- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000296274
作品紹介・あらすじ
ナノメートル、すなわち原子・分子の大きさになると、物質のふるまいが日常世界とは一変する。その性質を利用して、ナノ構造どうしが連携しあって機能する新材料を「構築」する。これが、ナノ建築学=ナノアーキテクトニクスだ。原子スイッチから貼る制癌剤まで、ナノテクノロジーの次にくる近未来の科学技術を見通す。
感想・レビュー・書評
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【由来】
・図書館の岩波アラート
【期待したもの】
・サラリと先端技術についての知識を得られたら。
【要約】
・ナノアーキテクトニクスとは、ナノテクノロジーを使った「建築」技術である。建築するのは、ボトムアップ型の、これまでにはない新しい「素材」である。
【ノート】
・中学生の頃、歯医者で考えた。虫歯というのは化学反応によって歯が侵蝕されていることなのだから、歯以上に結合しやすいものを患部に詰めたら、そちらに全て吸収できるのではないかと。とにかく、虫歯の治療がイヤだったからアタマを絞ったのだが、叔父である歯医者は、残念ながら、そんな技術はないと教えてくれた。
・ただ、本書を読んだら、それも可能になるのではという気がしてくる。細菌の活動を抑えるのか、それとも歯質に有害な酸を中和するのか、いずれにせよ、ナノレベルの世界での人工的制御が可能になれば、夢ではないだろう。
・「ナノテクノロジー」という言葉は、今やそれほど珍しい言葉ではなくなってきたが、本書で紹介されている「ナノアーキテクトニクス」は、なかなかにSF度が高い。既存のものをどんどん小さくしていくことを「トップダウン」アプローチと言い、これはイメージしやすい。一方、物質を原子レベルからの制御などによって組み上げていく「ボトムアップ」アプローチによって作られる素材は、既存にはない物質になる。
本書では応用例として、「汚れない窓ガラス」や「自動的に除菌する便器用コーティング素材」、「電子ペーパー」、電池、原子スイッチを応用したコンピューターや原子メモリ、人口光合成などを例として紹介している。
・理系色が強く、イオン構造なんかが出てくるので、自分は完全に構造を理解することはできなかったが、どんな世界が近づいているのかを垣間見ることはできる。
【目次】
プロローグ ナノ技術からナノ建築学へ
1 汚れない窓ガラス――ナノシート
2 トイレを除菌――メソポーラス物質
3 紙ではない紙――電子ペーパー
4 新しい電池の時代――ナノイオニクス
5 脳型コンピュータへの道――原子スイッチ
6 分子に情報を書き込む――ナノレベルの電子回路
7 世界で一番薄い集積回路を目指す
8 夢のエネルギー技術――人工光合成
9 医療革命へ
エピローグ ナノアーキテクトニクスが描く未来詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
11月新着
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出版社の書誌情報ページ(立ち読みPDFあり):
https://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/2/0296270.html
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