- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000286213
作品紹介・あらすじ
正書法とは正しい書き方のこと。日本語にはそれがない。日本語を書くための文字として、漢字と二種類の仮名とがある。ある語は漢字で書くこともできるし、仮名で書くこともできる。あてられる漢字も一つとは限らない。だからつねに書き方には選択肢がある。現代は一つの語の書き方を一つにしぼろうとしている。しかし、『万葉集』以来、日本語の表記にはずっと多様性があった。表記を通してみた日本語の歴史。
感想・レビュー・書評
-
漢字、平仮名、片仮名と日本語を表記する文字種があるため、正書法がない由だが、それだけ自由に記述できることだと理解した.明治時代に欧米から入ってきた言葉を日本語の中に取り入れることで、多彩な記述法が生まれ、それが現代の日本語表記法につながってきているようだ.面白い論考だった.
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私には、ちと荷が勝ちすぎているようでした。
-
2013.7.1市立図書館
日本語の表記法の変遷を軸とした歴史。
万葉の時代から江戸・明治期にかけて、漢字とかなを混ぜて書くスタイルがいかようにしてあみだされてきたか、その到達点ともいえる明治期の日本語表記の多種多様性を知ることは、常用漢字表で漢字の数や読み方を整理したうえに、さらにデジタル化の波で表記の統一(≒正書法)への志向がますます強まる現代の表記に一石を投じている、と読めた。読み進めるうちに、正書法がないのが日本の表記の一大特徴でもあり、それは表記にとどまらず語彙や文体にもかかわってくることだから、制約を強める方向性はどうかな、と思えてくる。最後の「現代日本語の表記」をもっとふくらませたらおもしろかったと思う。
また、このシリーズのターゲットはどこにあるのだろう? 専門家ではなくもっと広い読者を想定しているはずだけれど、全体的に専門語や固い言葉、業界内での弁明が目立ち、一般に読んでもらうにはとっつきにくい印象も残念。
表記一つでもシリーズを出せそうなくらいさまざまな視点や問題がつまっているなと改めて思う。 -
出版社の紹介ページ:
http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0286210/top.html
文藝春秋書評(高島俊男さん)2013.8月号:
http://gekkan.bunshun.jp/articles/-/816