恐竜はホタルを見たか――発光生物が照らす進化の謎 (岩波科学ライブラリー)
- 岩波書店 (2016年5月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000296496
作品紹介・あらすじ
昆虫、キノコ、魚など、地球上には数万種の「光る生きもの」がいる。生物はいつ、どうやって光る能力を手に入れたのか。光を使った驚きの生存戦略とは。発光のしくみを解明し、進化の道筋を巻き戻していくと、舞台は暗闇に満ちた太古の深海へ。生物が放つ光に魅せられた著者が、ダーウィンも悩んだ「進化の謎」に挑む。
感想・レビュー・書評
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研究者本。タイトルは煽り。筆者は発光生物の専門。発光する生物は多種多様で、発光原理も発光物質もそれぞれ異なっている。このことは、生物は進化の段階で、何度も、独自に発光能力を獲得してきた、ということ。発光の仕組みを調べることで進化の道筋をたどる。
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タイトルは「恐竜はホタルを見たか」ということですが、内容は発光生物の光る仕組みやその進化についてです。でも途中ちゃんと恐竜についても触れられています。
光を発する生物はなぜ陸に少なく海に多いのかとか、どういう仕組みで発光しているのか。何の得があって発光しているのか。また、その仕組みをどのように獲得してきたか、などが語られます。その筋の素人には分からない話ばかりで面白いです。しかもとてもわかりやすい。
特に、発光する種はたくさんあれど、その元になっている生物がいる、とか興味深いです。 -
妙な能力を持つ生き物がいる。
光る虫。 発電する魚。虫を捕まえて食べる植物。なぜそうなったのだろう?
どうやって(how)を説明する本はいくつもあるが、なぜ(Why)を説明する本はあまりない。
なぜ、も知りたい。特に発光生物については。目立つだけならもっと簡単なほかの方法もありそうだし、なぜ光るという選択肢を選んだんだろう?
進化を調べることでWhyに回答が出るかを期待したのだが、例えば海の発光生物の多くが、光ることで身を隠そうとしている、という話はさらっと出てきて拍子抜け。でもウミホタルやコペポーダは?
なんか結局Howのほうに話が寄っていって、いまいち期待はずれだった。 -
発光する生物をテーマとした大場裕一氏の著書。
発光生物を研究する研究者はとても少ないらしい、しかも研究者の多くは発光の動機やメカニズムを研究していて、発光生物の進化を調べる人は極稀だそうだ。大場氏はレアな生き物をレアな観点から調べる、レアな研究者と言ったところだろうか。
レアと書いてしまったが実は発光する生物は意外と多く、ミミズやムカデの仲間にも光る種類がいるそうだ。発光生物はどこに多く棲んでいるのか、何の目的で光るのか、光る仕組みはどうなっているのか、そして恐竜はホタルを見たのか?そんな疑問に迫っている。
まだまだ謎が多い分野だが、もしかすると光る生命体の存在が、人類をエネルギー問題から解放する日が来るのかもしれない。 -
請求記号 468/O 69