定本 見田宗介著作集 宮沢賢治 存在の祭りの中へ (9)

  • 岩波書店 (2012年6月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784000284899

作品紹介・あらすじ

「わたくしという現象」に注目する先駆的視点から驚くべき洞察を示した宮沢賢治。現代思想にまで影響を及ぼす稀有の詩人の生に踏み込み、豊饒な作品世界に沈潜する著者は、その思想の核心を照らし出す。そうして読者は「生と世界の肯定へ」、「存在の祭りの中へ」と解き放たれていく。収録作品:『宮沢賢治——存在の祭りの中へ』

感想・レビュー・書評

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  • 『宮沢賢治―存在の祭りの中へ』(1984年、岩波書店)を収録しています。

    「序章」で著者は『銀河鉄道の夜』をとりあげ、近代の日本において「鉄道」が村々の青年たちを幻想の都であった「東京」へとつなぐ解放のメディアであったと指摘しています。それは、近代資本制国家としての道を歩み出した近代日本へと村々の共同体に暮らす人びとの想像力を収斂させる権力の装置でもあるということを意味しています。

    こうした社会学的な観点からの考察を置いたうえで、本論では賢治の作品世界により内在的な立場からの分析をおこないます。『春と修羅』のなかの「わたくしといふ現象」ということばに著者は着目し、現象としての自我の限界を示す「物」と「他者」を、賢治の作品世界のなかにさがし求めます。それは、自我をおびやかす他者であると同時に、自己よりもいっそう本質的な自己を感受させるものであり、賢治の自我の内部における倫理的な問題領域を構成していると論じています。

    社会学的な観点からの考察と、文学的ないし哲学的な観点からの考察の両面から賢治の作品世界を解明するという著者の意図はたいへん興味深く感じられましたが、いまひとつ二つの見かたを統一的に把握することができず、もどかしい思いをいだいてしまったのも事実です。とはいうものの、著者の議論から賢治の作品について考察するための重要な視点を教えられたように思います。

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著者プロフィール

1937年生まれ。社会学者。東京大学名誉教授。著書に『まなざしの地獄』『現代社会の理論』『自我の起原』『社会学入門』など。『定本 見田宗 介著作集』で2012年毎日出版文化賞受賞。東大の見田ゼミは常に見田信奉者で満席だった。

「2017年 『〈わたし〉と〈みんな〉の社会学 THINKING「O」014号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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