「わ」の所在――列島に交錯する他者の視線 (磯崎新建築論集 第5巻)

制作 : 中谷 礼仁 
  • 岩波書店 (2013年7月27日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000286053

作品紹介

外来異文化の受容とその日本的変形過程を和様化と捉え、建築における「日本的なもの」について考察。戦中戦後の建築言説のイデオロギー的倒錯を批判し、「間」という独創的な方法論的「時空」論を提起する。さらにこの考え方が文化システムとして、電子化やマネー資本主義体制のグローバルな広がりに支配されることなく、偏狭な時代性や場所性を突き破り、「建築」の新たな可能性を切り開くものであることを論じる。

「わ」の所在――列島に交錯する他者の視線 (磯崎新建築論集 第5巻)の感想・レビュー・書評

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  • 日本の起源なり原初といったものは、一体どこから来るのか。近代建築の勃興とともに、丹下、前川らが探し求めた日本的なるもの。

    磯崎新は論考を通して、和様化という列島に息づく独特のシステムを指摘し、日本の独創性とは接ぎ木された外からの文化を解体し、自己流に細緻に精巧に編み上げていく変化の過程にこそあると述べる。

    と同時に、太平洋戦争時の大東亜共栄圏構想と、近年のグローバリズムを重ね合わせながら、建築が内部に自身の成立の条件を求めなくなった点を指摘しながら、それが境界の溶解、透明化といった過程を経て、外部へとその成立の根拠を求める様を巧みに記述している。

    建築は過去の建築なるものの枠組みを自ら破壊したゆえに、なんでもありの状態になってしまうのだろうか?

    僕自身は最近取りざたされることの多いローカリティをグローバリティに対する失望と限界から生じた回帰的トレンドのように感じ、ローカリティに固執する姿勢自体は、個の動きに規制をかけるようなフィルターですらある気もする。

    磯崎新は太平洋戦争時において、個として群に習わず、ある興味深い姿勢を示した二人の文筆家について言及しており。二人をそれぞれ『擬態』と『退行』というキーワードからひも解いているが、それがとても興味深い。

    著者曰く、グローバリズムにおいても『擬態』と『退行』という姿勢は一つの身の置き方として有用であるということか…それはさておき、どちらにしても大衆を背負わず、個としての姿勢を貫いている点に僕は共感する。

    WWWとSNSの二大発展によって、大衆が無数の特殊解の集合へと変化してしまったようにすら感じる現代においては、群を代表する個という大衆正義のようなものをかざすのではなく、問題に対して個が自らの回答を個々に示していくことのほうが大切であると僕は思う。そして、それは前者に比べてはるかに勇気がいることでもある。しかし、それを続けることでのみ、新しい問題解決の糸口は見えてくるような気がした。

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