子どものうそ、大人の皮肉――ことばのオモテとウラがわかるには (そうだったんだ!日本語)

著者 : 松井智子
  • 岩波書店 (2013年6月26日発売)
3.24
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000286244

作品紹介

3歳ともなると子どもは一見会話らしいやりとりができる。だが、ことばで自分の意図をきちんと伝え、ことばから相手の意図を正しく理解できるようになるのは、まだ何年も先のこと。それは大人にとっても簡単ではなく誰でも失敗したことがあるはずだ。発達途上の子どものことばを手がかりに伝わる理由・伝わらない理由を探る。

子どものうそ、大人の皮肉――ことばのオモテとウラがわかるには (そうだったんだ!日本語)の感想・レビュー・書評

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  • コミュ力というものが大事であると言われているが、その本質がどこにあるかが本当に理解している人は私も含めてどれだけいるのだろう。
    この本を読み終えて最初に思ったことである。
    本書は母子の会話例や実験などを通して、言葉によるコミュニケーションの本質がどこにあるのかを示している。
    もちろん言葉の意味をきちんと捉えることも大事であるが、相手の意図や背景も推測する力がなければコミュニケーションは成り立たないのだなと思ったし、話し相手によっては誤解のない表現をすることも必要になってくる。
    話が噛み合わないのを人のせいにしてしまうよりかは、自分自身が話す能力を磨き鍛えていきたいものである。

  • 2013.8.26市立図書館
    前半の母子の会話例や心理実験をとおしてこどものコミュニケーション能力がどのように身についていくかが興味深かった。9歳ぐらいまでは皮肉が通じない、とわかっていれば、こどもへのものの言い方にもっと工夫ができたかも、と反省すること多し。
    次に発達障害のある人の手記や記録から、私たちがつい当然と思っている婉曲・比喩表現も子どもや語用障害者にとっては理解困難であることがわかり、後半は発話のオモテとウラを理解するためにどういう能力が求められるか、聞き手と話し手にはそれぞれどういう傾向・癖があるかを探り、誤解の少ないコミュニケーションをするためのヒントをまとめる。

    思えば、幼児と話すときには母親ならずとも言葉も話し方もある程度はコントロールするものだし、日本語初級の外国人に対しても、たいていのひとは語彙や文法をコントロールして話そうという配慮がある(日本語教師と違って一般人だと見当違いのコントロールであることも少なくはなく、それはまた問題であるけど)。
    ところが相手が小学生になって一見いちにんまえに話せるようになると、もうそういう「相手への配慮」を忘れてしまう。実際は年齢や生活・文化による経験の差、思考の癖、文脈のギャップなどがあるのに、自分と同じように話が通じると思い込んでしまう。そういった相手の聞く力への過信や油断から思わぬすれ違いや失敗が生まれがちなのであり、自分の気持を誤りなく伝えたいと思うなら、自分の話す内容を意識的にコントロールしたり、コミュニケーション技術を磨いたりする余地があるのだということになる。
    聞き手としての力は、それなりの発達段階を経て自然に伸び、それほどの個人差はない一方で、話し手としての力には得手不得手の個人差が大きく、別の面から見れば学習・訓練がものをいう領域ともいえる、というまとめからは「伝わらないのを相手のせいにせずに自分の発信力を磨こう」というメッセージを感じた。

    後半はともかく、前半の具体的な事例を読むだけでも、子育て中の親やこどもや発達障害に関わる仕事に携わる人には得るものが多いはず。

  • 完璧なコミュニケーションを取れる人間などいないと思えば少しは気が楽…かな?会話って難しい。

  • 2017.4 市立図書館

    私には、少しお堅くて、読み終えるのに時間かかった。
    でも、内容はわりと分かりやすくて、なるほどなーと。

    親しい間柄の相手ほど、聞き手の理解力を過大評価してしまう。


    皮肉などの婉曲表現を理解できるのは、9才ころから。 

    小学生の息子相手に理解力を求めるよりも、自分の表現力を鍛える方が先ってことだなと反省。
    わかりやすく、親切に。

  • 子供大人関係なく、言葉で物事を正確に表現するのは難しいという事。

  • 一桁の年代の子どもが、どんな傾向を持って言葉のウラを解釈しているか、またどのように発達を遂げるかをも分かる本。

    私は、未就園の子ども達に遊んでもらう機会に恵まれている。
    その時の好きな瞬間の1つが、3歳ぐらいの子どもと、科学絵本やらに描かれたものを指さしながら、与太話をさも分かっている風に、大人がやるみたいに会話をする事だ。
    持てる能力を総動員して、自分の頭の中のものと描かれたものとを結び付けようとする姿は、「誠実」そのものだ。

    「あとがき」にある著者のお願いのように、“それぞれのコミュニティで接する子どもたちと質の高い会話を楽し”む1人になりたいと、改めて思った。

  • ほとんどの場合、言葉の額面通りの意味と、話し手が意図している意味はずれている。だが、通常は文脈からずれを埋めることができるため、コミュニケーションは問題なく成立する。だが、アスペルガーの人はそれが苦手。例えば、子どもが先生に「マットを(ロッカーから)出して、お昼寝をしましょうね、といったとき、アスペルガーの子どもは昼寝をしなかった。それは、ロッカーに入っているのはマットではなく、ラグ(毛布)だったからだった。
    認知効果: 聞き手がすでに持っていた知識と新しく得られた情報が結びつき、聞き手の知識が改善されるときに生じる。聞き手に「わかった」という感覚を生じさせる。
    認知効果が得られると、認知システムは発話の解釈を止める。耳を傾けるのは投資で、報酬は認知効果。情報処理のコストのわりに認知効果が少ないと損した気分になる。人間の認知システムは関連性を最大化するような仕方で作動する。
    世間話や挨拶の認知効果は、人間関係の確認。世間話や挨拶を交わすことで、人間関係が良好であることを確認している。

  • 「そうだったんだ!日本語」シリーズの一冊。


    ・2014年9月に、このシリーズ全10冊が完結した。
    http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/028621+/


    【簡易目次】
    はじめに――コミュニケーションに関心のあるすべての方へ 

    第一章 3歳児は大人の鏡
    1 天才かと思えば……
    2 自信たっぷりの他人を信頼する
    3 あいまいさには無頓着 

    第二章 うそや皮肉は難しい 
    1 子どもにとってのうそ
    2 子どもにとっての皮肉
    3 他人を理解する心はどう育つ?
    4 ことばで心を伝えること,ことばから心を理解すること 

    第三章 語用障害が教えてくれること 
    1 なにげない表現につまずく
    2 言った人の気持ちを読みとるのが難しい
    3 「わかったつもり」を見直そう 

    第四章 ことばのオモテとウラがわかるということ 
    1 ひとつではない,ことばのオモテ
    2 文脈は与えられるものとは限らない
    3 2種類のウラのメッセージ
    4 ことばのオモテとウラを理解するために必要な能力 

    第五章 意図が伝わるしくみ 
    1 相手の言いたいことはわかるもの――認知効果の期待 
    2 自分に関係のある情報を優先――処理資源は無限ではない
    3 コミュニケーションの鍵は関連性 

    第六章 過大評価しがちな話し手 
    1 聞き手に責任はない 
    2 話し手の責任は問える
    3 コミュニケーションの消費者心理学 

    参考文献
    引用文献
    おわりに――コミュニケーションは失敗して当たり前

  • ワークショップ「はじまりの瞬間(とき)」:ゲストのおすすめ本

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