記憶をコントロールする――分子脳科学の挑戦 (岩波科学ライブラリー)

著者 :
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レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000296083

作品紹介・あらすじ

そもそも記憶は脳のどこにどのように蓄えられるのか。また短期記憶と長期記憶の違いは脳のどのようなメカニズムに由来するのか。素朴な疑問に丁寧に答える一冊。

感想・レビュー・書評

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  • ※内容は、記憶をあやつる、とほぼ同じ
    記憶をあやつる=脳の基礎知識+本書
    記憶、意味記憶やエピソード記憶といった、語ることができる陳述記憶と、手続き記憶や条件反射といった、語ることができない非陳述記憶とがある。また、数分から長くて十数分ほどで消えてしまう短期記憶と、それ以上の比較的最近の記憶や遠い過去の記憶(遠隔記憶)といった長期記憶とがある。
    脳は、情報が入ってきたことで特定の神経細胞が刺激された場合、その神経細胞とシナプスでつながる複数の神経細胞がひとつのグループ、セルアセンブリ(細胞集成体)を作り、活動する。同じ刺激が何度も繰り返しやってくると、これに対応するためにシナプスのつながりが強くなるという変化が起こる。このセルアセンブリがひとつの記憶を保持する、つまり記憶が残るという状態になる。出来上がったセルアセンブリは、シナプスの可塑性という性質により、長期間保存される。その神経細胞への信号が途切れても、同じ信号がやってくると再度同じグループとして活動し、この再活動が記憶を思い出すという現象を引き起こす。
    記憶は、まず短期記憶として海馬に保存される。海馬には、神経幹細胞があり、毎日かなりの頻度で分離し、神経細胞を増やす(神経新生)。この神経新生が海馬の記憶を消していく。消える前に、海馬から大脳皮質に転送された記憶が、長期記憶として保存される。
    ある記憶に関連するセルアセンブリの神経細胞は、他の記憶に関連するセルアセンブリと重複するものがある。これにより、記憶同士が関連づけられ、記憶が連合する。あることを思い出すと、別のことを思い出す連想が起きるのは、このためである。

  • 同氏の記憶をあやつると内容はほぼ同じ。記憶をあやつるのほうが内容が充実しているのではないでしょうか。

  • 記憶について物理的にかなり解明が進んでいることを知り、驚いた。ただし、まだまだ不明な部分もあり、まさに黎明期なんだと。この本の趣旨とは違うけど、どうすれば記憶力が向上するのか、科学的な解説が欲しかった。

  • 脳科学の本。自叙伝的要素があり,若干タイトルとの乖離が見受けられるので,要注意。実践的な本とは遠く,研究の知見が簡単にまとめられています。「過去の瞬間に意識したことが記憶になって,現在の記憶を構築しているのです。」(p. 117)

  • ここまで記憶をコントロールできる時代が来ているのかと突きつけられる1冊。PTSDなどの治療に用いられるのはいいが、偉大な発見と共に悪用する人も出てくる。それだけは避けたいものだ。専門用語も出てくるが、わかり易く書かれている。勉強の仕方にも役に立つ1冊。(図書館)

  • 記憶という現象を分子レベルから解明する研究に取り組む著者の講演をまとめたもの。
    脳科学の世界は、まだまだ分かっていないことが多く、これからの学問ということなのだろうが、記憶をコントロールすることでPTSDなどへの対処を行おうとしていることなど、今後の期待は大きい分野であると感じた。

  • 脳科学の本はいくつか読んだが、分子生物学的なアプローチというのは初めて。遺伝子で記憶を探ろうというのが、ある程度成功しているのに感銘を受けた。作者が農学博士というのも勇気をもらった。

  • 哲学者を目指していた高校生がサイエンスに目覚め分子生物学者になり、塚原仲晃著「脳の可塑性と記憶」をたまたま読んで分子脳科学者になったんだそうだ。記憶の中枢は海馬だが、全ての記憶が海馬に蓄えられるのではなさそう。短期の記憶は海馬だが、昔の記憶は大脳皮質らしい。独創的なアイデアは、一定期間考えた後のリラックスしている時に閃く。記憶力低下を阻止する方法は、運動、DHA,EPA、好奇心旺盛か?勉強は連続してやるより、分散して休み休みやる方が効率的。今、この瞬間の意識は、記憶では説明できないと言う。

  • 海馬
    陳述記憶
    エピソ-ド記憶・意味記憶
    手続記憶
    最近記憶・遠隔記憶
    記憶を思い出すのに必要な部位と記憶を貯えている貯蔵場所は必ずしも一致しない。
    遠隔記憶のある場所 大脳皮質

    記憶はどのように蓄えられるか?
    セルアセンブリ仮説
    光遺伝学
    アロケ-ション
    記憶が保持される仕組み

    遠隔記憶のナゾ
    カハ-ルのドグマ
    神経新生の役割
    海馬での記憶の消去に関与する。記憶は消えるのではなく、海馬から大脳皮質に移る。

    記憶と遺伝子の関係
    短期記憶と長期記憶
    記憶するときに、脳内のニュ-ロンで遺伝子発現やたんぱく質合成を必要とする記憶を長期記憶
    そうでないものを短期記憶
    シナプスの新生
    シグナルの伝達

    記憶はどのようにして正確に保持されるか
    シナプス特異性のなぞ
    シナプスタグ仮説
    記憶の連合
    局所タンパク質合成

    新しい体験をするとその情報が脳内の海馬にある特定のシナプスに入力され、細胞体やシナプス近傍でタンパク質が合成される。脳細胞で合成されたタンパク質はシナプスタグのメカニズムによりスパインという突起の根元にあるゲートを通ることにより長期記憶が形成されてゆく。


    思い出した記憶は不安定になる。
    記憶は書き換えられる。
    獲得された記憶は保持された状態で思い出すと不安定のサイクルに入り、再固定化される。


    記憶の強化。
    分散型のほうが連続型よりも効果的。
    記憶のアップデ-ト

  • 初歩から簡単に書かれているし、最先端の内容が盛り込まれているものの、どちらもすごいなというところにはいかんかったかなあ。頭がついてかなかったか

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