兵士たちの戦後史 (シリーズ 戦争の経験を問う)

著者 : 吉田裕
  • 岩波書店 (2011年7月27日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000283724

作品紹介

アジア・太平洋戦争の敗戦後、生き残った兵士たちは復員し、市民として社会の中に戻っていった。戦友会に集う者、黙して往時を語らない者…兵士としての不条理な経験は、彼らのその後の人生をどのように規定していったのか。「民主国家」「平和国家」日本の政治文化を底辺から支えた人びとの意識のありようを「兵士たちの戦後」の中にさぐる。

兵士たちの戦後史 (シリーズ 戦争の経験を問う)の感想・レビュー・書評

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  • [ 内容 ]
    アジア・太平洋戦争の敗戦後、生き残った兵士たちは復員し、市民として社会の中に戻っていった。
    戦友会に集う者、黙して往時を語らない者…兵士としての不条理な経験は、彼らのその後の人生をどのように規定していったのか。
    「民主国家」「平和国家」日本の政治文化を底辺から支えた人びとの意識のありようを「兵士たちの戦後」の中にさぐる。

    [ 目次 ]
    序章 一つの時代の終わり
    第1章 敗戦と占領
    第2章 講和条約の発効
    第3章 高度成長と戦争体験の風化
    第4章 高揚の中の対立と分化(一九七〇年代‐一九八〇年代)
    第5章 終焉の時代へ
    終章 経験を引き受けるということ

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  •  69回目の〈敗戦告知の日〉の後、ずっと読まなくてはと思っていた1冊をようやく手に取る。歴史書なのに、著者の体温がしっかりと伝わってくることに強い感銘を受ける。
     
     著者ならではの圧倒的な資料の博捜と、隣接領域を含めた先行研究への目配りはさすがと思わせられる(参照すべき文献のリストがえらく増えてしまった)。だが、本書で最も重要なのは、帰還兵たちの心のひだに寄り添い、その思いの内側に分け入って行こうとする筆者の姿勢である。復員=帰還から高度成長期、1990年代へと年代ごとに戦史・戦友会誌の記述をたどりながら、筆者は、他の論者が一言の評価で片付けてしまうような言葉のニュアンスを大事にし、そこに見える〈意識〉のありようをあとづけていく。そうした記述を積み重ねていった結果、元兵士たちの戦後の生を、「「生きる」という実践を通じた壮大な「学習」の過程であった」と結論づけていく点には、感動すら覚えてしまった。
     
     だが、そうであるがゆえに、本書の著者は、〈物語〉に資料を引きつけてしまった部分があるのではないか、とも言える。元兵士たちの声のアーカイヴを、自分の願望=結論の側に引きつけてしまっているのではないか、ということだ。この本は、元兵士たちの〈和解〉を可能にする仕事だと思うが、それはあくまで、軍隊文化・企業文化と継続した男性たちだけの〈和解〉ではなかろうか。物事を評価するのは難しい。元兵士たちも〈これだけ進んだ〉という言い方はできるし、それを見出していくことはとても重要だ。しかし、やはり〈これだけしか進めなかった〉とも言えるのである。著者のいう「学び直し」を、わたしは、その認識から始めたいと思う。

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