晴風万里――短篇集 (定本 見田宗介著作集 第10巻)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000284905

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  • 収録内容は以下の通り。

    人間について
     晴風万里―野口晴哉ノート
      1 晴風万里―技を修めて技を用いず
      2 椎骨百万―「包括的な合理性」の方へ
      3 絵の中の謎―『考える人』と『裸のマハ』
      4 時代の文脈―レノンの歌 遥かな呼応
      5 石も花である―一花開いて世界起こる
     アートの人間学―野口晴哉「美術随想」ノート
     人間は変わることができるか―竹内敏晴『ことばが劈かれるとき』ノート
     祝祭としての生命―竹内敏晴随想
    人間の関係について
     歌の中の闇
     仁義について
     人間関係のなかの言葉
     自分をのりこえることはできるか
     「おまへは歌ふな」
     歴史の奥行き
     共同空間と社会空間―建築と社会学
    文化について
     シツォイド文化とチクロイド文化
     中華思想と遥華思想
     至るところの土着
     火の空間―空間の比較社会学
    現代記
     美しい季節はいつ来るか―現代俳句の時間感覚
     銀河と蟷螂―ヒューマニズムの死と再生
     馬と青葦―「家」について
     〈自己〉ということ―二つの死によせて
     現代俳句の表現史
    本について
     石牟礼道子『流民の都』
     永山則夫『無知の涙』
     S・クラカウアー『カリガリからヒトラーへ』
     ウィルヘルム・ライヒ『性道徳の出現』
     エレン・モーガン『女の由来』
     ディー・ブラウン『わが魂を聖地に埋めよ』
     道を伝ふる薔薇門の
     夕陽を追う影
     映像の残酷
     未読のたのしみ
     精神の考古学の標本の宝庫―白川静『字通』
     現代美術はなぜ美しくないか―宇佐美圭司『20世紀美術』
     マグリットの光の中で―内田隆三『テレビCMを読み解く』
     ただひとつの海―石牟礼道子『苦海浄土』、『天の魚』
     社会主義の崩壊の後に力を持つ「古典」―カール・ポランニー『人間の経済』
     欲望の質を転回させる不思議の箱に―山尾三省『聖老人』
     生成の海―野本三吉『不可視のコミューン』
     夢よりも深い覚醒へ―竹田青嗣『陽水の快楽』
    私の地平線の上に
     森羅万象の空
     シェイクスピア空間
     人びとをしてその言うに任せよ
     武蔵野
     ジュビラシオン考
     奇跡ではないもののように
     樹の塾
     書くことと編集すること
    思想について
     〈他者の自由〉に敏感な思想―鶴見俊輔
     時代に対して垂直に立つ―廣松渉
     〈透明〉と〈豊饒〉について
     空間の思想/時間の思想
     思想の身体価
     思想の眩暈―青光赤光白光黒光
    定本解題



    函図版(銅版画)は矢崎芳則。

  • 著者の発表した短い論考やエッセイ、書評などの文章を収録しています。

    石牟礼道子の『苦界浄土』と『天の魚』を論じた文章で、著者は「社会を読む」ということについての所感をつづっています。「社会を読む」とはなによりもまず、社会を生きる一人ひとりの人間の声に耳を傾けることであると著者は考えます。むろん学問としての社会科学は、そうした人びとの欲望や打算や幻想のせめぎあいを分析し、それを存立させている社会の客観的な法則を解き明かすことが必要ですが、たんに客観的・抽象的な法則にのみ目を向けていては「魂のない社会科学」「死んだ社会科学」になってしまうと論じられています。

    また本巻には、野口晴哉や竹内敏晴の身体論について論じた文章も収録されています。これらの文章には、学問としての社会学の臨界にアプローチし、いわば社会学の「内」と「外」をたえず往還しながら、社会についての考察を深めていく著者の社会学の方法論がうかがわれるように感じました。

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著者プロフィール

1937年生まれ。社会学者。東京大学名誉教授。著書に『まなざしの地獄』『現代社会の理論』『自我の起原』『社会学入門』など。『定本 見田宗 介著作集』で2012年毎日出版文化賞受賞。東大の見田ゼミは常に見田信奉者で満席だった。

「2017年 『〈わたし〉と〈みんな〉の社会学 THINKING「O」014号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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