日本型新自由主義とは何か――占領期改革からアベノミクスまで (岩波現代全書)

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著者 : 菊池信輝
  • 岩波書店 (2016年12月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000291972

作品紹介

従来のケインズ主義にかわって一九九〇年代以降の日本経済を席巻する新自由主義。しかし、その起源は決して新しいものではなかった-戦後日本経済が、戦時体制に端を発する統制・計画経済と、一九三〇年代に起源をもつ新自由主義経済とのせめぎ合いの下に営まれてきたことを、政治家や官僚・経済人の言動を丹念に辿りながら解き明かす。

日本型新自由主義とは何か――占領期改革からアベノミクスまで (岩波現代全書)の感想・レビュー・書評

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  •  国家の経済介入や官僚制に対する過度の忌避意識が日本における新自由主義の弊害を拡大している歴史的経緯がよくわかる。一方で「格差社会」の是正を唱えながら、他方で「小さな政府」「無駄を減らせ」と叫ぶ矛盾した人々(特に自称「リベラル」に多い)に猛省を促す啓蒙書と言えよう。

  • 筆者はいわゆる改革不徹底論→新自由主義的改革を進めなかったために、日本の生産性が低下し今日の日本経済に至ったという論を否定し、80年代型新自由主義的政策が成功したために、90年代以降反動不況に陥ったと指摘している。

    こうした見方は渡辺治に近いかもしれない。

  • 【目次】
    はじめに [v-xiii]
    目次 [xviii-xv]

    第1章 戦時体制期における新自由主義 001
    1 戦中期の欧米諸国における国家介入と反発 003
    2 日本における統制期の新自由主義 007
      (1) 初期の統制経済と新自由主義 007
      (2) 一九四〇年体制と新自由主義 010
      (3) 合法無産政党の政府介入への意識 013

    第2章 戦後改革期における新自由主義 017
    1 モンペルラン・ソサイエティの設立と欧州の戦後改革 019
    2 日本の戦後改革と政府の介入 020
      (1) 社会党の結党と国家介入に関する意識 021
      (2) 戦後改革と統制 022
      (3) 経済安定本部と独禁法制 024
      (4) ドッジ・ラインと自由主義 025

    第3章 高度成長期における新自由主義 029
    1 高度成長期の経済・社会政策における国家介入 031
      (1) 介入政策と高度成長 031
      (2) 通産省の介入志向とその帰結 034
      (3) 社会保障政策の拡大と財界 039
    2 革新陣営の福祉国家観 041
      (1) 「国民所得倍増計画」批判から窺える社会党の傾向 042
      (2) 特振法批判と「明日への期待」 044
    3 後期高度成長期における福祉国家政策と新自由主義 047
      (1) 佐藤のブレイン・グループにおける新自由主義 048
      (2) 後期高度成長期における経済計画――「経済社会発展計画」 049
      (3) 社会開発の変質と挫折――「新経済社会発展計画」 052

    第4章 石油ショック後の低成長期における新自由主義 057
    1 インフレと「国民春闘」 059
      (1) インフレの火種 059
      (2) ニクソン・ショックとその対応によるインフレの発生 061
      (3) 革新側の状況――「国民春闘」 065
    2 一九七五年の春闘と福祉国家追求路線からの転轍 068
      (1) 田中角栄と『日本列島改造論』 068
      (2) 列島改造と福祉元年 072
      (3) 七五年春闘と福祉国家追求路線からの転換 077
        ① 一九七四年の春闘と一九七五年の春闘に向けた動き 
        ② 一九七五年の春闘 
    3 「日本の自殺」と新自由主義 082
      (1) 大幅賃上げの行方研究委員会」と新自由主義 083
      (2) 三木ブレインの新自由主義 084
      (3) 「グループ一九八四年」と新自由主義 085

    第5章 日本の経済大国化を実現した八〇年代の製造業主導型新自由主義 087
    1 様々な改革構想と財政再建への収束 089
      (1) 一九七〇年代後半における様々な改革構想 090
        ① シンクタンクと労働組合の構想 
        ② 「日本型福祉社会論」 
        ③ 大平ブレインの諸構想 
        ④ 諸構想の収斂 
      (2) 英、米の新自由主義化 100
        ① 英国のコンセンサス政治の危機 
        ② 英国の新自由主義化 
        ③ 基軸通貨国米国の動揺 
        ④ 米国の新自由主義化 
    2 第二次臨時行政調査会と新自由主義 111
      (1) 第二次臨時行政調査会の発足とその変化 112
        ① 第二臨調の緊急機関的性格 
        ② 中曽根内閣の成立と総合的な新自由主義改革構想 
      (2) 第一次臨時行政改革推進審議会と新自由主義 120
        ① 日本の「八〇年代型新自由主義」の実像 
        ② 日本型新自由主義の諸特徴 
    3 日本における「八〇年代型新自由主義」の転換 124
      (1) プラザ合意 125
      (2) 円高への過剰反応とグローバリズム化の萌芽 128
      (3) 「前川レポート」とバブル経済 131
      (4) バブルの中の危機 134

    第6章 日本の低迷と英、米の勃興が見られた九〇年代の金融主導型新自由主義 139
    1 「九〇年代型新自由主義」 141
      (1) バブル崩壊とさらなる新自由主義の選択 142
      (2) 財界の意思統一 148
      (3) 政権交代と「九〇年代型新自由主義」 150
    2 「二〇〇〇年代型新自由主義」への転型 156
      (1) 経済戦略会議の隘路 157
      (2) 大企業労組の離反と漸進的新自由主義の矛盾 161
      (3) 新自由主義の偶像 162

    第7章 政府の介入なしに存続できない二〇〇〇年代の新自由主義 165
    1 小泉内閣と新自由主義 168
      (1) 経済財政諮問会議と新自由主義 168
        ① 経済財政諮問会議における新自由主義の路線対立 
        ② デフレと経済財政諮問会議 
      (2) 郵政民営化と新自由主義 179
        ① 道路公団民営化と新自由主義 
        ② 郵政民営化と新自由主義 
    2 格差と民意 185
      (1) 第一次安部内閣とその崩壊 185
      (2) リーマン・ショックと新自由主義 189
    3 民主党政権と新自由主義 191
      (1) 非新自由主義政権としての民主党政権 191
        ① 民主党政権の限界はどこにあったか 
        ② 民主党政権の崩壊過程 
      (2) 民主党政権の新自由主義 197

    第8章 アベノミクスと新自由主義 199
    1 アベノミクスとは何か 201
    2 アベノミクスの混迷と消費税増税の先送り 204
    3 新自由主義と「新保守主義」の矛盾 207

    おわりに [211-215]
    注 [217-253]
    あとがき(二〇一六年一一月 菊池信輝) [255-257]

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