インテリジェンスの世界史――第二次世界大戦からスノーデン事件まで (岩波現代全書)

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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000291798

作品紹介・あらすじ

通信傍受や暗号解読は、第一次世界大戦時に外交・安全保障上の必要性から生じ、第二次世界大戦においては、傍受する対象国が複数となり、暗号自体も複雑化したため、米英間にUKUSA協定が結ばれた。戦争が終結するとソ連の脅威に対抗するため、この協定にカナダ、オーストラリア、ニュージーランドが加わり、ファイブ・アイズ諸国の体制が確立し、冷戦を裏から支えた。ソ連が崩壊し、冷戦が終結すると、肥大化したインテリジェンス組織は縮小させられたが、9・11同時多発テロによって、テロとの戦いという方向性が明確になっていく。こうして情報組織はネットから世界中のデータを吸い上げるようになる。国際政治の複雑怪奇な実態を裏から眺めるもう一つの現代史。

感想・レビュー・書評

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  •  UKUSA、すなわち米英の通信傍受機関とその連携についての本。第一次世界大戦を機に本格化したこの活動につき、第二次大戦では米英の協力開始。戦後も、冷戦下でソ連という共通の敵に対処するため協力が維持された。米英の能力化が拡大したり、70年代には戦時の協力の記憶が薄れたりデタントだったりで関係は一時ぎくしゃくするも続いていく。
     そして、冷戦終結後を扱う第5章は「変容を迫られるUKUSA」という題である。一時予算が削減されるが、9.11テロにより標的をテロリストに変え、米英ともに予算も権限も大幅に拡大する。同時並行で商用のものも含めた携帯電話、インターネットやサイバーといった新たな領域での活動も行うようになっている。しかしイラク戦争での「情報の政治化」やスノーデン事件での暴露といった新たな問題にも晒されている、という流れである。
     本書で気がつくことの1つは、スノーデンに限らず、相手がマスコミであれかつてのソ連であれ、情報漏洩や内部告発の多さだ。動機は正義感だったり金だったりする。結局、何をやっていようと組織の根幹は「人」なのだろう。
     また、筆者も指摘するように、国家安全保障と個人のプライバシー、情報公開とのバランスが重要になっている。両機関はかつては存在すらなかなか知られていなかったが、冷戦後は特に、存在意義を説明したり、情報活動を行う上でも情報の顧客の方を向いたりしなければならなくなってきているとのことである。

  •  本書では、特に通信傍受の歴史を掘り起こしている。20世紀の初頭に無線が使用されると同時に傍受も始まり、第二次大戦では暗号解読や無線傍受が勝敗に大きな影響を与えらことは、よく知られている。
     そのころから米英は通信傍受の協力を行っており、終戦後にソ連を主対象とし、各軍部としての業務から外交なども含む国家としての組織体制への変換や、米英間のUKUSA(ユーキューサ)協定の生い立ちや協力仕方が記されている。
     スパイによる機密漏えい、ソ連の崩壊、911テロ事件、スノーデンなどの暴露事件、など大きなイベントから、NSAなどの通信傍受組織の目的(対象)や手段(無線からインターネット)など様々な変革と対応まで触れてあっておもしろい。
     UKUSAなどは言葉自体が知られていないし、基本的に内容が非公開の組織の話なのに、よくここまでまとめたと思う。もしかしたら、作者ももっと知っているけど書けないネタを抱えているのではないかと邪推してしまうほどだ。

  • 戦前の米国による日本軍の暗号解読からスノーデン事件までを扱っている。
    元CIA長官が浮気をした際、傍受を恐れてメールを送信せず、下書きの状態のGメールをパスワードを渡した愛人に読ませたという逸話が面白かった。
    ちなみに本書によると、昔はこの方法でOKだったが、現在は通用しないそうだ。
    本書は古い話が詳しく書かれている一方、現代の情報が手薄に感じられるのが残念。

  • 東2法経図・開架 391A/Ko92i//K

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