朱子―“はたらき”と“つとめ”の哲学 (書物誕生―あたらしい古典入門)

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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000282871

作品紹介・あらすじ

朱子学は封建的な大義名分論としてイメージされるが、「朱熹」その人は実は朱子学者ではない。本書は、南宋という時代を生きた朱熹という一人の人物の生涯をたどり、そこに交錯する歴史の現場に立ち会いつつその思考の核心を捉える、新たな「読み」の実践である。職・理・事・命・性などの重要語をめぐる朱熹の注解に肉薄するとき、彼が鋭敏な眼で現実を見据え、時代の課題に向き合い、生涯を賭けて彫琢した哲学的ヴィジョンが姿を現す。

感想・レビュー・書評

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  • [ 内容 ]
    朱子学は封建的な大義名分論としてイメージされるが、「朱熹」その人は実は朱子学者ではない。
    本書は、南宋という時代を生きた朱熹という一人の人物の生涯をたどり、そこに交錯する歴史の現場に立ち会いつつその思考の核心を捉える、新たな「読み」の実践である。
    職・理・事・命・性などの重要語をめぐる朱熹の注解に肉薄するとき、彼が鋭敏な眼で現実を見据え、時代の課題に向き合い、生涯を賭けて彫琢した哲学的ヴィジョンが姿を現す。

    [ 目次 ]
    第1部 書物の旅路―朱熹、その生と思索の現場から(朱熹の生涯;朱熹の生きた時代;「職」と「理」)
    第2部 作品世界を読む―『四書集注』に見る哲学的ヴィジョン(「天命之謂性」の注解を読む―『中庸章句』より;「明明徳」の注解を読む―『大学章句』より(1)
    「格物」の注解を読む―『大学章句』より(2))

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    [ 参考となる書評 ]

  • 薄いが革命的な朱子学研究の書物だと思う。著者の説のポイントは「命」(パーソナルな任命)を「令」(パブリックな仕来り)と読み替え、「物」を「職」と読み替える点にある。どちらも『説文』や『呂氏春秋』や『春秋繁露』に出典のある訓詁であるが、これをもとに従来、明確でなかった「天命之言性」の「性」が「天から与えられた職務事項」と分析される。また、「物」が「職」と読み替えられることで、「格物」が「天から受け継いで我がものとした命の職務事項を果たすこと」という朱子学のテーマが読み解かれていく。前半の「たたかう民政官」としての朱子という見方も(著者が昔から主張しているがやはり)新鮮で、朱子等が実践した「社倉法」という村落共同体の穀物備蓄システムを中心に朱子の生きた時代を語っていくところも大変興味深い。また、自らのものでありながら、根本においては天から授かった私有されない生命という観点は、生命倫理の文脈からも貴重な指摘だと思う。さらに、訓読や読解の随所にみられる著者の言語感覚の鋭さも勉強になる。中国思想を学ぶ人は玩味すべき本であろうし、生命について考えたい人にも参考になる良書であろう。

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