日本経済の構造変化――長期停滞からなぜ抜け出せないのか (シリーズ 現代経済の展望)
- 岩波書店 (2014年12月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000287340
作品紹介・あらすじ
円安でも改善しない貿易赤字、広がる格差…日本経済に何が起きているのか。長期停滞の主因を明らかにし、再配分機能の強化による処方箋を提示。
感想・レビュー・書評
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【書誌情報】
『日本経済の構造変化――長期停滞からなぜ抜け出せないのか』
著者:須藤 時仁
著者:野村 容康
シリーズ:現代経済の展望
出版社:岩波書店
ジャンル:経済
刊行日:2014/12/09
ISBN:9784000287340
Cコード:0333
体裁:四六・上製・カバー
頁数:262頁
定価:2,750円
一向に増えない賃金,もはや看過できないところまできた格差の拡大…….日本経済はなぜ縮小均衡に陥ってしまったのか.
さまざまなデータを駆使して,この20年間で日本経済の体質がどのように変化してしまったのかを浮き彫りにし,長期停滞の原因を探究.そこから脱却するために,所得再分配機能の強化と持続的な経済成長を両立させる政策提言を行う.
〈https://www.iwanami.co.jp/book/b257251.html〉
【目次】
はじめに [v-viii]
目次 [ix-xi]
第一章 縮小均衡に陥った日本経済 001
1 変貌を遂げた日本経済 002
2 循環要因としての設備投資 011
3 トレンド要因としての個人消費 022
4 拡大均衡から縮小均衡へ 027
第二章 企業経営は効率的だったのか 033
1 経済のサービス化と生産性の格差 034
2 低下する生産設備の生産性 040
3 報酬は生産性に応じて支払われているか 049
第三章 産業構造の変化と所得格差問題 067
1 所得の伸びが低い成長産業 068
2 経済のサービス化が所得格差を拡大 078
3 所得再分配政策の強化が個人消費活性化の鍵 090
第四章 金融政策のジレンマ 101
1 低下した日本企業の国際競争力と貿易構造の変化 102
2 物価上昇を抑える技術進歩と消費者行動 116
3 小括 125
第五章 財政構造の変化から考える日本経済 129
1 最近における財政構造の変化 130
2 公共投資の役割 145
3 財政健全化とその方向性 156
第六章 再分配機能再生のための社会保障と税の改革 165
1 所得再分配機能の変容 165
2 社会保障制度の正常化に向けて 178
3 再分配型租税構造への転換 192
終章 縮小均衡離脱への処方箋――所得格差是正の視点から 217
1 なぜ縮小均衡に陥ってしまったのか 217
2 縮小均衡脱出のための提言 228
参考文献 [239-245]
補注 所得格差の経済効果 [1-4]詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1998年前後に縮小均衡突入。
企業の資金余剰。雇用者報酬が減少。
55~73年の高度成長期=拡大均衡
74~91年の安定成長期
92年~97年の低成長期
98~ の縮小均衡
産業構造の変化が原因。
第三次産業化は、労働集約型のゆえに生産性上昇率が低く、賃金が上がりにくい。
労働分配率の抑制。
経済のサービス化が所得格差を拡大。
クズネッツの逆U時仮説。その先は格差が拡大。
サービス業の雇用拡大とともに所得格差が拡大。
国際競争力の低下。
労働生産性が上昇しても労働分配率は上がらず、サービス業を中心に労働生産性が低い労働集約型が拡大し雇用を吸収、その結果報酬が上がらない、という構造要因。
金融政策で長期停滞の根本原因である雇用者報酬の構造問題を解決できない。所得格差の縮小、所得の再配分。
再分配効果が低い日本。
少子化の根源は工業化の進展にある。
工業化による人口移動。都市化による少子化。 -
日本経済が長期停滞から抜け出せない理由として
→労働生産性の向上にも関わらず、労働者報酬が不当に引き下げられ続けたためる消費が向上しないためだとする。
そのため、格差構造の是正のための累進課税、法人税課税などややピケティさんみたいなことを主張