恐竜はホタルを見たか――発光生物が照らす進化の謎 (岩波科学ライブラリー)

著者 :
  • 岩波書店
3.52
  • (1)
  • (10)
  • (9)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 76
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000296496

作品紹介・あらすじ

昆虫、キノコ、魚など、地球上には数万種の「光る生きもの」がいる。生物はいつ、どうやって光る能力を手に入れたのか。光を使った驚きの生存戦略とは。発光のしくみを解明し、進化の道筋を巻き戻していくと、舞台は暗闇に満ちた太古の深海へ。生物が放つ光に魅せられた著者が、ダーウィンも悩んだ「進化の謎」に挑む。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 研究者本。タイトルは煽り。筆者は発光生物の専門。発光する生物は多種多様で、発光原理も発光物質もそれぞれ異なっている。このことは、生物は進化の段階で、何度も、独自に発光能力を獲得してきた、ということ。発光の仕組みを調べることで進化の道筋をたどる。

  • タイトルは「恐竜はホタルを見たか」ということですが、内容は発光生物の光る仕組みやその進化についてです。でも途中ちゃんと恐竜についても触れられています。
    光を発する生物はなぜ陸に少なく海に多いのかとか、どういう仕組みで発光しているのか。何の得があって発光しているのか。また、その仕組みをどのように獲得してきたか、などが語られます。その筋の素人には分からない話ばかりで面白いです。しかもとてもわかりやすい。
    特に、発光する種はたくさんあれど、その元になっている生物がいる、とか興味深いです。

  • 名文が過ぎる。

    ●書き出し

    はるか昔のこと。太陽ができて、地球ができた。地表は、海と陸地に分けられた。太陽からは熱と光が降り注ぎ、海に生命が誕生した。光を受容する「眼」という器官が進化した。あるものは陸に上がった。

    ■本題は生物の「発光」の話

    すべての生命体は眼に見えないほど弱い光を常に放出しているが、これはバイオフォトンと呼ばれていて、生体内の代謝反応の副産物である。
    4

    ホタルのような生物発光では、生体内で起こる化学反応により光が作られる。一方の生物蛍光では、生物に当たった短波長のエネルギーが波長のより長い光に変換されて放出される。
    15

  • その頃にはいたらしい。

  • 妙な能力を持つ生き物がいる。
    光る虫。 発電する魚。虫を捕まえて食べる植物。なぜそうなったのだろう?
    どうやって(how)を説明する本はいくつもあるが、なぜ(Why)を説明する本はあまりない。
    なぜ、も知りたい。特に発光生物については。目立つだけならもっと簡単なほかの方法もありそうだし、なぜ光るという選択肢を選んだんだろう?

    進化を調べることでWhyに回答が出るかを期待したのだが、例えば海の発光生物の多くが、光ることで身を隠そうとしている、という話はさらっと出てきて拍子抜け。でもウミホタルやコペポーダは?
    なんか結局Howのほうに話が寄っていって、いまいち期待はずれだった。

  • 発光する生物をテーマとした大場裕一氏の著書。
    発光生物を研究する研究者はとても少ないらしい、しかも研究者の多くは発光の動機やメカニズムを研究していて、発光生物の進化を調べる人は極稀だそうだ。大場氏はレアな生き物をレアな観点から調べる、レアな研究者と言ったところだろうか。

    レアと書いてしまったが実は発光する生物は意外と多く、ミミズやムカデの仲間にも光る種類がいるそうだ。発光生物はどこに多く棲んでいるのか、何の目的で光るのか、光る仕組みはどうなっているのか、そして恐竜はホタルを見たのか?そんな疑問に迫っている。

    まだまだ謎が多い分野だが、もしかすると光る生命体の存在が、人類をエネルギー問題から解放する日が来るのかもしれない。

  • 請求記号 468/O 69

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1970年 札幌市に生まれる
1994年 北海道大学大学院理学研究科化学専攻修士課程修了
1997年 総合研究大学院大学大学院生命科学研究科博士課程修了
 名古屋大学大学院生命農学研究科助教などを経て
現 在 中部大学応用生物学部教授、博士(理学)
著 書 『ホタルの光は、なぞだらけ』(くもん出版、2013)
 『光る生きものはなぜ光る?』(文一総合出版、2015)
 『恐竜はホタルを見たか』(岩波書店、2016)
 『光る生き物の科学』(日本評論社、2021)他

「2022年 『世界の発光生物』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大場裕一の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ニック・レーン
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×