記憶のエチカ――戦争・哲学・アウシュヴィッツ (岩波人文書セレクション)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000285568

感想・レビュー・書評

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  • 1.高橋哲哉『記憶のエチカ 戦争・哲学・アウシュヴィッツ』岩波書店、読了というか95年刊行同書の「岩波人文書セレクション」再録のため再読。アーレントやレヴィナスの言葉に耳を傾け「物語」に回収されない証言と向かい合う思考のあり方を問う一冊。歴史修正主義や戦後責任を考える上では必携。

    2.高橋哲哉『記憶のエチカ』岩波書店。「出来事から出発し、出来事をめぐって哲学することはいかなることか」。再読になったが、今読むべき一冊か。為にする修正主義や都合のいい物語への回収の烽火があがった当時の世相を背景に発表された論集だが、現在読むとアクチュアリティに驚いてしまう。

    3.高橋哲哉『記憶のエチカ』岩波書店。「〈記憶〉や〈証言〉の本質には、〈死者に代わって〉ないし〈不在の他者に代わって〉という構造」が不可避。戦争と暴力の記憶が鋭く問われるのは「直接体験を持たない者に対してであり、未来の世代にいかにしてそれを伝えていくかという問題」と高橋は指摘。

    4.高橋哲哉『記憶のエチカ』岩波書店。お弟子さんの東さんは、師の「無限の倫理的責任ガー」辟易し、popなまじめを決め込む。そのことはよく分かる。しかし、「~責任ガー」というものの内実を引き受ける私たちが創造するとすれば、「もう、おなかいっぱい」でも退けることは不可能かとも思う。

    5.高橋哲哉『記憶のエチカ』岩波書店。人文セレクションの眼目は末尾の「~に寄せて」。高橋は本論でホロコーストのほか従軍慰安婦の問題をとりあげたが、ここでハンセン病患者共生隔離政策の歴史を取り上げる。民族浄化は世界の果ての過去の事件ではない。日本では敗戦によっても終わってはいない。

    6.高橋哲哉『記憶のエチカ』岩波書店。ハンセン病の問題は若い学生に聞いても知らない人間が多い。まさに「忘却の政治」とは「起こったことが起こらなかったこと」にしようとするものである。だからこそ、本書のアクチュアリティはそこにある。記憶を哲学する。今読まれて欲しい一冊である。

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著者プロフィール

1956年福島県に生まれる。1983年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得。哲学専攻。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。著書に『逆光のロゴス』(未來社、1992)『記憶のエチカ』(岩波書店、1995)『デリダ』(講談社、1998)『戦後責任論』(講談社、1999)『歴史/修正主義』(岩波書店、2000)『証言のポリティックス』(未來社、2004)『靖国問題』(筑摩書房、2005)『沖縄の米軍基地』(集英社、2015)ほか。訳書に、デリダ『他の岬』(共訳、みすず書房、1993)『有限責任会社』(共訳、法政大学出版局、2002)『ならず者たち』(共訳、みすず書房、2009)などがある。

「2016年 『他の岬 [新装版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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