、ホロコーストが歴史・文学・思想のあらゆる領野に刻んだ深い影響についての研究をおこなっています。この講演“The Future of Trauma Theory”では、現代を考える上で重要な概念であるトラウマ理論について、新たな知見を披露されます。どなたでもご参加になれます。

    ■日時  9月20日(金) 午後3時より(開場2時30分)
    ■会場  東京大学駒場キャンパス 18号館4階コラボレーションルーム3
    使用言語・英語(通訳なし)、予約不要・無料

    2013年10月18日発行予定
    ホロコーストとポストモダン(仮)
    [著者] ロバート・イーグルストン [訳者] 田尻芳樹 [訳者] 太田晋
    四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/592頁
    定価 6,615円(本体6,300円)
    ISBN 978-4-622-07793-0 C1010

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    「果てしない相対主義を歴史にもちこんでユダヤ人大量虐殺の事実を否定する言説を助長したのはポストモダン思想なのか? 歴史家をよそおい、執拗に世間の耳目を引こうとする否定論者の策略を暴きながら、ポストモダン思想が歴史について投げかける問いかけこそが、ホロコースト否定論と戦うえで強力な武器になることを説く。」
    http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0270770/top.html

    岩波の本と何が違うのかな?

  • 2004年。

  • 無を有にしてしまうトリッキーなロジック。日常にいくつも発見できそうだ。大変参考になった。

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