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- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000280563
感想・レビュー・書評
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二宮宏之氏によるマルク・ブロックの評伝。歴史学を専攻していた私にとって、マルク・ブロックの名前はとてもなじみ深い。ブロックは、アナール学派・社会史の始祖的存在であり、まさに歴史学に「革命」をおこした人物であるといえる。本書では、そのブロックの生涯、主要著書の内容がわかりやすく解説されている。特に、単なる内容紹介にとどまらず、その作品の構造・仕組みを解き明かす3・4章は本書の白眉である。
本書を読んで私なりに感じたブロックの最大の特色は、全体性・相互連関性を重視して歴史を叙述するという姿勢である。歴史を持続的な側面と短期的な出来事との交錯という視点で描くというブロックの手法は印象深かった。理論や類型を、あくまで歴史を捉える単なる手段とみなし、それらを絶対視する自己目的化を戒めたブロックの態度も、歴史学を研究する上で見習うべきものだと感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示