近代日本の心情の歴史 (定本 見田宗介著作集 第4巻)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000284844

感想・レビュー・書評

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  • 『近代日本の心情の歴史』のほか、3編の論考を収録しています。

    著者は、近代日本における流行歌を分析するに際して、そこに歌われてる題材(テーマ)以上に、心情に注目します。それは、たとえば「折鶴」が慕情を示し「雨だれ」が孤独を思わせるように、歌詞の中に現われる言葉には固有の心情の雰囲気が込められており、流行歌の歌詞に取り入れられるさまざまな事物は、それを通じて民衆意識の心情に働きかけるからにほかなりません。著者はこのような観点に立って、明治から戦後に至るまでの近代日本社会の歩みと、それぞれの時代における流行歌に現われた心情の方向性がどのように関わり合っているのかを考察しています。

    非常におもしろいと感じたのですが、流行歌に歌われる心情と、その時代の社会状況がどのような仕方でつながっているのかを理解するためには、それぞれの心情が人間にとってどのような意義を持っているのかがある程度明確になっているのでなければなりません。本書中でマックス・シェーラーの哲学的感情論に触れられている個所がありましたが、感情の哲学的考察を社会と実存の間に挟むことで、本書で展開されているような分析の意味がいっそうはっきりするのではないかという気がしています。

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著者プロフィール

1937年生まれ。社会学者。東京大学名誉教授。著書に『まなざしの地獄』『現代社会の理論』『自我の起原』『社会学入門』など。『定本 見田宗 介著作集』で2012年毎日出版文化賞受賞。東大の見田ゼミは常に見田信奉者で満席だった。

「2017年 『〈わたし〉と〈みんな〉の社会学 THINKING「O」014号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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