資源の戦争――「大東亜共栄圏」の人流・物流 (シリーズ 戦争の経験を問う)

著者 :
  • 岩波書店
3.50
  • (0)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 17
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000283779

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 倉沢愛子『資源の戦争 「大東亜共栄圏」の人流・物流』岩波書店、読了。本書は、東南アジア地域研究者の筆者による「日本の戦時経済政策の分析を、現地の社会の状況分析と突き合わせていくこと」で大東亜共栄圏の実態を明らかにする労作だ。 http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN978-4-00-028377-9

    共栄圏確立の為に実施された経済施策の殆どは、現地の実情や民生の向上とはほど遠いことを本書は丁寧に論証する。本音と建て前の分断のみならず「それだけの犠牲を強いて実行した資源取得政策が、日本の目的にさえかなわなかった」ことには驚く。

    資源獲得の為に南方に「進出」したが、その実態は獲得どころではない。住民を餓死・酷死させるほど供出させた食料や資源は、輸送力不足のため現地で投棄されている。抑もプランテーションの東南アジアは食料輸入国なのである。実情を無視した搾取といってよい。

    近年、政治家による、戦争を美化・正当化する発言が相次ぐ。そして賛美の拍手が止まない現状。しかし実相をみるとどうか。知人が「大東亜共栄圏」は実のところ「大東亜共“貧”圏なのでは?」と言ったが、それが現実であろう。本書の史料と聞き取りに真摯に耳を傾けたい。

  • [ 内容 ]
    「大東亜」戦争期の東南アジア経済は占領者日本に蹂躙され、「大東亜共栄圏」はその名に反して住民に甚大な犠牲を強いた。
    ロームシャは「資源」とされ、命を粗末に扱われた。
    また、敗戦の色が濃くなるにつれて日本の輸送手段は破壊され、物資の滞留と廃棄を招いた。
    無駄遣いされた資源の実態と住民の無念さに、豊富な聞き取りと一次資料から迫る。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

倉沢 愛子
慶應義塾大学名誉教授
Ph.D. in History(Cornel University)、博士(学術)東京大学
1970年東京大学教養学部卒業、1978年コーネル大学大学院修士課程修了、1979年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。1993年名古屋大学大学院国際開発研究科教授、1997年慶應義塾大学経済学部教授、2012年より同大学名誉教授。専門はインドネシア社会史。
主な業績:『日本占領下のジャワ農村の変容』(草思社、1992年)、『東南アジア史のなかの日本占領』(編著、早稲田大学出版部、2001年)、『「大東亜」戦争を知っていますか』(講談社、2002年)、『岩波講座 アジア・太平洋戦争(全8巻)』(編著、岩波書店、2005~2006年)」、『戦後日本=インドネシア関係史』(草思社、2011年)、『資源の戦争――「大東亜共栄圏」の人流・物流』(岩波書店、2012年)ほか。

「2017年 『日本帝国の崩壊』 で使われていた紹介文から引用しています。」

倉沢愛子の作品

ツイートする