水族 (Coffee Books)

  • 岩波書店 (2009年1月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (80ページ) / ISBN・EAN: 9784000281744

みんなの感想まとめ

近未来の世界で、動物園の夜警を任された主人公は、唯一の人間として水中の生活を送ることになります。地球の陸地が海に沈み、他の人々は遺伝子操作によって水棲生物となった中で、彼だけが肉体から解放される様子は...

感想・レビュー・書評

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  • 主人公に任されたのは動物園の夜警の仕事。住居は水中のアクリル板の部屋。でも違った。地球の陸は海に沈み,人は遺伝子操作で水棲生物となる。主人公以外全部。ラスト水中で生きられない主人公は肉体から解放され…解釈は自由

  • 大好きな作家さん・星野智幸氏が、ガルシア・マルケス贔屓だったことをご自身のつぶやきで知り、マルケス氏訃報の新聞インタビュー記事も拝見しました。『水族』を読み返したくなったとの私のリツイートつぶやきに、まさかの星野さんからのお返事が!感激すぎて、アワアワしています(^^;;
    というわけで、まずはこれを読んで心を落ち着けようとしましたが…うわーやっぱりいい!
    この世界観、近未来的でありながら、原始的で官能的。身体中の海成分?が、泡立つような感覚に陥りました♡
    この作品もマルケスと安部公房にインスパイアされているとか。
    マルケス作品を読みたいのに、星野智幸さん作品を読み返しそうだわσ(^_^;)

  • 妻が「最後がよくわからなかった」と述べていた。思うにそれは「物語」的ではないラストだったということではなかろうか。

    「物語」というのは歴史もそうであり、基本的にマジョリティにとってのものであると思う。ある視点から(多くの場合は語る側が都合よく)纏め上げるものだ。集約させるためのお話。

    この小説の主人公は最後の人類であり、究極のマイノリティである。彼は独りであるがゆえに歴史に近い「物語」は語りえない。ある価値基準から語ることはできない。共有者がいないためである。それでも語るとしたら、それは神話に近いものになる。

    クライマックスは「物語」のように集約するものではなく、むしろ拡散していくものだ。最後の人類である主人公は、進化論を逆にたどるかのように変化していく。それは進化でも退化でもなく、ひたすらに拡散していく。それを心地よく感じた。

  • まずこの題名が好き。屋上雨林とか空飛ぶ魚がトカゲを食うっていう絶妙な世界観も好き。私はこの物語を在日コリアン(猿人)と日本人(水棲人)の戒めを込めた寓話物語として読んだ。
    いかんせん絵が怖い。風景は影がある色使いで美しく大好きなのだが、魚とか人物の目が不気味にでか過ぎる。夢に出てきそうで困った。

  • 不思議な世界観。
    ファンタジー?SF?
    挿絵がまたその世界観を妖しく彩る。
    小野田さん。

    星野さん、ちょっと他の作品も読んでみたい。

  • 主人公の雨利は巨大な水族館の中に部屋(宿直室)を与えられてただ生活するという「仕事」をこなしているが、自分以外の人類は水棲人間として進化していた。地球温暖化に伴う海水面上昇で陸地が無くなった未来を描いた作品。「猿の夢は見る?」とか「息するのはすき?」という奇妙な質問の意味が分かってくるにつれて、心がざわめいた。最初は不思議な世界観が単純に面白そうと思って読み始めたが、最後は罠にはまった気分。竜宮城のような、水中の夢物語のような印象。

  • 2017.10.01 図書館

  • 水族館の飼育係が主人公の、奇妙なお仕事小説かと思っていたら…。
    ユニークな発想と幻想的なイメージを楽しめる作品でした。

  • 素晴らしかった。ワタシは水底というと不穏な感じがどうしてもともなってしまう。代々木に大きな湖があって、その湖は普通の真水ではなく海水で出来ていることはすぐに分かる。水圧でぎしぎしいう施設のことを考えるとこっちも息苦しくなる。その施設で暮らす主人公が自分がどんな存在なのか気がついていくのにどきどきした。近未来小説。イルカから進化した人類の歴史というのがとても面白いと思った。

  • 以前『俺俺』と『虹とクロエの物語』を読んだ。この作品の雰囲気は『俺俺』の方に近い。ただ、『俺俺』に比べて内容的にも分量的にもこじんまりとまとまっているので、やや物足りない。しかし読みやすいので、著者の物語世界に軽く身をゆだねるにはよい。装丁や挿絵からも、そうしたコンセプトで執筆されたものであり、そういう意味では素晴らしい。

  • 2009年2月21日読了。

    主人公の雨利潤介、水族館の管理人という認識だったのだが実は……。こんな未来にもなりうるのか。一度読んだだけでは話がつかめなくて、さらにもう一度読み返しているところ。
    小野田維さんの絵が何とも不思議な雰囲気。絵からイメージされた小説だという。こういう絵本のようなお話も良いなぁ。

  • 水の中の部屋で済み、巡回をする仕事を得た潤介。
    東京は水が押し寄せアマゾン化が進んでいた。
    しかしおつむが足りず何も教えられていない潤介はなんとなく変だなとだけ思い、自分の仕事のみをこなす。

  • 2015 2/1

  • 動物園や水族館にいるものたちの事を思う。

  • 不思議な感じの本。

    水族館の24時間監視員となった「ぼく」は、
    実は、水中生活に適応できなかった(されなかった)唯一の生物であり、
    「見る側」ではなく、「見られる側」であった・・・。
    霊長類の先祖はイルカ、と歴史を書き換えてみても、人間を水中生活可能な体に作り替えた罪悪感に耐えかね、
    適応させない体のままの種族を残した。その最後の一体になった「ぼく」だった。

    神秘的な絵と合って、ステキに不思議な本となっております。

  • 挿画の印象で、幻想小説かと思って読み始めたけれども、のっけから「便器」「うんこ」と連呼していて、これはもう少し、リアル寄りな心持ちで読まなければ、と気を引き締める。

    美しいようでいて、けして桃源郷を描いているのではない、むしろ生々しさを伴った少し悲しいSF小説でした。
    (カテゴリは小説で登録)
    何かの寓話を読みとれるのか、考えてみたけれど、私が感じたのは「悲しみ」でした。

    挿画の印象が大きかったから、文字だけとか、あるいは別の挿画家の絵で読んでいたら、また違った感想になるのかな?

  • 通りで蒸すわけだよ。

  • 動物園の警備もどきの仕事をするために水族館の地下に暮らすようになった潤介が主人公。
    話が進むにつれて世界観がどんどんと変化して潤介は水没した世界での人類最期の生き残り、周囲は遺伝子操作で生まれた水棲人や水棲動物達の世界、ということでした。

    何だか不思議な話で、読み終わったあとは「だから?」と思ってしまったけれど挿絵が素敵だったのでまぁまぁの読後感。

  • 地球温暖化が問題になっているせいか、この手の自然災害に人類をはじめ生あるものがどう対応していくかというテーマを最近よく見かけるようになった。そしてやはりどうしても似たような結論に達してしまうのが残念だが、その一方、描かれるドラマや小道具の違いが楽しみでもある。本作のラストは主人公が心の安らぎを得る結果となった反面、離脱していく姿を見送る読者側としては寂寥感がぽこりぽこりと浮き上がり、何ともいえぬもの哀しさがいつまでも尾を引く思いだった。

  • 人が水棲になる話。幻想的なのだがおぼれたみたいに息苦しく感じる。
    2009/10/18

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著者プロフィール

1965年、 アメリカ・ロサンゼルス市生まれ。88年、 早稲田大学卒業。2年半の新聞社勤務後、 メキシコに留学。97年 「最後の吐息」 で文藝賞を受賞しデビュー。2000年 「目覚めよと人魚は歌う」 で三島由紀夫賞、 03年 『ファンタジスタ』 で野間文芸新人賞、11年 『俺俺』 で大江健三郎賞、15年 『夜は終わらない』 で読売文学賞を受賞。『呪文』 『未来の記憶は蘭のなかで作られる』 など著書多数。

「2018年 『ナラ・レポート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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