東アジア流行歌アワー――越境する音 交錯する音楽人 (岩波現代全書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000291156

作品紹介・あらすじ

20世紀初頭から、東京・大阪・上海・ソウル・台北・台南・香港などでは、歌曲や音楽人が国境を跨いで交流し、日本を中心とする「帝国圏」と中国を中心とする「華語圏」とがせめぎあいながらも、ヒットする流行歌に人びとは共感していた。ダンス・映画・ジャズなどからの影響を受けながらうごめく、東アジア・ポピュラー音楽の栄枯盛衰を、資本・技術・人物・メディアの動きを通してたどる。

感想・レビュー・書評

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  • 今でいう日本、韓国・北朝鮮、台湾、中国の(ポップスでなく)流行歌の変遷をまとめた一冊。いずれも戦前期は日本の影響が色濃く、その後1960年代くらいから地域ごとの独自性が出てくる。一方で、中国では文化大革命、韓国や台湾は時の政府の規制などに翻弄されもする。そういう意味では、副題の越境や交錯という色合いは薄まる。とはいえ、非公式に交流があったり、影響しあったりする。確かに、歌は世につれだし国境もあまりないのかもね。
    わりと歌とか歌謡の世界は好きなので読み始めたが、詳しすぎて知らないことばかりで食傷してしまった。

  • 日本・中国・韓国・台湾。膨大な資料を元に各地域での流行歌の流れを追ったもの。
    歌手・作詞者・作曲者・曲名の海に溺れそうになりながらも戦前・戦中・戦後の「庶民」の嗜好が垣間見られるのはゾクゾクした。

  • 日本の歌謡曲には聞き覚えがあっても、中国、朝鮮はちょっとわからない。
    わからないまま、文字だけ追うのはとても疲れる。
    飛ばし読みしても、全体を理解するのには支障がないが、全体的には、いったい何が書かれていたのだろうか。
    資料集・・・というところなのでしょうか。

  • 仕事中は広東語のブラッシュアップとお楽しみを兼ねてWEBラジオで『商業電台 叱咤903』か『香港電台 第二台』を聴いています。
    先日、笠置シヅ子の『ジャジャンボ』を国語でカバーした曲が流れてきて、初耳だったのでとても驚き、そしてその歌唱力に魅入られました。
    その後立ち寄った書店でたまたまこの本を目にし、タイトルに惹かれて頁を繰ったところ、上記のことに関する表記を見つけて読んでみる事にしました。

    こういう人間がとても楽しく、かつ物足りなく読むことのできる本です。
    物足りないのは本というメディアの限界であって、曲名が出てくるたびに実際にそれを耳にしながら読めたらどんなにいいだろうと思ったからです。
    最低限気になった曲だけでもyoutubeで検索して聴きながらの読書だったので、思った以上に時間がかかってしまいました。(こういうことができる時代に感謝ですね)
    『夜来香』の大本のバージョン、『玫瑰玫瑰我愛你』のかわいらしいメロディ、葛蘭の迫力ある歌唱などを聞くことができたのは個人的にとても大きな収穫でした。

    80年代ごろは香港では同じメロディーラインの曲を広東語と国語で歌い、それぞれアルバムを作るということが普通でした。
    大陸や台湾へのセールスが主な理由だと言われていたのですが、この本を読むと上海歌謡を広東語に代えて歌っていたという歌謡曲が香港に流入してきた時代の名残とも考えられるのでは?と、さらに興味がわいてくるのでした。
    できればこのあと東南アジアへの歌謡曲の広まりなどについても言及していただきたかったです。

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著者プロフィール

1959年、兵庫県生まれ。京都大学地域研究統合情報センター教授、日本学術会議第23期連携会員。専攻は東アジア地域史研究。著書に『満洲国のビジュアル・メディア』(吉川弘文館)、『東アジア流行歌アワー』(岩波書店)、『日中間海底ケーブルの戦後史』(吉川弘文館)、共編著に『二〇世紀満洲歴史事典』(吉川弘文館)、編著に『近代アジアの自画像と他者』(京都大学学術出版会)など。

「2015年 『記憶と忘却のアジア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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