9・11以後のイスラーム政治 (岩波現代全書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000291347

作品紹介・あらすじ

パレスチナ問題、民主化運動のゆくえ、アフガニスタン、イラク、シリアの不安定化など、イスラーム世界はますます混迷の度を深め、政治としてのイスラームが現代世界にラディカルな問いを発している。従来の近代化論や共存論だけでは解決できないイスラーム世界の問題を、宗教と政治の接点からわかりやすく解き、21世紀の国際社会の中でのイスラームの意味を考察する。

感想・レビュー・書評

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  • 宗教が国際政治に復活することで今日の国際関係はいっそう複雑さを増している。その一方で国際関係において主権国家が大きな役割を果たし続けていることも事実である。特に軍事が関わると国家の役割が決定的となる。そうでないのはアルカイダのような究極の武装NGOであり、不定形な宗教と国家システムの間で9・11事件以降の国際関係は大きくきしんできた。宗教をアクターとしてうまく取り込む国際関係はまだできていないし、それを理論家する国際関係学の試みも緒についた段階で、きしみや摩擦は続いていく。

  • 資料ID:98150057
    請求記号:312.27||K
    配置場所:工枚普通図書

  • イスラム関連、中東情勢などのニュースを見ているだけでは、誰がどのような背景であるとか、なかなか理解できないし、理解できないから、紛争の中身もわからない。
    この本で中東での政治背景がとてもよくわかった。
    でも、そこに住むひとりひとりのことを思うとつらいものがある。
    紛争の中で、憎しみや恨みを感じながらの生涯を終えなければならないほど日常化し長期化している。

  • 非常に勉強になった。
    今年一番の本である。

    様々な組織の成り立ちがストーリーとしてざっくりと整理できる。現代史が中心で、それ以前は必要最小限のため理解しやすい。

    中東を巡る政治状況に解はないということがよくわかる。

    イスラムの思想的な部分は難解でよくわからなかったが、それを差し引いても現代のニュースの理解が深まった。

    まとまったストーリーを頭に入れることで他のことも理解しやすくなるという意味で、本を読む意義を再確認した。

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著者プロフィール

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授。専門は、イスラーム学、中東地域研究、比較政治学、国際関係学、比較文明学。
 1953年生まれ。北海道夕張市出身。1983年エジプト国立アズハル大学イスラーム学部卒業。1984年国際大学大学院国際関係学研究科助手、1985年国際大学中東研究所主任研究員・主幹、1990年英国ケンブリッジ大学中東研究センター客員研究員、1997年国際大学大学院国際関係学研究科教授などを経て、1998年から現職。2006年より同研究科附属イスラーム地域研究センター長併任。京都大学・法学博士。1986年流沙海西奨学会賞、1994年サントリー学芸賞、2002年毎日出版文化賞、2005年大同生命地域研究奨励賞を受賞。2005〜2011年日本学術会議会員。
 思想史においては7世紀から現代に至るアラビア語で書かれた史資料を用いた研究をおこない、現代に関してはアラブ諸国とアラブ域内政治を中心に中東を研究し、さらに近年は広域的なイスラーム世界論を展開してきた。また、日本からの発信として「イスラーム地域研究」を歴史研究・原典研究と現代的な地域研究を架橋する新領域として確立することをめざしている。
【主な著書】
『現代中東とイスラーム政治』(単著、昭和堂)、『イスラームとは何か─その宗教・社会・文化』(単著、講談社現代新書)、『ムハンマド─イスラームの源流をたずねて』(単著、山川出版社)、『「クルアーン」─語りかけるイスラーム』(単著、岩波書店)、『イスラーム帝国のジハード』(単著、講談社)、『現代イスラーム世界論』(単著、名古屋大学出版会)、『イスラームに何がおきているのか─現代世界とイスラーム復興』(編著、平凡社)、『現代イスラーム思想と政治運動』(共編著、東京大学出版会)、『イスラーム銀行─金融と国際経済』(共著、山川出版社)、『岩波イスラーム辞典』(共編、岩波書店)、『ワードマップ イスラーム─社会生活・思想・歴史』(共編、新曜社)、『京大式 アラビア語実践マニュアル』(共著、京都大学イスラーム地域研究センター)、Intellectuals in the Modern Islamic World: Transmission, Transformation, Communication(共編著、Routledge)、Al−Manar 1898−1935 (監修、京都大学COEプロジェクト、アラビア語『マナール』誌・CD−ROM復刻版)他。

「2011年 『イスラーム 文明と国家の形成』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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