磯崎新建築論集 列島に交錯する他者の視線 (5)

  • 岩波書店 (2013年7月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784000286053

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  • 日本の起源なり原初といったものは、一体どこから来るのか。近代建築の勃興とともに、丹下、前川らが探し求めた日本的なるもの。

    磯崎新は論考を通して、和様化という列島に息づく独特のシステムを指摘し、日本の独創性とは接ぎ木された外からの文化を解体し、自己流に細緻に精巧に編み上げていく変化の過程にこそあると述べる。

    と同時に、太平洋戦争時の大東亜共栄圏構想と、近年のグローバリズムを重ね合わせながら、建築が内部に自身の成立の条件を求めなくなった点を指摘しながら、それが境界の溶解、透明化といった過程を経て、外部へとその成立の根拠を求める様を巧みに記述している。

    建築は過去の建築なるものの枠組みを自ら破壊したゆえに、なんでもありの状態になってしまうのだろうか?

    僕自身は最近取りざたされることの多いローカリティをグローバリティに対する失望と限界から生じた回帰的トレンドのように感じ、ローカリティに固執する姿勢自体は、個の動きに規制をかけるようなフィルターですらある気もする。

    磯崎新は太平洋戦争時において、個として群に習わず、ある興味深い姿勢を示した二人の文筆家について言及しており。二人をそれぞれ『擬態』と『退行』というキーワードからひも解いているが、それがとても興味深い。

    著者曰く、グローバリズムにおいても『擬態』と『退行』という姿勢は一つの身の置き方として有用であるということか…それはさておき、どちらにしても大衆を背負わず、個としての姿勢を貫いている点に僕は共感する。

    WWWとSNSの二大発展によって、大衆が無数の特殊解の集合へと変化してしまったようにすら感じる現代においては、群を代表する個という大衆正義のようなものをかざすのではなく、問題に対して個が自らの回答を個々に示していくことのほうが大切であると僕は思う。そして、それは前者に比べてはるかに勇気がいることでもある。しかし、それを続けることでのみ、新しい問題解決の糸口は見えてくるような気がした。

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著者プロフィール

1965年生まれ。歴史工学家。早稲田大学理工学術院建築学科教授。

「2015年 『応答 漂うモダニズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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