租税抵抗の財政学――信頼と合意に基づく社会へ (シリーズ 現代経済の展望)

  • 岩波書店
4.60
  • (3)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 34
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000287364

作品紹介・あらすじ

なぜ日本ではこんなにも痛税感が強いのか?歪みきった財政制度を立て直す道筋を示す-

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 「『被災』とは一面において、単身世帯化による相互扶助機能の劣化と雇用破壊という、日本が抱える問題を強制的に表面化させたものと捉えることもできる。これを救うはずの社会保障制度の空洞化も深刻で、こうした事態に全く対処できていない。おそらく今後、この調査で明らかになった『被災の問題』は、『われわれの問題』として現前することになるだろう。」p.33

    「重要であるのは、藤田靖が指摘するように、税負担『感』には、絶対的な税負担の水準よりも『公共サービスに対する評価と比較した相対的な税負担感』が影響している点である。日本の公共サービスがどれだけ低水準なものであったかは、図2-2をみれば一目瞭然である。」(p.45)

    「『負担の公平』論とは、その名称からイメージされるものとは異なって、いたるところに差異を見つけ、分断を促すことで財政の合理化を図ろうとする、そうした論理である。」(p.69)

    「社会的少数者を対象とする制度は、常に支出削減の圧力に晒されるため、その給付水準が低位に陥る可能性がある。選別が適切に行われる保証はどこにもないのである。」p.165

    「スウェーデンは地方政府が供給する公共サービスによって、人々の租税抵抗を緩和していた。しかし、所得税の水平的公平性の毀損が、租税への信頼を失わせるようになった。そこで、税制改革によって、高所得者の租税回避を防止する所得税を構築したのである。その際、所得税の改革と併せて現金給付の拡充を実現した。
    また、就労する親のための制度であった保育サービスを、すべての子供が利用できる普遍的な制度へと転換した。」(p.215)

    財政がもつ意味や目的を考え直すきっかけになる本。
    不平等や格差の処方箋として、税制の改革が最も効果的だと感じる。

  • 20150613~0719

  • 図書館で何紙か読み流しているときに、朝日新聞の書評で本書を見かけた。財政関係の一般書ということでメモしておく。

    【メモ】
    ・<現代経済の展望>シリーズのうちの一つ。
    岩波書店リンク http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/2/0287360.html

    【目次】
    第1章 租税抵抗の財政学に向けて
     小さな政府と強い租税抵抗
     日本型生活保障の臨界点
     租税抵抗に向き合い、財政への信頼を作る

    第2章 租税抵抗の歴史的文脈
     租税抵抗はなぜ生じるか
     日本型負担配分の論理
     社会福祉への受益者負担論の侵入

    第3章 再分配機能を喪失していく日本の租税構造
     減税政策による所得税の財源調達力の喪失
     貧困化を促進する負担構造
     租税体系における所得税の役割

    第4章 財政への信頼をいかに構築するか-国際比較からのアプローチ
     福祉国家の危機と租税抵抗の高まり
     イギリスにおける租税抵抗
     スウェーデンにおける租税抵抗

    第5章 人々を排除しない普遍的な財政制度へ
     人々のニーズを充足する普遍的な財政制度
     普遍的な社会保障制度の財源構造

全3件中 1 - 3件を表示

佐藤滋の作品

ツイートする