黒船来航 日本語が動く (そうだったんだ!日本語)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000286237

作品紹介・あらすじ

幕末の外交交渉は、西洋型の論理と対峙した、真剣な言語の実験の場でもあった-。交渉結果を条約文にまとめるという未知の課題に、蘭通詞(オランダ語の通訳官)たちはどう挑んだのか。漢文という権威の失墜、江戸時代の公的な文体だった候文の後退、「正文」としての日本語への意識の覚醒は、いかにして起こったのか。近代文章語成立史の序章としての幕末外交文書に光を当てる。

感想・レビュー・書評

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  • 幕末における外国との交渉は大変だったのは想像に難くない。当時は、徳川幕府と貿易をしていたヨーロッパの国は、オランダのみだった。そこにイギリス、フランス、ロシア、アメリカといった国々と条約交渉をしなくてはいけなくなった。

     あの福沢諭吉は、蘭学を学ぶためにオランダ語を勉強したが、幕末という一つの時代の流れでオランダ語から英語へと切り替えて歴史上に名を残す活躍をして、現在では1マ年冊のお札の顔にもなっている。時代の変化に対応するのは重要なのだという一つの指針から人生を通して示している。

      長崎奉行の配下としてオランダ語の通訳をする蘭通詞について、オランダ商館からの協力の下で確かな語学力を身に付けていたと書かれている。反面、アメリカの初代駐日総領事のハリスは、日本人のオランダ語は、古くしかも貿易業者や水夫の話すような言葉であり抽象的な概念を理解させることは骨の折れることだったという事を書いている。

     現代のようにインターネットで外国の新聞、雑誌、ラジオ、テレビを利用し放題とはいかない時代の制約がそうさせたのであろう。

     今の時代の通詞である官庁の外国当局との交渉担当者の語学力は、どの程度なのか気になるところだ。何しろTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)で英語の資料を大量に読み込んで、日本としての国益に沿った主張をするという高度な作業をこなさなければならない。「シャラップ」と言えば済むことではないからなあ。

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