宰相鈴木貫太郎の決断――「聖断」と戦後日本 (岩波現代全書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000291699

作品紹介・あらすじ

「一介の武弁」を自他ともに任じていた鈴木首相は、未曽有の危機にあった日本の政治運営を担う。その鈴木は何ゆえに、決戦にはやる陸軍を抑えて、あえて憲法体制を逸脱しかねない「聖断」という危うい形を選択して戦争を終わらせることができたのだろうか?鈴木は戦争に正邪を認めず、「アジアの解放」や「新秩序の建設」を終戦の論理に絡ませず「日米戦争」の収拾に的を絞った。鈴木が選択した終戦の形は戦後日本に何をもたらしたのだろうか?終戦時の鈴木は、耳も遠く、老いて強力な指導力を欠き、その立場も動揺気味であったとの評価に見直しを迫る、新たな終戦史。

感想・レビュー・書評

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  • 昭和天皇とともにこの鈴木貫太郎が居なければ20年8月の終戦はなく、日本全土が焦土となり朝鮮半島のような分割統治となっていただろう。
    国家の危機にあたり最後まで逃げることなく責任を果たし天皇の信頼に応えた。こうありたいと思う、もっと評価されて良い人物である。

  • 15年戦争を考えるにあたり、開戦当初の日本政府が何ら戦争の終わり方も考えずに戦争に突入したことが、天皇に政治判断をさせる「御聖断」という形で幕を閉じた原因になる。

    鈴木貫太郎は高齢でありながら、明治憲法下での首相の権限や海軍大将としての限界の瀬戸際で御聖断を導いたと思うと、これが精一杯だったのかなぁと思う。

    これは私見だが、敗戦責任を明確に日本国民の手で取らなかったことが今日の歴史観に混乱をもたらしている気がする。
    例えば、ポツダム宣言→サンフランシスコ体制を支えている東京裁判史観=自虐史観であると自称保守の皆様は批判しているが、そのサンフランシスコ体制を作ったのは紛れもないアメリカなのであるが、そのアメリカに対して盲目的に追随している気がする。矛盾というか・・・

  • 臨場感が溢れる。でも・・・・何も語らない鈴木の本当の気持ちを資料で推し量っているわけだけれど・・・。
    鈴木を美化してないのでしょうか。

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著者プロフィール

現職:筑波大学名誉教授
専門分野:日本政治外交史
代表著書:『「徴用工」問題とは何か――朝鮮人労務動員の実態と日韓対立』中公新書、中央公論新社、2020年
『幕僚たちの真珠湾』朝日新聞出版、一九九一年/吉川弘文館、2013年
『宰相鈴木貫太郎の決断――「聖断」と戦後日本』岩波書店、2015年
『国家と歴史――戦後日本の歴史問題』中公新書、中央公論新社、2011年
『太平洋戦争とアジア外交』東京大学出版会、1996年

「2022年 『国家間和解の揺らぎと深化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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