本の話 (岩波写真文庫)

  • 岩波書店 (2008年3月5日発売)
4.00
  • (5)
  • (1)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 37
感想 : 3
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (68ページ) / ISBN・EAN: 9784000282185

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 1953年当時の書籍出版にまつわる裏表のすべてを、写真と的確な言葉でもって、ひとつひとつ順を追って、論理的かつ簡潔にまとめてあり、本作りに対するプロ意識と情熱を感じた。ページ数はたいしたことない中綴じ本だが、内容は1トンくらいある。本好きにとっては星5点じゃ足りない星100点の本。

    例えば取次店のページ冒頭。

    「出版社は、本ができると直接読者や小売店に売る場合もあるがそれでは大部数を全国にわたって売りさばくことはできないし集金も容易ではないので一括して取次店におろす。」

    こんなに分かりやすい説明あるだろうか。集金!確かに大変だろう。本を作るのと、全国津々浦々回って物を運んでお金を集めるのとでは確かに仕事の内容がまるで違う。例えばアメリカには日本のような「町の本屋さん」が全然ないからハーレクインロマンスは新聞スタンドに置くことで販売範囲を広げたし、ウェブ上で清算して直接届けてくれるAmazonも大成功した。一方の日本は、取次店が日々頑張ってくれるおかげで全国どこでも当たり前のように本を手にとってながめてから買える。改めて考えると心底ありがたい。そういえばAmazonだと新刊本ですら傷ついて届いてがっかりする事が多いのだが、日販がやっているe-honブックサービスで注文した本はものすごく丁寧に梱包されていて、同じネット通販でもクオリティが違う。

    活版印刷や写植の手順など、今は亡き印刷技術を擬似体験できるのも良かった。デザイナーの卵や印刷業界で働く人々にとっても有り難い内容ではないかと。

    なんとなく活版印刷というのは『銀河鉄道の夜』でジョバンニが詰めていたような、活字のつまった重たい箱を、本が刷り上がるまで全ページ分保管しているのだろうか、かさばっちゃって大変だなと思っていたが、そうではなく、紙に凸凹を写して、そこに鉛をながして鉛の版を作るという過程があった。この本ではじめて知った。

    当時の岩波書店の内部や外観も写真にあり、当時がしのばれてタイムマシンのようで楽しい。蔦のからまるカッコいい社屋だ。

    あと、読者カードが意外と重要視されていて驚いた。これまで著者や出版社は雲の上の遠い場所に存在して、本を買う我々一般人はただ落ちてくる実を受け取るのみ、みたいな一方通行の意識でいたので目から鱗だった。出版社の意識はこれだったのかと。

    「出版社は出版物によってまた読者カードによって常に読者と結ばれている。」p.51

    もう読者カードは差しっぱなしにせず、自分で切手を貼らなければならないのでもちゃんと出版社に送ろうと心に誓った。とにかく、本がますます好きになる本だった。

  • <a href=\"http://magazine-k.jp/2012/06/27/epublishng-and-ebooks-for-everyone/\" target=\"_blank\">マガジン航の記事</a>で紹介されていて、気になったので購入。
    1953(昭和28)年の本なのに、今と変わらぬ出版・書籍文化の問題点を指摘されていることに驚愕。この本は昭和の「本とコンピュータ」なのかもしれない。
    あらためて岩波写真文庫というシリーズに驚嘆。カラーブックススタイルの初期型という雰囲気。気になるタイトルも発見したので、古書店で猟書しなくては。

全2件中 1 - 2件を表示

岩波書店編集部の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×