ダダイズム 世界をつなぐ芸術運動 (岩波現代全書)

  • 岩波書店 (2018年2月23日発売)
3.00
  • (0)
  • (3)
  • (2)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 79
感想 : 5
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784000292122

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

視覚芸術や文学におけるダダイズムの魅力を探求する内容で、読者は自身の創作活動や感性を振り返るきっかけを得られます。偶然性やコラージュ、レディメイドといった独特の手法が紹介され、ジャン・コクトーやフラン...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ダダの現代性、ということを言っている。しかしダダは、予め自らの内に、ダダそれ自体の否定と超越の契機を内在させていたのではなかったか。ダダとは、いわばひとつの閉包(closure)ではないか。ダダが遂行しようとした「否定の大事業」というもののうちには、当然のことながらダダ自身に対する自己否定も含まれていたのではなかったか。則ち、ダダ以後、一切の新しさは不可能なのではないか。全ては予め為されてしまっているのではないか。1958年、アメリカからやってきたビート・ジェネレーションの作家と面会したときに、齢六十を超えたトリスタン・ツァラはこう語ったという。「私たちは全部やったんだ。ダダ以後はなにも前進していないぞ!」(p238)。

    私にとって唯一興味深いのは、自己関係的機制がダダという運動に内在しているのではないかという点にある。この自己矛盾的な機制が現実においてどのように展開されてきたのかを(反)芸術運動という具体的な事象を通して観察することで、自己関係性というものの論理的構造について少しでも示唆を得たい、という動機が私の中心にある。だから、現代的関心からダダの意味付けを更新しようとすることには、特に意義を見出せない。

    ツァラが提唱した「ダダの作詩法」の眼目も、決して、作詩に偶然性を導入することで作者の主体性を無化しようとした、という点にあるのではないだろうと思う。そうではなくて、言語=理性=論理=自己意識=意味の否定とそこからの超越をどれだけ志向してみたところで、その志向それ自体が言語=理性=論理=自己意識=意味を通して為される以外に在り得ない、というダダの営みに本質的に孕まれている自己矛盾=自己関係的機制へのダダ自身によるアイロニカルな自己批評がそこに含意されている、という点が重要なのではないだろうか。それは、「ダダは何も意味しない」という文句にも同様に見出される、自己批評=自己対象化の機制である。



    ダダとシュルレアリスムとの差異を、唯名論と実念論との対比で考えたことがある。則ち、意識以前=理性以前という境位を実体化してそこへ回帰しようとするシュルレアリスムを実念論に喩え、飽くまで無意味という否定性=不定性に留まり続け何ものかへ回帰することを徹底的に峻拒するダダの態度を唯名論に喩えた。本書では、「無意識」への回帰を志向するシュルレアリスムと、「無意味」のうちに留まり続けようとするダダとの対比について、エルンストとアルプ二人のコラージュ作品を比較することで言及している。同様の対比は、ブルトンの自動記述とツァラの作詩法とのあいだにも見出されるだろう。

    レトリスㇺの詩人モーリス・ルメートルは、ツァラを追悼する詩のなかで、次のように書いている。「だが今日、人びとは彼が同世代の他の詩人たちをはるかに乗り越えていたことを理解しはじめた。妥協も「〔なにものか〕への回帰」もしなかった彼――彼は彼自身に忠実であり続けたのだ」(p62)。

  • 自分は 絵や立体をつくるのが好きだ
    自分の思うようにカタチをつくり
    植物や人物を描いていた
    私は 視覚的 網膜的なモノを作っていた と認識
    偶然による詩作法 コラージュ ready made
    ジャン コクトー、フランシス ピカビア、ジャン アルプ の絵を検索して初めて知った観た。



  • ふむ

  • ダダのことが少しわかった気がする。どちらかと言うと文学、詩の方が多かった。

  • ダダのガイド本。全体の流れを知って、個々の作品に触れたい。時々時系列的に行ったり来たりするので、年表にしながら再読したい。

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

早稲田大学政治経済学部卒業。京都大学大学院文学研究科修士課程(フランス文学専攻)修了、パリ第三大学博士課程中退。専攻はフランス文学・思想、表象文化論。訳書にボードリヤール『消費社会の神話と構造』(共訳、紀伊國屋書店)、『ダダ・シュルレアリスム新訳詩集』(共訳、思潮社)、ヴュイヤール『その日の予定』(岩波書店)、エリボン『ランスへの帰郷』(みすず書房)、ソヴァージョ『ボードリヤールとモノへの情熱』(人文書院)など。早稲田大学名誉教授。

「2024年 『アヴリルの相続人 パリの少年探偵団2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

塚原史の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×