日本で生まれた中国国歌: 「義勇軍行進曲」の時代 (シリーズ日本の中の世界史)
- 岩波書店 (2019年2月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000283878
作品紹介・あらすじ
中国国民党の幹部・邵元冲と張黙君夫妻、後の中華人民共和国国歌を日本で作曲した聶耳――近代中国を生きた著名な三人はいずれも留学などを通して日本と深い関係を有していた。彼らは日本に何を求め、そして日本は彼らの期待に応えることができたのか。三人の眼に映じた20世紀初頭の日本の姿を通して、日中関係の原点を問い直す。
感想・レビュー・書評
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邵元冲、その妻の張黙君、聶耳を中心に20世紀初〜30年代の日中関係を描く。ざっくり言えば、当初は日本に倣った近代化。日本留学だけでなく、日本教員の招聘も。それが、1910年代後半〜20年代半ばは、欧米の思想流入やロシア革命、二十一か条要求などがあり、日本の影響は相対的に小さくなる。1920年代末は日本側が幣原外交から田中外交、第2次幣原外交と動く中、中国側は主権回復の外交努力。しかし1930年代には満洲事変勃発。
この時代の日中関係は、教科書に載るような公式の関係以外にも、中国人の中で日本の存在感は、過大視はできないがそれなりにあったことが分かる。邵元冲や聶耳自身、また蔣介石や周恩来など、多くの中国人に何らか日本との縁があったわけだ。日本人でも、多数派ではないが左派や一部教育者には中国との連帯を模索する動きもあったようだ。
なお、張黙君との関連で、民国初期の女子教育の記述も興味深かった。都市部中心だろうが、清末の良妻賢母教育から女性運動へと変化していく。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
東2法経図・6F開架:319.2A/Ku11n//K
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