朝鮮半島と東アジア (シリーズ 日本の安全保障 第6巻)

制作 : 木宮 正史 
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000287562

作品紹介・あらすじ

本巻では、日本の安全保障にとって死活的に重要であり、かつ東アジアの安全保障の焦眉の一つである朝鮮半島に焦点を当て、東アジアにおいて日本の安全保障政策がどのような「脅威認識」に基づいて形成され、どのような「課題」に取り組んできたのか、日本の安全保障政策が東アジア地域にどのような影響を及ぼしたのかを考察する。そして、歴史的な展開を踏まえながら、狭義の軍事的な国家安全保障のみならず、市民社会を担い手とする人間の安全保障の観点を導入し、さらに、極東ロシア、東南アジアまでを射程に入れた地域的な広がりを持つ地域的国際安全保障として構想する。

感想・レビュー・書評

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  •  よく語られる北朝鮮の脅威にとどまらず、日本の安全保障にとっての朝鮮半島、南北両国の置かれた状況、またこの両国から見た日本をも取り上げている。読了後は、日韓安保協力に対しては悲観的とまでは言わずとも難しさを感じる。

     11論文からなるが、朝鮮半島をめぐる国家間の安全保障に限るといくつか挙げられる。
    ・木宮論文では、日韓では政策指向や脅威認識で非対称性がありつつも、冷戦終結後には対称性が増大してきたとしている。
    ・西野論文では、「四強」から「G2」に変化する中で米韓同盟と対中関係の間に挟まれる、北朝鮮の核問題は米国を含む関係国との協調の中で対処、経済的繁栄、という韓国の安全保障が置かれた状況を分析し、最後に日本は「歴史的経緯から常に警戒の対象でありながらも、実態としては韓国の安全と繁栄には不可欠の存在であり続けた」とまとめている。尤も、最近は対日関係の重みが相対的に低下しているという留保付きだが。
    ・朴正鎮論文では、北朝鮮の安全保障政策は冷戦期は対ソ・対中を行き来という二国間主義、現在は米朝二国間主義に立脚しつつも日中韓の参加も排除していないとしている。北朝鮮の脅威を解消するためには北朝鮮自身の安全保障の脅威が解消されなければならないと指摘しているが、同時に無条件の宥和は却って誤ったメッセージを与えるため、同盟や日米韓の政策調整の重要性を訴えている。
    ・宮本論文では、北朝鮮の安全保障の一つの面として、他であまり語られない対外軍事協力も紹介している。かつては国際的な反米闘争という意味合いがあったが、1980年代半ばからは外貨稼ぎや国連の経済制裁を弱める効果があるとのことである。
    ・道下・東論文では、朝鮮半島有事に対する米韓又は韓国独自の計画、ガイドラインや周辺事態法等の日本の役割を紹介するが、近年では日韓間の脅威認識のずれ、両国の政治問題、また中韓関係の緊密化により両国の安保協力が困難になっていることを指摘している(この点、木宮論文とは一致しないところか)。

     なお、末尾の佐橋論文では、ASEANを含む東アジアの秩序として、(米又は中主導の)覇権秩序、共同体、(米中)大国間協調、政治対立を挙げ、日本の選択として米国主導の覇権秩序を前提としつつ、同時に共同体形成の努力も必要としている。

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