クモの糸でバイオリン (岩波科学ライブラリー)

著者 : 大崎茂芳
  • 岩波書店 (2016年10月6日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000296540

クモの糸でバイオリン (岩波科学ライブラリー)の感想・レビュー・書評

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  • 昆虫が専門のわけでもなければ、バイオリンをやったことがあるわけでもない。
    そんな著者がクモの糸に魅せられ、本業の傍ら趣味の研究を続け、バイオリン教室に通い、ついに「クモの糸でバイオリンを弾く」という偉業を成し遂げた記録が本書です。

    クモは巣を作るときに7種類の糸を使い分けているなんて知らなかった!
    これらの糸のうち、著者はクモの命綱である牽引糸のみを収集しているのだそう…1本の弦を作るのに必要なクモの糸は3000~15000本というから、途方もない!
    先行研究が少ない分野を開拓していくこと自体、並大抵のことではないと思います。
    でも、大変さより楽しさのほうが伝わってくるのは著者のお茶目さが感じられる文章のせいかもしれません。
    「糸をとる人の意図通りにはなってくれないのである」
    「せっかく糸を取り出したと喜んでいても、こちらの意図とは違った糸をつかまされることもある」
    …さらりと書いていらっしゃいますが、「糸」と「意図」、かけてますよね?

    1つのことにとことん向き合い、好奇心で突き進んでいく人の背中が眩しく見える1冊でした。

  • 本業の研究とは別に「クモの糸」を“趣味としての生涯の研究対象”に決めた著者が、研究の過程でタイトル通り「クモの糸でバイオリン」を弾くまでに至った経緯を綴ったのが本書です。

    肝心の研究の中身は気が遠くなるほど時間を要する作業ばかり。昆虫学者でもなく音楽専門家でもない著者にとっては手探りの連続です。
    クモが使いこなす7種類もの糸のうち、著者が注目したのはクモの命綱にあたる「牽引糸」の1種類。街中・郊外・山の中など日本各地へクモ採りに行き、自然に吐く糸を手に入れるためクモの性格分析に5年を費やし、クモの繊細な性格(「優しすぎれば舐められる、厳しすぎればへそ曲げる」)と上手く付き合いながら、たくさんのクモから長く丈夫な糸をせっせとかき集めます。

    趣味と断言しているものの、性質の分析方法などは本格的。
    苦労を重ねながらも新しい発見には目を輝かせ、一貫して楽しそうに研究されているのが伝わってきます。文章も自然体なので読者も気負うことなく最新の研究に触れることができます。
    「好きこそ物の上手なれ」を体現しているような大人は素直に素敵です。

  • 奈良県立医療大学の名誉教授、大崎重芳氏の著書。大学の名前からもわかるように、大崎氏の専門は皮膚移植などの医療で、決して昆虫博士ではない。

    作品のタイトルからして少しキワモノ的、というかゲテモノ的な内容かと思っていたが、意外にもクモの糸で作ったバイオリンの絃は音色が素晴らしく、本作では科学的にその事を証明している。クモの糸には繊維の隙間を埋める特殊な性質があるらしく、そのことが音色に良い影響を与えているようだ。

    大崎氏が解析したところ、良い音の評価基準とされる「倍音」の数値が、現在バイオリン弦の主流である金属製やナイロン製より優れているのだ。音大の教授からもその音色の良さを認めてられおり、実際に海外のバイオリニストから、弦を使わせてほしいと熱烈なオファーがあったそうだ。ただ残念ながら原料調達がクモのご機嫌次第なので量産は難しいらしい。

    弦の作製にあたり近所のバイオリン教室に通ったり、自宅の庭にオオジョロウグモを放し飼いするなど、大崎氏の行動力というか執念には、すっかり感服させられてしまった。ノーベル賞は無理でも、せめてイグノーベル賞を差し上げたい。

  • 蜘蛛に着目して研究をしている、珍しいしそれだけで何となく面白く感じて書籍を読んだ。蜘蛛の巣はすぐ破けると感じていたけれど、試行錯誤の研究の成果が本当に凄いと思った。一生懸命蜘蛛を追いかけ蜘蛛の糸を上手く使う、発想が子供らしいけれど大人としての知恵がただただ素晴らしい。

  • ニュース番組やバラエティ番組で見たことある人がたくさんいるだろう”クモの糸”を研究している人である。

    最初はクモの糸で人の体重が支えられるか?(芥川の蜘蛛の糸みたいに)という研究で、それは別の本にまとめられているそう。
    今度はバイオリンの絃にできるか?音がなるか?どんな音がするか?
    やってみちゃう訳である。
    やったことないバイオリンを買って習いにも行っちゃう。
    面白い研究だけど、それを学術雑誌論文として掲載してもらう悲喜こもごもも興味深く読みました(何せ現在そういう人たちと同じ職場で、ちょっぴりだけ噛んでいる訳で)

    後書きに一部科研費のお世話になっている旨書いてあったので、科研サイトで検索してみたり(国のお金を使った成果なので、どういう研究でいくら補助したか、最終の報告書類が閲覧できるようになっています)

    この本の中に物理分野の人は音楽に関心のある人が多いというのを見て、微生物学者は美術、生物学者は文学かもしれない(身の回り数例による独断)と思ったり。

    いろいろ楽しめた♪

    カバー・章扉イラスト / いずもり よう

  • 【485.73/O73】税込 1,296円(本体価格 1,200円)
    http://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB22193725

    http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB22193725

    H29_7月選書

  • 音楽、振動、生態、繊維…。様々な分野をまたいで作られたクモの糸のバイオリン。まず作ろうと思ったその発想に驚きである。 あとは、p. 80の国際的な科学雑誌に掲載されなければ、きちんとした研究成果とは認めてもらえない。の一文は身に染みる。

  • この先生、楽しそうだな。

    クモの糸でバイオリン、は何かの比喩か、あるいは著者の夢?と思ったら本当にクモの糸の弦をバイオリンに張って演奏しててびっくりした。それを聞いたプロのバイオリニストから弦を譲ってくれと言われたそうだ。
    弦にするために強度を上げる方法を検討したり、クモの糸の断面を電子顕微鏡で調べたり、手法は科学者の面目躍如。で、やっていることがクモの糸でバイオリン。こんなに楽しい研究はそうはないだろう。子供がマネをすると楽しいな。

    岩波科学ライブラリーのシリーズはどれも面白そうだ。いくつか読んでみよう。

  • クモの糸の可能性に驚き。
    そしてバイオリンの弦について、科学的な分析や詳しい考察というのが詳しくされていないということにも驚き。
    クモの糸のバイオリン、1度聴いてみたいなぁ…これからの普及?に期待です!

  • 請求記号 485.7/O 69

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