達人、かく語りき (沢木耕太郎セッションズ〈訊いて、聴く〉)

  • 岩波書店 (2020年3月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (316ページ) / ISBN・EAN: 9784000280778

作品紹介・あらすじ

多様な分野の先駆者十人が、人生を切り拓いていくその想いを語る。書き下ろしエッセイ「「あう」ということ」も収録。【吉本隆明、吉行淳之介、淀川長治、磯崎新、高峰秀子、西部邁、田辺聖子、瀬戸内寂聴、井上陽水、羽生善治】

みんなの感想まとめ

多様な分野で活躍する「達人」たちとの対談を通じて、人生や創造の本質に迫る一冊です。著者がインタビュアーとして、各対談相手との関係性や空気感を巧みに引き出し、緊張感や親しみを交えながら深い対話を展開して...

感想・レビュー・書評

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  • 作者との対談集。インタビュイーとインタビュアーとが途中で入れ替わりながら、話を掘り下げつつあちこちに移る様は、読んでいて心地よいものでした。

  • 昨年発行された、沢木耕太郎の4冊の対談集、「達人、かく語りき」「青春の言葉たち」「陶酔と覚醒」「星をつなぐために」のうちの1冊目。吉本隆明を初めに、10人の「達人」たちとの対談が形成されている。
    それぞれの対談の時の空気感が、大きく異なっている。
    吉本隆明とは、初めての対談であり、沢木耕太郎の緊張感が感じられる。淀川長治とも初対面であるが、淀川長治という人物の特徴もあり、沢木耕太郎もあまり緊張していないようだ。磯崎新や高峰秀子は、沢木耕太郎からすれば随分と先輩にあたるのであろうが、旧知の仲であり話は弾む。井上陽水とは、ほとんど友人同士の世間話の雰囲気。
    沢木耕太郎は、対談の名手でもあるのだな、と感じた。

  • あの「深夜特急」が刊行されたのが、今から
    25〜6年前だと思います。

    そこで旅する沢木耕太郎氏は、20歳過ぎの若
    者であったから、沢木氏の年齢を勘違いして
    しまいがちだが、現在70歳を過ぎているので
    す。

    「深夜特急」を自分の中で整理して文章に落
    とし込むには20年近くの歳月を必要としたこ
    とは、つとに知られています。

    そんな「重鎮」でもある沢木氏のお付き合い
    のある著名人は、錚々たる顔ぶれです。

    吉本隆明、羽生善治、井上陽水などなど、「
    達人」たちとの対談集です。

  • 長年、沢木さんのファンで、対談も含め、作品のほとんどを読んでいる。セッションズと題された本シリーズは対談集。雑誌や既刊書に収載されたもので構成されているため多くは既読だったが、こうして一冊にまとめられると、また赴きが変わってくる。吉本隆明、淀川長治、田辺聖子、羽生善治などなど、豪華なジャイアントたちと一緒に、まさにその場限りの自由なセッションを実に楽しそうに沢木さんが演じている。
    昨年、沢木さんの講演を聴いたとき、本書のエピソードがいくつも散りばめられていた。もしかするとその頃編集されていたのかなと想像してニヤリとしている。

  • 沢木 例えば、ある体験をなんらかの形で、建物に反映させようと思うわけでしょう。その時に、磯崎さんは、まず方法について考えられた。それを自分の方に引きつけてみると、僕もやっぱり常に方法について考えつづけてきて、方法を考えることがジャンルについて考えることであり、何より楽しみということがあった。普通、あるジャンルで何かを生み出していくには、まず生み出すものが大事なんだって考えるんでしょうけど、僕の場合には、それを生み出す方法論がまず第一で、自分のテンションを維持するためにも、方法論を考えるというゲーム性がどうしても必要だった。だから、どうしても、方法によって生み出される結果は二の次という感じがあるんですね。

    沢木 そこで、唐牛健太郎という個人に対する興味が生まれてくるんですよね。彼が新橋で一杯飲み屋を開いたり、オホーツク海で漁師になったりと無頼な人生を送ったのは、元・全学連委員長としての役割を死ぬまで演じ切ろう、ということだったんですか?
    西部 1960年に背負った十字架を投げ出せないという覚悟はあったでしょう。問題は周囲が、自分たちの軽挙妄動な青春を正当化するためのシンボルとして、彼を使ったことです。俺たちの青春、革命とロマンの象徴の「唐牛健太郎」というわけ。唐牛はその意図を見抜いているのに、そして自分たちのやったことは屁みたいなものだと認めているのに、彼らの中心で頷いていました。僕は「今更革命もへったくれもあるか、馬鹿野郎」と元委員長が一括しないと、皆きちんと自分を振り返れないぜ、と彼に言っていたんです。
    沢木 唐牛さんは同じように思っていた気がしますが。
    西部 ええ、僕との間では大概そんな話でした。でも、彼は二面性を生きざるを得なかった。
     もっと言えば、唐牛には、自己犠牲への欲望があったと思います。何か崇高なもののために我が身を供したいという感覚は、実は1960年の青年の多くが共有したと思うんですね。貧乏で飢えてる状況を、せめて崇高なもののためと思い込まないと意義が見出せないから、とりあえず「革命」に飛びついただけかもしれませんが。でも山口二矢のテロにも自己犠牲の匂いがあるし、下村治さんたちも、自分の命を賭けても高度成長を成し遂げようと思った可能性がある。戦争で死んだ兵士たちも、たとえ間違いであってもお国の大事に犠牲になるのが運命だ、と思い定めたはずですよね。僕は特攻を美化するつもりはないけれど、自己犠牲の感覚なしにはできないことでしょう。その気持ちを、戦後は何らかの形で引き継ぐべきだったのに失ってしまった。だから、三島由紀夫は好きではないけれど、認めざるを得ないんです。

     対等に話すことができなくとも、ただ相手の話を聞くだけでもいいのではないか。そう思えるようになるまで、まだ何年かが必要だった。
     あるがままの自分がひとりと会い、あるがままにそのひとりの話をすればいい。早くそれに気がついていたら、もっと多くの魅力的な人と対談できていただろう。
     だが一方で、対等にという気負いも私には必要だったと思えなくもない。その気負いが自分以上の自分になろうと必死に背伸びをさせてくれていた。たぶん、ある時期に背伸びをするということは必要なのだ。なぜなら、背伸びをしなければ伸びない背もあるはずだからだ。
     もしかしたら、対談をするための滑稽なほどの背伸びが、私の背丈をほんの少し高くしてくれたかもしれない。そんなことを思わないでもない。

  • 沢木耕太郎は実に清潔な人だな、と思う。相手にすべてを委ねてしまうのではなくきちんと「相手を立て」つつ、しかし自分の意見を述べて相手に率直に切り込んでいく。専門外のジャンルであっても尊敬の念を以て相手に迫る。その迫り方も図々しさや厚かましさがないのでこちらも気持ちよく彼の言葉に耳を傾けることができる。和やかな、リラックスしたムードで行われる対談/セッションズの中に時折「キラリ」と光る言葉が出てくるから迂闊に読み飛ばせない。まさに達人と達人の言葉のぶつかり合い。私自身得られたものも多く有意義な読書をしたと思う

  • 2021年1月28日読了

  • 岩波書店+沢木耕太郎=ガチガチハードな内容かなと思いつつも手に取った一冊。様々な綴り方、
    聴く、聞く、訊く選択されたのは【訊いて、聴く】と題されたセッションズシリーズの一巻目。
    その意味の通り、各達人に対談形式に法って術を学び伺い、それにスパイスされた沢木流の応答が展開されるも見事もの!打てば響くその会話楽しく拝読させていただきました。淀川長治、高峰秀子、瀬戸内寂聴、羽生善治他、その中でも、磯崎新の「建築物の時間的価値感の変化と権利」大変参考になりました。沢木さん聞き手としてもナイスです。

  • 有り F/サ/20 棚:26〜27

  • 淀川さんは映画の世界に入り込むために独りでいる。
    高峰さんは深い穴の底で本を読みたい。
    【セッションのお相手】
    吉本隆明
    吉行淳之介
    淀川長治
    磯崎新
    高峰秀子
    西部邁
    田辺聖子
    瀬戸内寂聴
    井上陽水
    羽生善治

  • このシリーズの中で一番好き。といか好きな人が目白押しだった。
    淀川さんには気に入られたらしくお坊っちゃんねと終始からかわれていて面白かった。
    あと大好きなお聖さんともすごく仲良しでお聖さんの家に泊まったこともあるとか、カモカのおっちゃんと3人で飲んだり、これだけでもう著者の評価があがるわ。
    その他では高峰秀子、ほんとに竹を割ったような人、ハワイにいってもホテルで読書ばかりしてるっていうのがおかしい。年だから読んだすぐそばから忘れるけど読まないよりいいでしょって。ほんとわかる。
    瀬戸内寂聴、井上陽水、吉行淳之介らが印象に残った。

  • 読了 20200619

  • その道の達人と思われる人との対談集。達人の考え方が良くわかり、その場で一緒に聞いているような感覚で読んでいてとてもワクワクした。

  • 想定していた以上に面白かった。冒頭の吉本隆明との対談は、融通無碍な沢木耕太郎と、教条的な吉本隆明との対比がくっきりと浮かび上がる。

  • <昏>
    このような多編の対談集は著者の活動期間中に上梓し得る作品のうち,最後に残った一搾りという感じがどうしてもする。

    長い時間と手間を掛けて練って推敲された作品には,その場だけの対談集では,読み物としての完成度や全体を通した面白さはやはり遠く及ばない。

    でも読み手(僕です)が偶さか対談相手のファンであったりその人に強く興味を持ってたりすると俄然面白いお話になってくる。

    本書で僕の場合はやはり井上陽水,淀川長治,瀬戸内寂聴,羽生善治あたりかな。(誠に申し訳ないがそれ以外の方々のは概ねパスさせて頂いた)

    そしてまだあと3冊このシリーズはある。この第一冊目には『達人,かく語りき』という副題が付いていて,全4冊の中で最も達者な対談相手を選んで編んだらしいのだ。さてこの後はたして何人の対談相手のを読めるだろうか。

  • まさにセッションというのがふさわしい不思議な対談。相手の今をうまく聞き出している。将棋の羽生名人、田辺聖子、瀬戸内寂聴が面白い

  • 20200418 新聞でセッションズが出版されると知って発売日に購入した。達人は達人を知るという通り、自分では思いもしない考えのやりとり。参考になる。わかると言うより、自分の人生でモヤモヤしていた事に答えがもらえたようなこともある。シリーズは全て読もうと思う。

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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