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- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000286657
感想・レビュー・書評
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主人公の宝玉が、彼の理想とする少女たちとの宴を楽しんだ第63回あたりを境にして、主人公一族がついに没落の道筋をたどりはじめる。一族に関わる人々の関係がぎくしゃくし始め、ある者は病に倒れ、ある者は死を選ぶ。いびり殺し、殺されたようなケースも一つだけでない。様々な悲劇が矢継ぎ早に起こり、それは、大観園の夢を打ち壊す持ち物検査と主人公の侍女晴雯の死で、ひとつのクライマックスを迎える。悲劇はその後も、次巻からの補作に引き続き描かれるが、本巻だけでも十分、破滅のカタルシスを味わうことができる。それまでの一族の繁栄と宴の描写がとてつもなく長かっただけに。
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冒頭の歌会の中で酔った史湘雲が夢心地で眠っている姿は夢見るような美しい場面。(第62回)しかし始まる楽園だった大観園に厳しい風が。王煕鳳不在の間に、大観園女性たちには相互不信から不穏な空気が。あの少女たちの美しかった世界が汚い罵りの言葉で充ち、醜い世界が現出する。信頼していた侍女晴雯が犠牲者として去り、薛宝釵も嫌気をさして去って行く。賈家の娘たち(迎春、探春、惜春)もそれぞれの道へと、心もばらばらに。林黛玉と史湘雲が池の畔で五言排律を詠み合う姿が最後の輝きのように思われる。(第76回)最終回の80回をもって曹雪芹自身の作は終わる。
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