現代化日本の精神構造 (定本 見田宗介著作集 第5巻)

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著者 : 見田宗介
  • 岩波書店 (2012年3月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000284851

作品紹介

未曾有の高度経済成長を経て、日本人はどのように変わったのか。日本を代表する社会学者の仕事の全貌を示す、初にして待望の決定版著作集。「見田社会学」と称される独自の世界を創造した著者が、自身の全仕事を振り返り、重要な作品だけを精選してその精髄を体系的に示す。テクストに改訂を加え、各巻に「定本解題」を収録する。

現代化日本の精神構造 (定本 見田宗介著作集 第5巻)の感想・レビュー・書評

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  • 『現代日本の精神構造』(弘文堂、1965年/新版、1984年)や『現代日本の心情と論理』(筑摩書房、1971年)所収の論考のほか、『現代日本の感覚と思想』(講談社学術文庫、1995年)に収録された「二〇世紀思想地図」を収録しています。

    「現代における不幸の諸類型」は、身上相談に寄せられた不幸の諸類型を分析することで、当時の日本社会における「自己疎外」のありように迫る試みです。高度経済成長を遂げた日本に蔓延しつつあったアノミーの構造に光を当て、現代にまでつながる問題を浮き彫りにしています。また「貧困の中の繁栄」や「ホワイトカラーの分解と意識」「限界エリートの欲望と不安」「現代欲望論」などの論考では、60年代から70年代にかけて進行しつつあった経営的な発想に基づく自己管理=自己疎外の実態に鋭く切り込んでおり、現代の自己啓発ブームが意外に歴史的な厚みを持っていることを知ることができたように思います。

    「二〇世紀思想地図」は、1984年から85年にかけてなされた著者の論壇時評をまとめたものです。著者は、吉本・埴谷論争によって見えてきた、大衆社会状況を批判する足場をどこに求めればよいのかという問題や、村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』に見られる明るい終末への予兆、さらに浅田彰に代表されるニューアカデミズムの隆盛などを取り上げながら、モダンとポストモダンをつなごうと努めています。そうした著者の姿勢は、ポストモダンにおける批評の不可能性に抗する竹田青嗣の思想的営為を高く評価し、浅田の『ヘルメスの音楽』(筑摩書房)に「肯定する力」を掬い上げようとしているところにも、明瞭に現われています。

    ただ、90年代以降にポストモダンに対するバックラッシュが吹き荒れる状況までは、さすがの著者も予見できなかったのかもしれません。むろん著者の考える「肯定する力」を、そうしたバックラッシュの潮流と同一視することはできませんが、現代の読者は少し慎重に著者の姿勢を検討してみる必要があるのではないかと思います。

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