脳と機械をつないでみたら――BMIから見えてきた (岩波現代全書)

著者 :
  • 岩波書店
3.73
  • (1)
  • (6)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 69
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000291088

作品紹介・あらすじ

念じるだけで機械を動かす!?「攻殻機動隊」や「ロボコップ」の世界を現実にするかのようなBMIは、脳と機械を直接つないだ究極の身体代替システムだ。この研究は、どこまで進み、神経科学にどんな知見をもたらしたのか?まだ十分に解明されていない、脳の根本的かつ重要な特性と、ほぼわかっている構造と機能の実態を、最新の知見を取り交ぜ解説する。研究の面白さと神経科学における重要性、社会への影響を述べ、今後の脳研究がめざすべき目標を、社会的観点からも考察する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  •  ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の研究における最新の知見と現状および将来と、BMIと社会とのかかわりを紹介した一冊。
     BMIの研究が進むにつれて、これまで主流であった脳機能局在論(脳の諸領域は別々の機能を担う)ではなく、脳機能分散論(脳の機能単位を単一ニューロンではなくニューロンの集団と考える)の正当性が高まり、脳の驚くべき可塑性が証明されつつある。その結果「BMIは脳を変えることができる」ことが明らかになり、実用化に加速度がついている。けれども、「神経科学による脳の解明を待たずに脳の操作に着手すれば、それは第2のロボトミーとなる危険が大きい」と著者は警鐘を鳴らす。。
     BMIの進展は、容易に心や行動の操作を射程圏内とするだろう。そのときに、科学は常に倫理と隣り合わせであることを忘れずにいられるだろうか。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784000291088

  • 系推薦図書 1系(機械工学系)

    【配架場所】 図・3F開架 
    【請求記号】 491.371||SA

    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=167274

  • 運動や視聴覚って、脳内ではわりと臨機応変に処理されるんだな、というのがこの本から新しく得た印象。別の脳細胞でも、機械でも、信号さえ繋げちゃえば学習で自然に扱えるようになっちゃうもんらしい。

    ところで、この本の本領発揮は後半から。医学の闇や倫理について語られていて興味深い。特にロボトミーの話とか。色々な本に脳の機能解明への貢献が書かれているけど、普通に考えると変なんだよね、第二次大戦前に前頭葉切裁術とか。人体実験でノーベル賞をとった歴史を精神外科の重篤な過ちとして説明してるし、現代の抗鬱剤と医療ビジネスの問題についても触れてる。この人自身は脳の研究という立場から倫理的問題について真摯に考えぬいてきた人なんだな、と感じた。

  • 脳に機械をさして、イメージをもとに機械を動かすBMIに関する研究から脳科学について触れた本。
    現状の問題点や状況について知ることができておもしろい。
    <メモ>
    ・BMIにつながった脳は神経回路を構成するニューロン集団の活動を自ら可塑的に変えていく。はじめから準備されたものなのではなく、脳がBMIを用いて操作することを学習することにより、実現される。すなわち「脳が身体を介さず報酬を得ることができるようにニューロン集団の活動を変化させる」ことである。ニューラルオペラントとは行動ではなく、ニューロン活動を強化により、増減させる方法。
    ・現在のBMIは思っただけでは機械もコンピュータも動いてくれない。長期間の訓練により、人間や動物の脳が機械を操作するコツをみつけて使えるようになる。
    ・腕の動作を高い精度に予測するには多くのニューロンが必要である。すなわち特定のニューロンに依存するものではなく、ニューロンの集団により表現させている。脳内の情報は分散的であり、集団的であり、平均的あるいは確率的であるといえる。
    ・脳独特の冗長性があり、これにより、部分的な損傷を受けても影響を受けなかったり、大きな損傷でも回復するという特性を生み出している。情報が特定のニューロンに依存せず、多数のニューロンの中に分散されていることがニューロンの死滅た小さな損傷に対する脳の頑健性をつくっており、そのような脳をもった動物が進化の過程で生き残ってきたのであろう。
    ・個々のニューロンは例外なく不安定であり膨大な数からなるニューロン集団が動くことで個々のニューロン活動の不安定さを補っている。
    ・高齢ラットの脳にも十分な学習能力と高い活動が見られることがわかった。
    ・ニューロンは表現する情報に応じて共に活動したりしなかったりするという、いわば瞬時に離合集散を繰り返す仕事仲間とでもいうべき集団をつくっている。セル・アセンブリという機能的なニューロン集団こそ心の実態であるらしい。

  • 所在:紀三井寺館1F 請求記号:WL300||N6
    和医大OPAC→http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=181623

    BMIは現代のロボコップ!?

    想像するだけで自分の思うように機械が動かせたらどんなに便利だろう、なんてSF映画などを見たときに一度でも考えた事は無いでしょうか?
    しかし、そこにはとんでもないほどの実験を重ねた研究者たちの苦労が隠されています。
    再生医療・神経科学はもとより、機械と人間の倫理についても考えさせられる一冊でした。

  • 和図書 491.37/Sa47
    資料ID 2013104481

  • BMI(Brain-machine Interface:ブレイン・マシン・インタフェース)研究における最新の知見を紹介するとともにこの研究分野の現状を紹介した書。
    本の帯に、「攻殻機動隊」の文字があったので、つい手に取ってしまった。

    読んで痛感したのは、いままで僕は脳の局在論にかたよった考え方をしていたなぁということ。
    たしに、教科書でも、機能局在ありきで語られていて、全体論やモザイク論は呪集ではないように思える。また、触れる数多の研究においても、局在論的なものが多かった(そういうものを選択して読んでしまっていたのか・・・)
    このBMI研究の実態や知見などをみると、著者は行き過ぎた局在論に警鐘を鳴らしているように思える。
    (当然、行き過ぎた全体論や心脳二元論も問題だと思うが)

    脳の研究は、生物学であり、医学であり、心を取り扱う心理学でもあり、それらの達成のために、BIMをとおして、神経科学をはじめ、再生医療学、脳神経外科学、機械工学、情報工学など様々な分野の融合研究が必要になってくるとのこと。

    BMIについて、道具利用を目指すことと脳の機能を明かす研究として扱うことは大きく違う・・・そういうことが分かった。

    また、BMIが便利ものとして普及した世の中が果たして、どのような矛盾をはらんでいるのかも考えさせられた。

    科学的な知見とともに、人間の存在や価値、社会と科学との関わりを考えさせられる良い本だった。

    ----------------
    【内容(金芳堂より)】
    念じるだけで機械を動かす!?「攻殻機動隊」や「ロボコップ」の世界を現実にするかのようなBMIは、脳と機械を直接つないだ究極の身体代替システムだ。この研究は、どこまで進み、神経科学にどんな知見をもたらしたのか?まだ十分に解明されていない、脳の根本的かつ重要な特性と、ほぼわかっている構造と機能の実態を、最新の知見を取り交ぜ解説する。研究の面白さと神経科学における重要性、社会への影響を述べ、今後の脳研究がめざすべき目標を、社会的観点からも考察する。
    ———————
    【著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)】
    櫻井/芳雄
    1953年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程中退。広島大学助手、富山医科薬科大学助教授、ジョンズ・ホプキンス大学客員助教授、科学技術振興機構研究員(兼任)、京都大学霊長類研究所助教授、生理学研究所客員助教授を経て、京都大学大学院文学研究科教授。医学博士。専門は認知神経科学と実験心理学
    ----------------
    【目次】
    第1章 脳で機械を動かす?
    ・SFから現実へ
    ・進展するサルのBMI
    ・ラットのBMIからわかること
    ・誤解と実態

    第2章 BMIが突きつけた脳の根本問題
    ・何が情報を表現しているのか
    ・情報は脳全体にあるのか特定部分にあるのか
    ・脳はどこまで変わるのか
    ・脳と身体はどこまで一体か
    ・自発的な脳活動は何を意味しているのか

    第3章 BMIにつながる脳と脳研究の実態
    ・多彩な細胞と信号伝達
    ・究極の民主主義
    ・必然的な個性
    ・脳研究の現場

    第4章 神経科学とBMIの未来
    ・融合研究と反還元主義
    ・故障した脳の修復
    ・脳の操作と倫理
    ・ユートピアの姿
    ————————

  • 推薦者 情報システム工学科 曽根宏靖 先生

    *図書館の所蔵状況はこちらから確認できます*
    http://opac.lib.kitami-it.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB50100739&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

  • 機能局在説はロボトミーを想起させるし、正直・・・・主流でないことを知り、ほっとした。
    それにしても、テレビによく出ている脳科学者は実に儲けているらしいが、還元主義者の最たるものではないですか??
    それにしても、読み終わっての感想は・・・・。
    「なんや・・・、脳のことはゼロに等しいくらいわかってないのが現状」なんだということ。
    後半はまるで倫理学でした。

全11件中 1 - 10件を表示

櫻井芳雄の作品

脳と機械をつないでみたら――BMIから見えてきた (岩波現代全書)を本棚に登録しているひと

ツイートする