ヒドラ――怪物?植物?動物! (岩波科学ライブラリー〈生きもの〉)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 78
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000295819

作品紹介・あらすじ

切りきざんでも、すりつぶしても元通り。小さいようで大きい。弱いようで最強。伸縮自在、変幻自在。水にゆらめく花のような体に驚くほどのポテンシャルを秘め、多くの研究者を魅了してきた謎の動物、「ヒドラ」。ついにゲノムが解読され、ヒトとの意外な共通性も明らかに!ヒドラ研究に身も心も捧げる著者が、その魅力のすべてを語り尽くす。

感想・レビュー・書評

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  • ヒドラという生物をご存じだろうか。9つの頭をもち、切っても切っても首が生えてくる、ギリシャ神話の水蛇怪獣のことではない。れっきとした海の生物だ。サンゴやイソギンチャクと同じグループに属し、海の宝石とも呼ばれる水生の生物なのである。本書は、そんな不思議な生き物「ヒドラ」の解説本である。

    ◆本書の目次
    1 ヒドラって何?
    2 ヒドラの摩訶不思議な一生
    3 海に浮かぶ宝石 - アクチヌラ幼生
    4 ヒドラのおそるべき能力
    5 出会いと共生のストーリー
    6 ヒドラとヒトら

    ヒドラ類のうちかなりの種類は、小さなイソギンチャクや草花のように物にくっついて生活する時期(ポリプ体)と、浮遊して生活する時期(クラゲ体)を持っている。ポリプの大きさは、小さな種は約1mm、大きな種では1.5mと種によって1000倍以上の差があるという。この他にも、体の形、色、増え方、群れの形、住み場所と途方もなくバリエーションに富んでおり、この多様さがヒドラの持つ魅力の一つである。

    そしてこのヒドラのもつ能力に、恐るべきものがある。ヒドラはれっきとした動物なのだが、体を切られても、小さく切り刻まれても、死なない。それどころか、元通りの体を再生することができるのだ。「切断」→「傷口の修復」→「細胞の再構成」というステップが、小さな台風がだんだん巨大化していくような活発さで行われ、ほぼ二日程度で完全に再生するとのこと。ギリシャ神話も真っ青である。

    さらにこんな実験結果もある。あるヒドラの柱体部の神経系を、頭部に移動すると胴部に特有の性状を示し、足部に移動すると足部特有の性状を示したという。つまり、ヒドラの神経系は、細胞ともに移動しながら、移動先の体の位置に応じて、自在のその性状を変えることができるのだ。このしなやかなシステムに、人類が学ぶところも多いのではないだろうか。

    全編を通して、著者のヒドラに対する愛情は半端ない。まさに身も心も捧げている様子が、ひしと伝わってくる。その最大の理由は「美しいから」。そんな大好きなヒドラを、切ったり刻んだりできるというのも、非常に不思議な関係だ。その再生能力に対する強い信頼があってこそなのだろう。

    ヒドラの多くは、磯の岩の下面などで簡単に見ることができるようだ。今年は、花火やお祭りが中止の地域も多い。そんな夏には、ぜひ海の宝石「ヒドラ」を見に行ってはいかがだろうか。

  • ユーモアがあって読みやすい。ヒドラ自体の魅力も高い。研究者はその美しさに魅せられるらしいが、僕はヒドラに搭載されているミサイルのカッコよさに魅せられた。

    もうちょっと写真が多ければなあ。

  • k

  • 切りきざまれても再生。すりつぶされても再生。まるで怪物のような生物だが、「きれいな海の花」としてダイバーには有名な生き物らしい。

  • 切っても切っても再生力の半端無いヒドラ。
    関連して、「クラゲという生き物はいない」という事も知らなかった。ヒドラの1形態を指す場合が多いんですね。
    また、ヒドラの遺伝子の中に、高等動物に特有と思っていた遺伝子群が見つかったり、アルツハイマーの遺伝子が見つかったり...。
    植物にも同様の遺伝子が存在すると、別の本で読んだことがあるが、結構、種を超えて、と言うか微生物だった頃からの性質を共通に引き継いでいるのだろうなあ、と感じて面白かった。

  • ヒドラとクラゲがほぼ同じ生き物であることに、少なからぬ驚きと考えてみたらと納得。
    数々のエピソードも組み込まれて、とても良い本でした。

  • こんな不思議な生き物がいること、そしてそれを研究する研究者がいることがさらに不思議。

  • 内容情報
    [日販MARCより]
    切り刻んでも、すりつぶしても元通り。水にゆらめく花のような体に驚くほどのポテンシャルを秘め、多くの研究者を魅了してきた謎の動物「ヒドラ」。その魅力のすべてを語り尽くす。ヒトとの意外な共通性も明らかに。
    [BOOKデータベースより]
    切りきざんでも、すりつぶしても元通り。小さいようで大きい。弱いようで最強。伸縮自在、変幻自在。水にゆらめく花のような体に驚くほどのポテンシャルを秘め、多くの研究者を魅了してきた謎の動物、「ヒドラ」。ついにゲノムが解読され、ヒトとの意外な共通性も明らかに!ヒドラ研究に身も心も捧げる著者が、その魅力のすべてを語り尽くす。
    1 ヒドラって何?
    2 ヒドラの摩訶不思議な一生
    3 海に浮かぶ宝石―アクチヌラ幼生
    4 ヒドラのおそるべき能力
    5 出会いと共生のストーリー
    6 ヒドラとヒトら
    付録 海のヒドラ類を探してみよう!

  • クラゲやヒドラのようなつかみどころのない生物大好きです。というわけで初の一般向け「ヒドラ本」、読んでみました。解説はかなりわかりやすくて、「切り刻まれても再生、すりつぶされても再生、シンプルなのに賢く、かよわそうで最強」というキャッチフレーズ(?)どおり、驚くほどのポテンシャルを秘めたヒドラの能力に驚愕しました。カラー写真もふんだんでヒドラの美しい姿、ちょっと恐い姿も楽しめます。ヒトとの共通遺伝子も発見されて、ますます面白くなってきそうな「ヒドラ」、今後の研究の進展とさらに素敵な本が出るのを楽しみに待ちたいと思います!

  •  本格的に読み始める前にページをパラパラとめくっていたら、ヒドラが再生する様子を写した画像のキャプションに「ほら、小さな花が咲いたよ」と書いてあって、心にグッ!と来た。
     そして、千差万別なヒドラたちの多種多様な暮らしぶりについての記述を少しずつ読み進めていくと…愛おしくとも抱きしめることができない(サイズ的に)。ただ遠くから見守ることしかできない(顕微鏡で)。読めば読むほど、その不思議な生態に惹きつけられる。そして、ここでも登場するエルンスト・ヘッケル!(それは本筋じゃない)
     …なにはともあれ、おすすめの一冊です。

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