バガヴァッド・ギーター: 神に人の苦悩は理解できるのか? (書物誕生-あたらしい古典入門)
- 岩波書店 (2008年12月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000282864
作品紹介・あらすじ
人間の苦悩の果てに、何かが変容する。非暴力をつらぬくガンディーの精神的よりどころとなり、死の床にあるシモーヌ・ヴェイユが愛読した、ヒンドゥーの聖典。
感想・レビュー・書評
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「バガヴァッド・ギーター」(श्रीमद्भगवद्गीता)は,ヒンドゥー教の聖典のひとつで,ヒンドゥーの叙事詩『マハーバーラタ』第6巻にその一部として収められている。
細かい内容は訳本を読んだときに書くとして,ここでは本書について。本書は「バガヴァッド・ギーター」の,書物の成立から後世の受容についての解説本であり,フンボルトやヘーゲル,ガンディー,ヴェイユなどがその対象となる。
インドの哲学や思想を学ぶにあたって,色々と流派はあると思うが,特に「バガヴァッド・ギーター」について考えを巡らせることで,基礎づけになると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一般的にヒンドゥー教の聖典とされる『バガヴァッド・ギーター」をそこに登場する戦士アルジュナの側から読み説こうとした本である。しかし、この聖典の成立についての歴史的背景や他のインド聖典群の中での位置づけといった基本的な情報についても分かり易く書かれている。また、この最も世界で読まれているサンスクリット聖典に魅了された人々について書かれた思想史本のような内容でもあり、そこがユニークである。個人的には、ガンジーがこれをどう読んで、自らの思想の糧としたかという当りは読み応えがあった。
とはいえ、『バガヴァッド・ギーター』の最後というのは、個人的にどう理解するか(笑)。クリシュナはすべてを私に任せよ、と言うけれど、本当に任せていいのか、と(笑)。
いずれにせよ、この本自体もとても面白いし、『バガヴァッド・ギーター』自体も面白い。本書のような学術書が書かれるということは素晴らしいことだと思うし、それは赤松先生の力量あってこそだろう。学問をする、勉強をするとはどういうことかをも教えてもらった気がする。 -
アルジュナのことを理解したかったらバガヴァッド』・ギーターのこと理解しないといけないよなーと感じて読んでみることにした本。
すごく面白かったです。消化出来てるかどうかは別にして…。 -
ヒンドゥー教の聖典『バガヴァッド・ギーター』をそのストーリーと歴史上の様々な人物の解釈から解説していく入門書。
戦に向かうのを止めてしまうアルジュナ王子と神の化身であるクリシュナの対話からなるギーター。行為の結果を求めずただ行うことを説いているらしい。ヨーロッパの哲学者達やガンジーらがどうギーターをとらえたのかを記しながら説明していく。
身内との戦争を拒み続けたアルジュナはクリシュナの神としての保証を受けついに立ち上がる。神は最後に人間の全ての苦悩を受け止めたと作者は解釈する。これは小乗仏教的なとらわれからの離脱ともとれるし、唯一神教的な神への絶対帰依の様でもあると感じた。
難解だがギーターやヒンドゥー教の理解の入門としてお勧め。 -
『バガヴァッド・ギーター』―神に人の苦悩は理解できるのか?を読了しました。
『バガヴァッド・ギーター』はヒンドゥーの聖典として、特に重要なものとして位置付けられています。『バガヴァッド・ギーター』は結果への執着を捨て行為せよという「無私の行為」を教示するものとされています。これを観念的ではなく実践的に実行したのはガンディーでした。
ガンディーは暴力に対する姿勢として非暴力運動を行いました。『バガヴァッド・ギーター』はそれ自体は戦争という行為をエピソードを取り扱っていますが、そのテーマは「無私の行為」であることから、ガンディーの思想に何ら不整合は生じないと考えます。
戦争という行為の道義的な問題については、このバガヴァッド・ギーターのテーマとしては重要ではなく寓意的に捉えてよいと思います。 -
[ 内容 ]
人間の苦悩の果てに、何かが変容する。
非暴力をつらぬくガンディーの精神的よりどころとなり、死の床にあるシモーヌ・ヴェイユが愛読した、ヒンドゥーの聖典。
[ 目次 ]
第1部 書物の旅路―バガヴァッド・ギーターの誕生(聖典の誕生;原型を探る;出版と新しい学の誕生)
第2部 作品世界を読む―人の苦悩と神の変容(神の表象をめぐって;人の苦悩のありか;アルジュナついに立つ―第一八章読解)
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