ウェルギリウス『アエネーイス』―神話が語るヨーロッパ世界の原点 (書物誕生―あたらしい古典入門)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 31
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000282895

作品紹介・あらすじ

みずからの激動の時代体験をとおして人間と社会の問題を深く掘り下げ、知的苦闘の中から作品を生み出したウェルギリウス。このラテン文学最大の詩人が後世にあたえた影響ははかりしれない。彼の遺した大叙事詩『アエネーイス』により「ヨーロッパ」という概念は初めて創られ、またダンテ『神曲』においては主人公を冥界に導く人々としても描かれた。『アエネーイス』は、民族や人種を超え、個人が相互の理解と尊重により結びつけられる社会を創るという理想と、その実現のための大きな苦難を、ローマ建国の英雄アエネーアスに体現させて謳いあげた作品である。ここに込められた詩人の未来へのまなざしは、今なお英雄と同じ苦悩を背負って生きる人類への励ましでもある。

感想・レビュー・書評

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  • ヨーロッパ世の古典中の古典とされる作品の解説、ということで期待いと難しすぎたらどうしようという不安と共に一気に読み進めた。難しすぎるということはなく、読みやすい文章で、1日で読めた。アエネーイスが平和に向かって歩んでいく様が描かれているが、こういう作品が、西欧世界の基調を表しているのがとても興味深く感じた。とても面白かった。

  • 古代ローマ屈指の詩人ウェルギリウスと彼の代表作となる大叙事詩「アエネーイス」をひもといてくれる本です。

    「アエネーイス」は、そのラテン語タイトルを訳すると、「アエネーアスの物語」。中世の巨匠ダンテは、詩人ウェルギリウスを深く尊敬していたようです。「神曲」の中でも、主人公ダンテの遍歴を教え導く重要な登場人物となっていますし、ダンテが幽玄界に降りていく設定や様々な描写をみてみても、間違いなく「アエネーイス」にインスパイアされたものと感じます。

    プブリウス・ウェルギリウス・マロ(BC70年~19年:英語名ヴァージル)は、古代ローマ共和制末期、初代皇帝アウグストゥス時代の巨匠です。争いや殺戮が繰り返され、ひどく混乱していた激動の時代背景からでしょう……「アエネーイス」では、人々の平和や共生への希求が滲み出ています。はてしない人間の戦争そのものではなく、破壊や争いのその先にある平和の理想や民族・人種を超えた共生のための秩序を創造したい、というウェルギリウスの切なる想いが物語を通してひしひしと伝わってきます。
    終わりのない覇権争奪、金や人や労働力や資源の飽くなき搾取のために、いつまでも戦争や内戦をやめようとしない現代社会に生きる私たちにも鋭く問われているものではないかな……と思えてなりません。

    2002年、ノルウェーの愛読家団体がおこなった、世界54か国の著名作家100人を選ぶ「史上トップ100のフィクション物語」(イギリス・ガーディアン紙)では、「アエネーイス」は、トップ100選入りの作品となったそうです。
    そこでは、ホメロスの「イリアス」、「オデュッセイア」、ギリシャ三大悲劇詩人ソポクレスの「オイディプス王」、そして、エウリピデス「メディア」と並んだとのこと。ちなみに日本の作品では、「源氏物語」がエントリーしたようです。

    「アエネーイス」は、西洋文学界では非常に著名な教養古典文学で、つくづく思うのは、世界に名だたる文学作品というのは、時代の病を背負いながら、はるかな時を軽々とこえて読み継がれ、人々の心にいつまでも残り続けますね。とりわけ古典的作品は、何度も読み返したくなる奥深さがあるように思います。

  • 第1部 書物の旅路―歴史の中の『アエネーイス』
    第2部 作品世界を読む―叙事詩が語るローマの起源
    の大きく二つに分かれる構成。

    第1部においては、この書物の位置づけ、意義が述べられており、ヨーロッパの思想に大きな影響を与えたことが述べられている。キリスト教がヨーロッパの考え方のベースとなっていることは分かるが、キリスト経以前の詩がヨーロッパの思想に影響があることが感覚としては飲み込みにくい。
    第2部の作品解説は、解説がよいせいか、物語自体面白く感じさせてくれる。

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  • [ 内容 ]
    みずからの激動の時代体験をとおして人間と社会の問題を深く掘り下げ、知的苦闘の中から作品を生み出したウェルギリウス。
    このラテン文学最大の詩人が後世にあたえた影響ははかりしれない。
    彼の遺した大叙事詩『アエネーイス』により「ヨーロッパ」という概念は初めて創られ、またダンテ『神曲』においては主人公を冥界に導く人々としても描かれた。
    『アエネーイス』は、民族や人種を超え、個人が相互の理解と尊重により結びつけられる社会を創るという理想と、その実現のための大きな苦難を、ローマ建国の英雄アエネーアスに体現させて謳いあげた作品である。
    ここに込められた詩人の未来へのまなざしは、今なお英雄と同じ苦悩を背負って生きる人類への励ましでもある。

    [ 目次 ]
    プロローグ ウェルギリウスとは誰?
    第1部 書物の旅路―歴史の中の『アエネーイス』(「西洋の父」ウェルギリウスとヨーロッパ世界の誕生;詩人ダンテを冥界に導く;現代世界のもう一つのウェルギリウス ほか)
    第2部 作品世界を読む―叙事詩が語るローマの起源(ギリシア詩人ホメロスとの対話;廃墟からの出発―嵐とトロイア陥落;遍歴と出会い―地中海放浪とカルタゴ ほか)
    エピローグ 平和と共生をめざして

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