- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000291910
作品紹介・あらすじ
日本の選挙制度は有権者の選択肢を大幅に制限している。一票の較差も根本的に解決されず、こうした選挙制度を通じて選ばれた議員が構成する国会に、はたして民主的正統性はあるのだろうか。比較政治学の第一人者が、日本と各国の選挙制度を世界共通の基準で分析し、民主的な議会、民主的な政権のあり方を考察する。
感想・レビュー・書評
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選挙制度と、議会制度の成り立ちを、イギリス・フランス・アメリカ・日本を主な例に比較した一書。実に多様な選挙制度を整理して、その特徴を示しており有益。
一方で、歴史叙述のほうはあまり面白くない。どこかの歴史研究をつまみ食い、という感じで、日本の議会制度の歴史のところは、半分くらい日本国憲法成立史になっていて、議会制度の歴史という気があまりしない。もちろん、憲法に議会制度が規定されているのだから、その成立を知ることじたいは重要な意味を持つのだが、憲法の一般的な成立史に多く叙述が割かれていて、日本の二院制をめぐる叙述はそれほど多くない。ましてや、歴史的に新たな知見があるというわけではない。また、公議所が「公儀所」となっていて、叙述に不安を覚える。
ただ、憲法を改正して参議院を都道府県代表による構成にするべき、という主張には共感を持った。一票の格差を厳密に是正していけば、都市部とりわけ東京に定数が集中して地方の議席は激減してしまう。僕はずっとそれで良いのだろうか、と思っていたが、参議院をそのような都道府県代表の議院にしてしまえば、「衆議院のカーボンコピー」と言われることもなくなるし、地方の意見を汲み取る仕組みも残る。なるほどと膝を打つ思いだった。こういう憲法改正の議論なら、十分展開すべきだと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示